【今週の注目記事】 「維新壊滅 ソープ接待にご満悦 橋下徹と風俗街の“深イイ関係”」「『ハシモトはクレイジー』『全米軍を敵に回した』ケビン・メア」(「週刊文春」5月30日号) 「『秋元康』盟友の黒い交際 AKB48創始者と暴力団の証拠写真」(「週刊新潮」5月30日号) 「松嶋菜々子・反町隆史『ドーベルマン襲撃事件』の凄惨現場」(「週刊文春」5月30日号) 「NHKが検察に屈した『取り調べ可視化』番組放送延期事件」(「週刊ポスト」6月7日号) 「『痛風がビールで治った』って本当?」(「週刊ポスト」6月7日号) 【ワースト記事】 「米国発 すごい大暴落がやってくる」(「週刊現代」6月8日号) また競馬の話で恐縮だが、今回のダービーはいろいろな意味で面白いレースだった。 現役花形騎手の藤田伸二が書いた『騎手の一分』(講談社現代新書)という本がある。今のJRA体制への痛烈な批判を含めて、半端な覚悟で書いたのではない本である読みどころはいろいろあるが、騎手仲間、特に岩田康成への厳しい評価、それと正反対に武豊への友情あふれる書き方が興味深い。 昨今はエージェント制があり、仲間や言いなりになる騎手でないと馬が回ってこないそうだ。その上、巨大馬主たちが我が物顔に振る舞い、レースにどう乗るかにまで口を出すそうである。そうしたエージェントや馬主たちに擦り寄らない藤田や武には有力な馬が回ってこないから、勝ち星が挙がらなくなっている。藤田は、武豊の騎乗技術は外人騎手を凌ぐものがあるのに、おかしいと怒っている。 今回のダービーに3頭も出走させた藤沢厩舎は、コジーンの主戦騎手である横山典弘からウイリアムズに替えてしまった。 騎手の中で3本指に入る名ジョッキーを替えてしまう“非情”なやり方には、いくら勝ちたいからといってもやり過ぎだと、私を含めた多くの競馬ファンは思っている。 レース前、武の勝利とウイリアムズ騎乗のコジーンの凡走を祈っていた。レースは予想通り、アポロソニックの逃げで始まったが、向こう正面に差しかかり、藤田騎乗のメイケイペガスターがまくり気味に先頭に並びかけ、場内がどよめいた。 藤田はレース後に「ペースが遅すぎて、掛かり方が半端じゃなかった」(スポニチ)と語っているが、私の推測だが、ペースが遅く、最後方から追いこむキズナには不利と見た藤田が、ペースを上げるために思いきって先頭にまで馬を押しやったのではないか。 もちろん、まったくの成算がなかったわけではないだろうが、追い込みを武器とする馬の乗り方ではない。 直線では案の定、前が塞がり、馬群を割って出られないでもがくキズナを尻目に、福永騎乗のエピファネイアが先頭に立つ。間に合わない。見ている者の多くはそう思ったに違いない。最後の100メートルで空を飛ぶが如く追い込んできたキズナの脚は、文字通り“鬼脚”だった。レース後、武豊が目を押さえるシーンをテレビが映していた。日本一の騎手から並みの騎手へと落ち、屈辱に耐えた日々を思い返していたのかもしれない。 長々と書いてしまったが、競馬に関心のある人は、ぜひ読んでほしい本である。 今週は、現代には失礼だが、ワーストを設けさせてもらった。 驚くべき変わり身というしかない。株が上がる株が上がる株が上がるぞ~と囃し立ててきた現代が、5月23日に日経平均株価が前日比1,143円の大暴落をしたからだろうが、180度転換して「大暴落から早く逃げよ」と巻頭特集を組んだのだ。 もちろん週刊誌だから、毀誉褒貶は日常茶飯事。驚くことではないのだろうが、それにしても、ちょっと前まで3万円もあると煽っていたのに、と思わざるを得ない。 この欄でも何度か書いたが、株高、円安誘導は、安倍政権が有効な手を次々繰り出したわけではない。アベノミクスという言葉と国民の期待感がマッチし、そうした空気が後押ししたに過ぎない。 物価は上昇し、長期金利も上がり、アベノミクスの副作用が目に見える形で出始めたところへ、アメリカや中国の不安材料が重なり、歴史的といってもいい大暴落へとつながったのであろう。 現代は「もう売るしかない」と小見出しをつけ、「結局、日本株はアベノミクスで上がっていたのではなく、米国の動向を受けていただけに過ぎない。『米国がくしゃみをすれば、日本が風邪を引く』という構図は21世紀になっても変わっていないのだ」と書いているが、おいおい、今頃そんなことに気がついたのかと、こちらもビックリ。 日本が欲しがるシェールガスについても、シェールガス会社による投機的なやり方が問題になっており、これを実行しているのが投資会社だから「シェールガス革命はバブル以外のなんでもない」(MITのモリス・アデルマン名誉教授)というのである。 結びで現代は「先般の暴落はまだ端緒に過ぎない。株式市場のさらなる大暴落はすぐそこまできている」としているが、これまで現代を読んで株を買ってきた読者は、この記事をどう読むのだろうか。 私の周りにも痛風で悩んでいる友人がいる。ゴルフ場でゴルフが終わって飲むビールは格別だが、そうした人はビールではなく、焼酎の水割りなどを飲んで、恨めしそうにこちらを睨んでいる。 痛風に悩む人には朗報なのだろう。ポストは「ビールを飲んで痛風が治った」という記事を掲載している。 『ビールを飲んで痛風を直す!』(角川書店)の著者で元昭和薬科大学教授、現在は病態科学研究所の田代眞一所長(医学博士)がこう豪語しているという。 「日本人の場合、尿酸の排出機能が低下するケースが多く、いかに尿酸を体外に出すかが問題となっている。ビールには利尿作用があるので、ビールをどんどん飲んで、余分な尿酸を体外に出せばいいというのが、私の考え。もちろん、ビールでなければ痛風が治らないというわけではありませんが、ビールを含めた水分をとることが重要なのです」 また、元鹿児島大学病院長の納光弘医師も『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫)を書き、こう語っている。 「日本酒に換算して1日1.5合(270ミリリットル)は尿酸値を下げ、3合(540ミリリットル)まで飲むと尿酸値が上がった。つまり、適量さえ守れば、ビールを飲みながら尿酸値をコントロールできるのです」 風が吹いても痛いというのが痛風だ。水代わりにビールを飲めばいいというのは朗報だが、よし、といって飲んで痛みがきたらどうするのかね。いささか心配ではある。 同じポストがNHKの番組放送延期の問題を取り上げている。ポストによれば、こうである。 「NHKの報道番組『かんさい熱視線』(毎週金曜夜7時30分~55分)だった。関西の“いま”を切り取る同番組の4月8日放送回は、『“虚偽自白”取調室で何が』と題され、被疑者が嘘の自白をさせられてしまう取り調べの実態に迫った。番組ハイライトは、10年9月、兄弟ゲンカの末に弟の首を絞めて窒息死させたとして、兄が逮捕・起訴された事件の検証である。 大阪地検の検事が作成した調書には『隙をついて背後に回り首を絞めた』『手加減しなかった』などと書かれてあり、兄が弟の首を絞めている認識があったかのように読める。しかし取り調べの模様を記録したDVDが裁判員裁判に公開されたことで検察のストーリーは崩壊した。 DVDには調書に署名した後に、兄が『結果的にそうなってしまった』と話すシーンが録画され、兄の証言が調書の内容と食い違うことが明らかになったのだ」 結局、調書は信用できないとして、兄は無罪となり、大阪地検は控訴を断念した。 これはNHKの『クローズアップ現代』でも放送される予定だったのに、延期になってしまったのだ。それも待ったをかけたのはNHKの内部からだったというのである。NHK関係者がこう話す。 「NHK東京本社の記者が検察の激怒を知って、上層部に進言したそうです。『証拠DVDを再度放送すれば番組関係者が検察に捜査される可能性もある』として、番組中止を訴えた。当局にすり寄る記者連中と、それに反発するディレクターの対立というのはNHKではよくある構図ですが、今回はあまりにもひどい」 そのうち放映される予定だというが、内容が骨抜きにされる可能性があるようだ。NHKの権力に弱い体質が、ここでも露呈したようである。 さて、松嶋菜々子と反町隆史夫妻が飼っていたドーベルマン・カイザーが同じマンションの住人に大けがをさせたことがワイドショーで取り上げられているが、この事件、かなりのものだったと文春が報じている。 事件を知る関係者が、阿鼻叫喚の現場を解説している。 「反町の娘は、愛犬の散歩のためカイザーを二階フロアの共有スペースに連れ出していました。その時A子さんと子どもは一つ上の三階フロアの廊下を歩いていたのです。 すると突然カイザーが暴走し、反町の娘を半ば引き摺るようにして三階に駆け上がった。そしてカイザーはリードをふりほどき、A子さんと子どもに襲いかかるように突進していったそうです。そもそもドーベルマンは力が強く、とても六歳の子どもの手では引っ張りきれるわけもない。カイザーは咄嗟に我が子を守ろうと盾になったA子さんの太腿に咬みつき、そのままずっと離れなかった。A子さんの子どもは横で怯えて泣いていたそうです」 文春によれば、ドーベルマンが人を襲う事件は少なくないという。2010年には愛知県で老人と飼い犬のトイプードルが近所のドーベルマンに襲われ、老人は脳挫傷、トイプードルは咬み殺された。 11年には部活動中の東京の大学生がドーベルマンに襲われ重傷を負っている。環境省の統計によれば、犬による咬傷事故は年間5,000~6,000件にも上り、あまり知られていないが、犬による“殺人事件”も実は少なからず起きている。05年度には年間で11人の被害者が死亡しているが、そのほとんどが老人か子どもだというのである。 飼うには相当な注意が必要なのだ。反町は雑誌「愛犬の友」(08年8月号)のインタビューでこんなことを話している。 「飼い方の責任というのは、かなり問われるなと僕は思っているんです」 反町たちが住んでいたマンションは、大型犬の飼育は禁止されていたというのだから、責任感が欠如していたといわれても致し方なかろう。 AKB48スキャンダルは文春ばかりではないぞと、新潮が「AKB48創始者と暴力団の証拠写真」を掲載している。 この創始者とは秋元康、窪田康志と一緒にAKB48立ち上げた芝幸太郎である。彼は「office48」の代表取締役で、AKB48の48は「芝(しば)」からの語呂合わせである。 芝氏は、強引な取り立てで有名になった「商工ファンド」の優秀な営業マンを振り出しに、いくつかの起業を経て、今のオフィスを設立した。 新潮では以前「秋元康研究」を連載し、そこで芝氏が「暴力団との付き合いもあった」と書いたことで、損害賠償請求訴訟を起こされているのである。 それを証明するために、新潮編集部は取材し、今回の写真を入手したのであろう。さすが新潮。写真には前に男女、後ろに4人の男がいる。左端の人物を除いて全員目隠しをされている。 新潮によれば左端の男が芝氏で、和服姿の女性は山口組後藤組の組長夫人で、その隣にいるのが「後藤組と極めて近い総会屋」、他の男たちは山口組の組関係者だという。 撮られたのは10年ほど前で、組長夫人がやっていたお店の何周年かのお祝いのパーティを、静岡県富士宮市のホテルで開いたときに撮られたものではないかと、書いている。 芝氏は新潮の取材に代理人を通じて、パーティには行ったことがあるが、暴力団との交際はないと答えているが、いささか苦しい言い訳ではないか。 またAKBのバカ騒ぎ「総選挙」が始まった。5月23日付の日刊スポーツがこう報じている。 「まさかの1位だ。21日に投票が始まった第5回AKB48選抜総選挙の速報結果が22日、東京・秋葉原のAKB48劇場で発表された。昨年総選挙1位のAKB48大島優子(24)が過去最低の3位となる中、昨年4位のHKT48指原莉乃(20)が初の首位に立った。2万8563票で2位渡辺麻友(19)に倍近い大差。スキャンダルで移籍した影響を感じさせない驚きの強さを示した。投票締め切り日は6月7日、開票イベントは横浜・日産スタジアムで6月8日に開催される」 アイドルやファンたちの夢舞台の裏で、新潮、文春が報じてきている“黒い交際”や、商品である彼女たちを“愛人”にするような事実があるとすれば、この巨大アイドル・プロジェクトの崩壊も近いかもしれない。 最後の注目記事は、文春の橋下徹大阪市長批判の記事。 5月27日、慰安婦発言で追い込まれた橋下は「外国特派員協会」での会見に臨んだ。 ニコニコ動画で生中継していたから見てしまったが、冒頭、神妙に沖縄の在米軍司令官に言った「風俗へ行け」発言は全面的に謝罪した。 大戦中の慰安婦に対しても謝罪し、二度とこうしたことがあってはいけないと言ったが、河野談話にある、国家が関与して女性を強制的に慰安婦にしたというところは、今のところ明確な証拠はないから、日韓双方での歴史的な検証が必要だと、繰り返し述べた。 質問する側の突っ込み不足が目立った。最初にこのところの一連の発言に関して全面降伏し、その後の真摯なやり取りを含めて、会見自体は決定的なマイナス点にはならなかったのではないだろうか。 私だったら、慰安婦問題で女性の人権を蹂躙したと認め、謝ったことと、在日米軍は性欲処理のために女を買いに行けばいいといったことの整合性が取れていないが、あなたの根底に女性に対する差別意識があるのではないのか、と聞いてみたかった。 「維新が支持を集めてきたのは、『橋下総理』というカードがあったから。橋下氏に期待感はあっても、維新の議員に支持があったわけではなかった。ところが、今回の一連の言動で、橋下氏が総理にはなれない人物であることがはっきりした。これまでは橋下氏の人気が、維新の“求心力”だった。だが、厳しい世論調査の結果を受けて、橋下離れをアピールしないといけないという“遠心力”が働きだした。六月の都議選で惨敗すれば、分裂の方向に進むのではないか」 これは文春の中で政治部デスクの言葉であるが、女性票は間違いなく逃げたと、私も思う。 会見でも質問が出たが、文春は橋下市長がかつて、大阪西成で今も売春が行われているといわれる飛田新地の風俗店を束ねる「飛田新地料理組合」の顧問弁護士をやっていたことを暴露している(橋下も顧問をやっていたことは認めた)。 橋下が風俗好きで、よく通ったという兵庫県福原にある高級ソープランド店Xの従業員は、こんな話をしている。 「橋下さんが弁護士だったころ、よく来られていました。橋下さんが顧問をしているとかで、飛田新地の方が接待をしていたそうです。おそらく大阪で風俗に行くと目立ってしまうので、福原まで足を延ばされたんと違いますかね。サービスした女の子に聞くと『橋下さんとはベッドとマットで二回戦。プレーは普通やけど、凄く風俗が好きなんだろうなというのがわかった』と言うてましたわ(笑)」 橋下市長の風俗好きは年季が入っているのだ。しかし、自分が好きだからといって、あんたたちも「風俗へ行け」と公的な場で、在日米軍司令官に言ってしまうとは、なんと政治家として無自覚なことか。ケビン・メア元国務省日本部長が語っている。 「米軍人みんなが怒っています。私も腹が立っている。『そんな人が政治家になるのか』と。米軍の軍法では、女性の人権侵害になるため、軍人が売春婦を買うこと自体を禁じているのです。風俗施設でお金を払って、性的関係を持ってもいいという考え方はそもそも米軍にはない。私も沖縄に三年いましたが、米軍人の性犯罪は日本の法律のもとで厳しく対処すべきでしょう」 橋下氏の心ない発言が、女性や韓国だけでなく、アメリカまでも怒らせてしまったのだ。老婆心だが、これ以上舌禍をしないためにも、政治の世界から早く身を引いたほうがいいのではないだろうか。 (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊文春」5月30日号 中吊り広告より
↧
維新の会、橋下徹の慰安婦問題をめぐる発言でいよいよ分裂か!?
↧