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道路陥没&地盤沈下が止まらないソウルで、相次ぐ手抜き復旧工事「ロッテワールドタワーは大丈夫か!?」

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龍山区で通行人2人が地面に吸い込まれる瞬間。各国のメディアが報じた映像(YouTube「YTN」チャンネルより)
 ソウル市で道路陥没や地盤沈下が多発し、市民を震え上がらせている。2014年6~8月、ソウル市松坡区石村洞だけで計12カ所の道路が陥没。中には深さ11m、あるいは幅80mに達する巨大な陥没もあった。松坡区では同年11月、地盤沈下で中層マンション5棟が傾く騒ぎも。また今年2月には龍山区の歩道が突然陥没し、20代男女2人が地下3mに転落。病院へ運ばれた。3月には江南区の地盤沈下でバイクが転倒、また西大門区の陥没でタンクローリーが横転。4月2日にはまた江南区で6カ所の陥没が同時発生し、乗用車がはまり込む事故も起きた。
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西大門区でタンクローリーが横転する瞬間。ドライブレコーダーの映像
 大都市での道路陥没や地盤沈下は、珍しい現象ではない。日本でも今年に入って東京、名古屋などで相次いでいる。しかし最近のソウル市は、その集中ぶりが明らかに異常だ。市内の道路陥没件数は過去5年で3,328件、年別では2010年の436件から13年には850件と倍増。そして市内に25ある区のうち、松坡区に25%が集中する。  道路陥没の主な原因は、上下水管の老朽化。上下水管から漏れた水が地中の土砂を押し流し、空洞を作るわけだ。これは各国の都市で起きており、東京でも90年代から老朽管の調査・交換を行っている。ソウル市は昨年秋から日本企業や東京都などの協力も得て、調査を実施。今年4月には、過去5年間の陥没は81.4%が老朽管によるものと発表した。18年までに築50年超の下水管932kmを交換する計画だったが、一連の騒動を受けて、調査・交換対象を2,720kmに拡大している。  だが市民の多くは、それで問題が解決するとは思っていないようだ。韓国の専門家は現地紙で「直接の原因は老朽管だが、根本的な問題は別」と指摘する。老朽管は全国にあるのに、陥没が一部地域に集中しているからだ。  最も頻発する松坡区では、地下鉄9号線の延伸とロッテワールドタワーの建設が進行中。周知の通りロッテワールドタワーは工事中の事故が続発、昨年秋のプレ開業後もトラブルまみれだ。敷地と接する人造池・石村湖では着工以来、原因不明の水位低下が続いている(記事参照)。  ソウル市は昨年8月、松坡区石村洞の陥没とロッテワールドタワーの工事は無関係と発表。原因は地下鉄延伸工事の施工不良と結論付けた。だが、これに懐疑的な市民は多い。地元政財界に対する、ロッテ財閥の影響力が極めて強いからだ。漏水や異常振動で閉鎖されたロッテワールドタワーの水族館と映画館は、5月12日から営業を再開。しかし地元市民団体は「応急処置だけで根本的な問題は未解決」と憤る。
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石村湖の水位低下を伝える現地報道。ロッテ側は「工事とは無関係」と主張するが……(YouTube「MBC News」よりチャンネル
 さらに今月6日には、陥没の復旧工事でソウル市の手抜きが発覚。99カ所の陥没現場で、復旧後に陥没が再発したことが明らかになった。掘り出した水浸しの土砂を工事に再利用し、再び地盤を流出させた結果だ。加えてソウル市は13年から昨年にかけて問題の松坡区に老朽管の調査予算を計上せず、区も放置していたことが判明。お粗末かつ不可解な対応に、市民の不安は募るばかりだ。 (文=コリアラボ)

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