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「スケキヨ的製氷器」乙幡啓子作
今回は、「妄想工作」「デイリーポータルZ」などで活躍中、いまや全国で展覧会を行い、大勢の人々をニヤニヤさせている妄想工作ニスト、乙幡啓子さんにお会いしてきた。
本題に入る前に、簡単なプロフィールを。
乙幡啓子(おつはた・けいこ):群馬県生まれ。周囲と微妙にズレた学校生活を送ったのち、7年間の会社勤めを経験するが、自分探しのため退職。親に「将来、何になるつもりだ」と言われるが、手を動かすことが好きだったため、工作に没頭するように。奇想天外な工作が話題を呼び、NHKやTBSラジオなど多数のメディアに出演。くだらないモノを作り続けて、世の中を面白くしている人物の一人。
早速、作品の紹介を。
ひとつ目は、冒頭の写真でも出てきたコチラ!
■スケキヨ的製氷器
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やきそば(以下「や」) 「犬神家!」
乙幡さん(以下「お」) 「まさに、あのシーンです」
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いきなり足が……。
や 「いきなり、足をもいじゃうんですね!」
お 「型取りに使った人形は100均で買ったんですけど、膝が自由に曲がらないんで、『スケキヨ的には曲がってないと……』ということで、膝を無理やり曲げたりしつつ……」
や 「ひょえ~~」
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スケキヨさんの下半身部分の型。
や 「シリコーンを使って型取りをしてるんですね。シリコーンって、普通の女性の家には、絶対になさそうなアイテムですけど、どこで売ってるんですか?」
お 「意外にヨドバシカメラなどで売ってたりします」
や 「なるほど! ジオラマを作る人が買ってるのかもしれませんね」
この先の工程をざっくりと説明すると、左右それぞれの足に水を入れて、冷凍庫でカチンカチンに。左右の“パーツ”をくっつけたら出来上がり。
お 「実際に水と足型の氷を入れてグラスに入れると、飲む時に足が鼻に入って、とても邪魔だったりします」
や (笑)
残念ながら、商品化の話はまだきていないそうなので、興味のある業者の方はぜひ!!
■靴のかかとを邪鬼にする
お 「次はコレ」
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や 「何かを踏んづけてますね」
お 「ヒールのかかとを邪鬼にしてみました」
や 「な、な、なんのために!?」
お 「最近、ヒールの高い靴をはくのが困難になってきたんですが、『土踏まずの下にも支えのある、船底ヒールなら楽なんじゃないか』と思いまして、邪鬼をヒールにしてみました」
や 「邪鬼の部分が細かい!! どうやって作ったんですか?」
お 「乾くと固まる石粉粘土を、数日間にわたって彫って仕上げました」
や 「頭では思い描けても、形にするのが難しそうですね!」
お 「粘土細工って大変なんですよ。3Dプリンターとかで作っちゃえば早いんでしょうけど」
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踏まれてうれしそうな邪鬼の顔。
実際に、乙幡さんがはいてみました。
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や 「おお~~~!」
お 「『仏ファッション』ですね。フランスのファッションかと思いきや、ホトケ系のファッション」
ちなみに、材質が粘土なので、そろーり、そろーりと歩かないとパキッといってしまう可能性があるそうだ。邪鬼の扱いは丁寧に。
■高橋由一的、虫コナーズ
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や 「これはまさか……」
お 「高橋由一的、『虫コナーズ』です。窓にぶらさげるタイプの虫除けネットは、効果はまずまずなのに、どうにも見た目が殺風景……ということで、見栄えがよくて、もっとグっとくるようなガワを作ってみました(キリリ)」
や 「サケコナーズ!」
お 「あくまでも“虫コナーズ”です」
や 「ガワは何で作ったんですか?」
お 「発泡スチロールです。形は高橋由一画伯の名画、『鮭』をお手本にしました」
や 「ある意味、リアル! 力の入れようが、どこかでねじ曲がってる!」
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アクリル絵の具で塗って、ニスでツヤ出し。
■緩衝材で遺跡ジオラマ
お 「次はコチラ」
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や 「おお! 遺跡……ですか?」
お 「緩衝材で遺跡ジオラマを作ってみました」
や 「な、な、な、なんのために!?」
お 「PC周辺機器や家電などを買うと、パルプモールドという、古紙から作った緩衝材に包まれてることが多いですが、あれをひっくり返した形が『遺跡っぽいなー』と思いまして、糊を塗って砂用のカラーパウダーを散布したり、樹木のキットを立てたりしながら作りました」
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こうして撮ると、ますます本物の遺跡っぽいではないか。
や 「この遺跡、名前はついてますか?」
お 「『アーリソーナ遺跡』です。いかにも古代遺跡のイメージ通りで、いかにもありそうなので」
や 「ギャフン!! 素晴らしい完成度」
■長い! リュウグウノツカイ・マフラー
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お 「次はこちら。いかにも神の使いにふさわしい風貌のリュウグウノツカイ。謎の深海魚をマフラーにしてみました」
や 「デカい! 作った理由を聞くのは、もはや野暮なような気がしてきたので、理由は聞きません。大きさは?」
お 「体長400cmです」
や 「ひょえ~~。何日くらいかかったんですか?」
お 「シンプルなメリヤス編みなんですけど、ボディ部分は4~5日かかりました。意外と毛糸は5個で済みましたね」
や 「大都会の片隅で、涙ぐましい努力!」
ちなみに、大人4人がかりで持っても余りある長さだ。
常に、くだらないモノを開発し続ける乙幡啓子さん。このたび、作品をドドーーンと紹介した書籍『乙幡脳大博覧会』(アールズ出版を発売! ぜひチェックしてみてほしい。
●乙幡啓子さんのサイト
「妄想工作所」
<
http://mousou-kousaku.com/>
●やきそば・かおる
山口県出身、東京都在住。ライター、構成作家、写真家。趣味は、変わった人に会って、変わった話を聞くこと。「相づちだけはうまいと言われます」(本人談)
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@yakisoba_kaoru