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山本わかめ監督
ソフトオンデマンド(SOD)新進気鋭の女性AV監督、山本わかめの最新作『SOD女性監督・山本わかめ式『射精コントロール』~勃起した男子は‘射精の快楽’を味わうためなら、女子の言いなりになってしまうのか?~』が、今年も開催されるアダルトビデオ日本一決定戦『AV OPEN 2015』のSODエントリー作品に選ばれた。SOD入社からまだ数年足らず。現在弱冠25歳の山本監督の作品が選出されるのは異例の快挙だ。イケメン男優たちをいたぶるフェミニスト全開な作品で業界の話題をさらう山本監督に、今回『AV OPEN』に向けての熱い意気込みを語ってもらった。
──女性のAV監督ってちょっと珍しい存在だと思うんですけど、またどうしてAV監督になろうと思ったのですか?
山本わかめ(以下山本) 大学時代に心理学を専攻していたんです。人間の行動学なんかを真面目に研究していたんですけど、そのなかで“女性のおっぱいは、なぜ大きくなるんだろう”とか、人間の性についてもずっと勉強していて、ちょうどSODが、厚生労働省がやっているような日本人のセックスの平均なんかをデータ化するような事業をやっているのを知って、SODに興味を持ったのがきっかけです。出身も大学も京都で、最初は京都でまったく関係ない普通の業界に就職したんですけど、その1年後に上京することになって、改めてSODに入社したんです。
──最初から制作部志望だったんですか?
山本 それまであんまりAVとか見たことがなかったので、最初から制作部に入ろうとは思っていなかったです。SODのデータ事業に興味があったんですけど、それがなくなってしまって、それで制作部に。その後ADから初めて、やっていくうちに監督を目指すようになりました。
──娘がAV監督を目指すことに対して、ご両親の反応はどうだったんですか?
山本 うちの親が、そもそもピンク映画出身の井筒和幸監督の大ファンだったので、そういう例え話をいっぱい出して、どんな監督も初めはアダルトから始めているとか適当なことを言って説得しましたね(笑)。
──AVをほとんど見たことがなかったということですが、制作部に入って、いきなりそういう現場を目にするとショックも大きかったのでは?
山本 初めてのAV現場は、サウナレディものでした。女の子がオーバーアクションするような激しいものを想像していたんですけど、でもその作品はちょっと特殊な作品で、音がほとんどないような特殊な環境だったんです。激しい現場なら引いていたかもしれませんけど、わりと抵抗はなかったです。例えば、痴漢ものであっても、レイプを扱ったものであれ、現場に行くと女優さんはメイクルームで笑っているし、内容はどんなに激しくても、現場は意外と和やかだったりするんです。男優さんの裸についても、男優さんだと思うと、けっこう普通に受け入れることができました。
──AD時代の一日のスケジュールはどんな感じだったんですか?
山本 朝9時半に会社に来て、10時まで朝掃除をしなくてはいけなくて。その後に少し事務仕事をして、次のロケの台本を確認したりして、お昼ぐらいから先輩や監督が来ると打ち合わせです。午後からは小道具とか、衣装の買い出し。ジャンルによってはリアリティが必要なんで、靴下まで細かく選んだりして、女の子のお部屋の作り込みの買い出しまでやると、これが結構時間がかかるんですよ。こだわる監督は一緒について来るんで、一日かけて一緒に探したりして、夜遅くに帰ってくる感じです。監督に買ったものを確認してもらって、それから小道具も作ったりする場合は、家に帰るのが深夜2時、3時になることもありました。1年目はそんな感じで、朝まで仕事していましたね。
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──撮影の頻度は1カ月で何本くらいあったんですか?
山本 ADのときは月にそういう作り込みまで担当するロケが3~4回入るんですけど、当日になって「急遽行ってくれ」なんていう現場もあって、結局5~6本かな。
──やっぱり監督のしごきにあうこともあったんですか?
山本 そうですね~(笑)。でも、監督にもよりますね。怒る監督もいれば怒らない監督もいますし。例えば野本(義明)監督なんかは、わりと何があっても怒らないタイプでした。怒られるといっても、ADが必要なものを揃えていなかったりとか、結局私が悪かった場合ですよ。
──ADを3年間。厳しい現場環境でよくもちましたね。
山本 一番つらかったのは、やっぱり1年目。でも2年目からは後輩も入ってくるんで、ちょっとマシになったりしました。ずっと監督に合わせていたスケジュールも、ちょっとだけ自分の都合のいいように変えれるようになって、この日は休もうとか(笑)。
──ADを経験して、その後監督に?
山本 ADがつらくて、早く監督になりたいと思っていたんです。私自身ができるADか、できないADかといったら、完全にできないADの方だったんで。あと、監督を見ていると、いいなって。現場が楽しいだろうなって。私はADをやっているころは現場を楽しいと思ったことがなかったんです。最初の頃はエロもよくわかっていなかったんで(笑)、そんな中でも野本さんの現場が楽しかったのは、女の子をかわいく撮るとか、野本さんの言っているポイントが正しく理解できたからです。他の現場は何がいいのか、いまいち共感できていない場合も多かったです。同期の男の子なんかは、みんな楽しいって言っていましたけどね。私は早くADを卒業して監督になりたいと思っていました。
──出世としては早い方なんですか?
山本 私は1年目の11月に初めて作品を撮らせてもらったんです。それが今SODにある「アマチュアインディーズ」っていうレーベルができるきっかけにもなった作品だったんですけど。ちょうど私の世代から、一年目でも社長の高橋がなりさんに企画を持っていくような機会をもらえるようになりまして、そこで私と同期の何人かと、まだ一年目だけど、「これ、撮っていいよ」って声をかけてもらったんです。それをどこで売り出そうってなったときに、通常のラインアップに入れるのは不安だからって「アマチュアインディーズ」が立ち上がったんです。そこを若手の教育の場にしようって。レーベルのおかげで、本当に運良く1年目から監督をできました。
――それまで映像の経験はあったんですか? 自主映画を作っていたとか?
山本 ないですね。
――いきなりできるものなんですか?
山本 やっぱりカメラワークなんかは今でもひどんですけど、でも最初は野本監督はじめ、ベテランの監督の方に完全バックアップしてもらって撮りました。それが「素人男子をトイレで逆レイプ…したら逆に感謝されちゃいました!」っていう作品です(笑)。
――山本さんの作品は、男性を襲うような内容のものが多いんですが、男性への逆レイプにもともと興味があったんですか?
山本 性的に自分がドSかといったら、そんなことはないんですけど、ただやっぱり、ADを始めたころから、イケメンというか、見た目がある程度いい男の子が、恥ずかしがったり困ったりしているけどアソコは固くなっているというのを撮りたいという願望が芽生えていましたね。あと、電車とか乗っていて、高校生のかわいい男の子なんかを見ていると、逆痴漢とか、いいなって(笑)。
――そういう願望って一般の女性もあるものなのですか?
山本 ない子はまったくないと思います。でも女優さんに話すとわかってくれる子はいましたよ。たぶん密かに持っていると思うんです。イケメンにどうこうされたいというのもあると思いますけど、イケメンをどうこうしたいというのも、女性の心の中にあるんだと思います。
――監督としてはその後8本も作品を撮っていらっしゃいます。
山本 「アマチュアインディーズ」で、なんだかんだ8本も撮っていました。みんな本当は3本っていうルールで、そこで監督に向いていなければ、じゃあ、プロデューサーが向いているのかとか適正をみるためのレーベルでもあるんです。ただ、その適正を見ようって方針になったのはわりと最近で、それまでは「アマチュアインディーズ」で、若手にとりあえずたくさん撮らせようっていう社内の空気があったんです。その時は撮れる若手もあんまりいなくて、でも毎月企画を1本は出さないといけなくて、自分はなんだかんだ8本も撮っちゃったんです。
――素質があったんですね。
山本 運があっただけだと思います。
――しかも今回の『SOD女性監督・山本わかめ式『射精コントロール』~勃起した男子は‘射精の快楽’を味わうためなら、女子の言いなりになってしまうのか?~』は『AV OPEN 2015』にエントリー。
山本 今まで、自分の好きに撮っていたので、どうしても女性目線の強い作品が多かったんですけど、これはそういうのをあえてやめて、男性目線にも気を配って撮りました。私、けっこうAVで男の体ばかり撮っているところがあったんです。もちろん根本はかわいい女の子があってこそだとはわかっているんですよ。イケメンとの組み合わせは絶対かわいい女の子じゃないとダメだとか。でも撮るとどうしても男の子の方をピックアップしすぎていた部分があって……。でも今回はさすがに『AV OPEN』で、一応SODクリエイトの名前で出すので、そういうわけにはいかないなって。プレッシャーもありましたね。
――波多野結衣さんなど、錚々たるメンバーが出ていますね。
山本 この企画自体がすごく難しい内容だったんで、この女優さんたちじゃないとできないというのがあって、女優さんは慎重に選びました。
――作品自体はどういう内容なんですか?
山本 ざっくりいうと、男の人は勃起して射精したいという願望が芽生えると、女の人のどんな言うことでも聞いてしまうのだろうか、というのを、普通にモテなくて普段からセックスに餓えているっていう男の子じゃなくて、ぜったいAVに出なさそうな、むしろ射精には困っていないくらいのリア充な子で実験したという作品です。彼女もいて、セフレもいるような子でも射精したくなったらなんでも言うことを聞くのかっていう。
――出来映えはご自身ではどのくらいですか。『AV OPEN』いけそうですか?
山本 『AV OPEN』は、たぶんいけると思うんですけど……(笑)。
――今後はどういう作品撮っていきたいですか?
山本 ゆくゆくは女性向けの作品を作りたいです。それは私が入社してすぐくらいから心の中に願望としてあったこと。私が1年目のときに「ガールズCH」という女性向きのアダルトサイトもできて、そこに女性社員がたくさん投入されて、イケメン男優さんがたくさん出ていて、そういうのをやっていて楽しいなって。ただ、女性向け作品を撮るにしても基礎の能力はSODクリエイトで、ある程度つけないと役に立たないと思うので、自分の好きな作品をどんどん撮っていくのがいいのか、それとももっと男性が好きそうなスタンダードなものに挑戦したほうがいいのか、今はちょっと悩んでいます。
――山本監督の“イケメンにドS”路線が、どう変化していくのか楽しみです。
山本 自分としてはやっぱりイケメンを撮りたいですからね(笑)。ドSに関しては、もともと性癖としてはドMなほうなんです。結構AV女優さんにも多いんですけど、ドM出身の人って、付き合う人とか相手によってSに変わる場合があるんです。たぶん自分もそれだと思うんです。いつ切り替わったかはわからないんですけど、たぶん付き合った人とかの影響で、いつのまにかドSになってしまったんだと思います。付き合った人もずっとSっぽい人ばかりと付き合って、ある日Mの人と付き合って、「あ、男をいじめるのは楽しい」って目覚めたんです。
――ということは、プライベートも今はドSなんですね
山本 そうですね。私の作品でした行為は、たぶん全部私生活でもしています。どちらかというと私の場合、作品からより現実でやるほうが先。そこで面白かったら企画にあげるんです。
――『AV OPEN』への意気込みも聞かせてください。
山本 はあ~(溜息)。すごく難しいロケだったんですよ。というのも、今までみたいに自分ひとりで「わ~っ」ていって撮れるもんじゃなかったし、このロケ自体、すごく偉い人に囲まれて完全バックアップで撮ったんですけど、たいへんでした。いろんなこと言ってくるし(笑)。自分がこうしたくてもこうできないという環境もあって。ただ、自分の思い通りにといっても、今はまだそれもなかなかできないし、そういう能力もついていない。だから何も言えないんですけど。この『AV OPEN』の結果次第で私の将来も変わるので、これがいい結果を残せればなって思っています。成功すれば自分の撮りたいものを撮っていいという環境にいけますし、この結果が散々であれば、もっとちゃんとした売れる男性向け、自分の好きなこと関係なく、ちゃんとサラリーマンとして監督をやる道になるんだろうなって。私にとっては、そっちのほうが難しい道なんですけど。
――監督はずっと続けたい?
山本 今はずっとやりたいと思いますね。この作品の一本前に「アマチュアインディーズ」で撮った作品が、実際に痴漢をしていて、捕まったことのない犯罪者の人たちを「世直し逆レイプだ」って、レイプする内容だったんです。その際に本物の痴漢を見つけて話を聞いたりしたんですけど、私自身はその人たちに嫌悪感は感じなかった。彼らも被害者というか、自分の中にある性癖がたまたま法に触れてしまう肩身の狭い思いをしている人たちという印象で、そういう人たちの話を聞くと、この仕事を通じてその人たちの助けもできるんじゃないかなって思ったんです。やりがいのある仕事だって。山本わかめというのはフェミニストで、男を犯すことに生き甲斐を感じる気違いババアみたいなテイストでやっていくのが本当は正しいんでしょうけど、私自身は普通の女の子。自分への演出が難しいと感じる時もあります。この『AV OPEN』で自分の将来がかかっていることもあるんですが、9月1日の表彰式で、改めて今後の活動についても意気込みを述べようと思います。楽しみにしていてください。
(インタビュー・写真=名鹿祥史)
●『AV OPEN 2015』
http://www.av-open.jp/
●ソフト・オン・デマンド
http://www.sod.co.jp/index.html