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海外逃亡した中国汚職官僚をめぐって、習近平と欧米諸国の「総資産20兆円」奪い合いが勃発

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3月にラオスから強制送還された天津市国税局の元職員
 習近平政権による「反腐敗運動」以降、中国の官僚や政治家、はたまた地方公務員にまで蔓延する汚職のニュースは、連日中国のメディアにも取り沙汰されている。習近平政権の「虎もハエも退治する」というスローガンの下、大物政治家や地方公務員に対して大規模な汚職撲滅運動が行われているが、最近では、大企業の幹部なども贈賄などで逮捕される事例が相次いでいるようだ。  2014年だけで、5万人以上の公務員が摘発されたことが分かっているが、その一方で、汚職容疑で逮捕状が出されているにもかかわらず、海外に逃亡して悠々自適な生活を送っている者も多数いる。「南方週末」(4月30日付)では、海外に逃亡した中国人たちの生活ぶりについて報じている。
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中国政府が“指名手配”している海外に逃亡した汚職官僚
 同紙は、中国共産党中央規律検査委員会がHP上で、汚職などの容疑で指名手配となっている100名の名簿を掲載したと報じた。インターポールや中国当局の調べでは、逃亡先人気ナンバー1はアメリカで、40人が逃亡。次いでカナダの26人。ほかにはニュージーランド、オーストラリア、タイ、シンガポールなどが人気だそうだ。海外に脱出した汚職官僚の総資産を合わせると約20兆円、中国の国家予算の5分の1にもなる計算だ。  そんな中国当局のブラックリスト100名の中で、最も成功した男性がカナダにいた。その名は程慕陽(マイケル・チン)氏だ。  マイケル氏は、政府高官だった父のもと1969年に江蘇省に生まれ、香港の投資会社で社長を務めていた。しかし、贈賄と盗品売買などの罪状により指名手配に。2000年にカナダへ逃亡すると、土地や住宅、さらには島の売買により巨万の富を築いた。現在では不動産・ホテル・美容・建築・ITと多岐にわたる会社を経営し、カナダの財政界に大きな影響を及ぼす人物として現地メディアからも注目されるようになったという。
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マイケル・チン氏のカナダにある豪華な邸宅の写真
 逃亡先でさらなる成功を収める者もいれば、中国へ強制送還される者も少なくない。最近では、元江西省財政局に勤めていた李華波が強制送還された。彼は、公金9,400万元(約18億円)を横領した容疑で指名手配され、シンガポールに逃亡していた。これまで人権問題などの理由で、中国政府からの指名手配犯の引き渡し要求に消極的な態度を見せていた欧米諸国も、最近は態度を軟化させ、引き渡しに応じる案件が増えてきた。「騰訊財経」によると、昨年1年間で中国に強制送還された汚職容疑者の人数は500人を超え、30億元(約600億円)の資産を没収することに成功したと報じている。 「中国政府は現在、米政府に対し、アメリカに渡った汚職官僚数百人に対して引き渡すよう求め、ハイレベル協議が進んでいます。彼らのアメリカにある資産を合わせると約8~10兆円にもなるそうで、中には起業や企業買収で数千人の雇用を生んでいる元汚職官僚もいる。また、華人系議員や市長に多額の献金をして“守り代“を払っている者もいます。そのため、やすやすとアメリカが引き渡すとは思えない。引き渡すとしても、小物のみに絞って資産を没収した上で、第三国経由に放逐する形になるでしょう。どちらにせよ、汚職官僚たちは戦々恐々としているはずです」(米中関係に詳しい国内シンクタンク研究員)  現在、アメリカのロサンゼルスやカナダのバンクーバーには、汚職容疑で逃亡している中国人によって作られたコミュニティーが存在するといわれている。中には愛人を囲い、横領した公金で優雅な生活をしている者もいるようだ。しかし、今後アメリカ政府も、この逃亡中国人たちを中国政府との交渉に、外交カードとして積極的に利用する可能性が高いと思われる。次の逃亡先を考えるか自首するか、彼らに残された選択肢は少なくなってきている。 (取材・文=青山大樹)

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