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“軍艦島”こと端島
先日の「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録は、歓声が響く一方、不安の声も聞かれる。
「嫌がらせとか、テロみたいなことがなければいいんですが……」
福岡など8県23資産の世界文化遺産登録への登録は、韓国の抵抗で審議の先延ばしもあった。7月5日、ユネスコ世界遺産の仲間入りが決定した際は、韓国も渋々賛成に転じ、21委員国の全会一致となったが、これで収まらないのが韓国内の“反日”勢力。一部施設で朝鮮人労働者を強制的に徴用した話については、「働かされた」とする文言を文書に入れることでの合意が伝えられたが、韓国の一部メディアでは「太平洋戦争の道具は世界遺産にふさわしくない」と、いまだ批判が継続。さらに日本批判を続ける市民団体からは「島を破壊すべき」と、軍艦島の通称で知られる長崎県の端島を指して過激な声すら上がっている。
「軍艦島は、ナチスによるアウシュビッツ強制収容所と同じようなものだ」
今回の登録決定を受け、市民団体「平和と安らぎの心」のメンバーは、ネット上でそう主張。さらに「施設にMERS患者を乗り込ませたい」「テロとは見なされない攻撃方法もある」などと過激な意見を投稿し「準備をして、来年1月に登録された場所で同時行動を行う」と“犯行予告”まで行った。
こうした投稿は一部の良識的な韓国民から「恥を知れ」と批判が持ち上がり、すぐに非公開とされたが、福岡県の八幡製鉄所や長崎県の三菱長崎造船所、佐賀県の三重津海軍所跡など、登録された各所では、こうした反発が形となって現れないかと不安を抱く市民も少なくない。
実際に今年6月、軍艦島には「勤労挺身隊のおばあさんと共にする市民の会」なる市民団体が、20人ほどで上陸を試みた。表向き「強制労働者への追悼で反日感情とは関係ない」としたが、時期的に世界遺産登録を妨害する動きであったことは明らか。結局は船の故障で上陸は断念されたが、別の場所で声高にデモを行なったことで、一行に抗議する日本人との間で騒ぎに発展した。団体の参加者の中には、以前日本で過激な反日デモを行なった人物もおり、入国審査で4時間ほど足止めされていた。
すでに大手観光業者が「明治日本の産業革命遺産」のすべてを巡るツアーの販売を計画しているが、ある業者は「もしも反発する一団とトラブルになったら大変。遺産の中には警備が厳重といえないところもあるので、慎重にツアーを組まないと、万一にもトラブルが起きてしまったら、我々も責任を負うことになりかねない」と複雑な胸中を漏らした。
自民党の谷垣禎一幹事長は登録決定翌日の記者会見で「観光産業に非常に大きなインパクトがある」としたが、大きな集客には相応の警備体制が不可欠であることを認識すべきかもしれない。
(文=ジャーナリスト・片岡亮)