Quantcast
Channel: 日刊サイゾー
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2953

“痴漢で検挙”の警視庁元スゴ腕刑事を黙殺した、大手メディアの罪 

$
0
0
mokuji0729.jpg
「週刊現代」8月10日号 中吊広告より
●今週の注目記事 「スクープ 痴漢で『検挙』された警視庁の元スゴ腕刑事 知ってて報じなかった新聞・テレビ」(「週刊現代」8月10日号) 「カネボウ美白化粧品 被害者告白『体がマダラになっていく恐怖』」(「週刊文春」8月1日号) 「現代の『八つ墓村』山口金峰5人殺しで囁かれる『平家落人伝説』と『祟り』」(「週刊ポスト」8月9日号) 「参院選“仁義なき”裏ドラマ」(「週刊文春」8月1日号) 「池上彰さん選挙特番の『タブーなき質問』」(「週刊ポスト」8月9日号) 「中国『闇金バブル』崩壊 アベノミクスがけし飛ばされる」(「週刊ポスト」8月9日号) ●ワースト 「史上初の快挙『アノ声が出る袋とじ』作りました」(「週刊現代」8月10日号)  現代の軟派特集はまたまた外性器ではない「外陰部」。こちらはどうということはないが、グラビアでは「じぇじぇじぇ! 開けてビックリ 史上初『声が出る袋とじ』」をやっている。  早速、女のあえぎ声が聞こえてくるのかと開いてみたが、なんのことはない、URLが書いてあって、そこにアクセスすると、グラビアで裸になっている「野乃」という女性が自ら朗読してくれるという仕掛けである。  試しに聞いてみたが、素人の語りで、ちっとも興奮しない。早かったせいもあるが、見に来ている人数は1ケタ台だった。私も同じようなことを十数年前のインターネットマガジン「Web現代」でやったことがあるが、朗読のプロを使いもっと本格的だった。もう少し工夫をしてほしいという思いを込めて、ワーストにした。  注目記事の5番目は、このところ話題になっている中国の「影の銀行」問題に言及しているポストの記事。  「影の銀行」とは、簡単にいえば、当局の規制下にある通常の銀行とは違う金融業態の総称で、一部には日本でいわれる「闇金融」に近いものもあるという。  「影の銀行」の融資手段は、主に2つあるそうだ。 「1つ目は『理財商品』と呼ばれる財テク金融商品だ。運用会社が組成して、銀行窓口で販売され、主に個人が購入する。集まった資金は、中小企業や、不動産やインフラ開発を行う地方政府のダミー会社『融資平台』に融資される。2つ目は『委託融資』と呼ばれるものだ。お金が余っている大手国有企業が余剰資金を銀行に預金し、そのお金が銀行の紹介で中小企業や『融資平台』に融資される」  委託融資とは銀行の迂回融資であるケースが多いようで、銀行が大手企業に非常に安い金利で過剰融資をして、その金がまた銀行に預けられ、高金利で中小企業や『融資平台』に融資されるやり方だという。  これが中国版「リーマンショック」になる可能性大だというのである。  ポストによれば、中国のヤミ金バブル崩壊は2つのレベルで中国を揺るがすという。 「1つは一般大衆の生活に直接ダメージを与えることだ。財テク商品の購入者の多くは中間所得者層以下の一般市民。銀行の預金金利がインフレ率よりも低いことがあるため、預金すればするほど損をしかねないのが中国の現状だ。だから、彼らは生活資金までも影の銀行での運用に回しているケースが多い。彼らがダメージを受ければ個人消費の大きな落ち込みは避けられない。(中略) もう一つは、銀行まで経営危機に陥り、金融危機が起こることだ。『先に述べたように、銀行が大企業を挟んで“迂回融資”しているという側面がある。融資先の地方政府が放漫経営をして経済が滞ったりすれば、企業が連鎖倒産し、さらには銀行にも倒産危機が広がる可能性があります』(金融ジャーナリスト・永山卓也氏)」  そうなれば、アベノミクスなどけし飛んでしまうというのだ。アベノミクスどころか世界大恐慌にもつながる大変な事態になり、中国経済そのものが大打撃を受けることは間違いない。上辺だけのアベノミクスに浮かれていないで、万が一を考えておくことは、現代に生きる者として大事なことであろう。  お次は、7月21日に投開票が行われた第23回参議院選挙についての記事。投票率は前回よりも5.31ポイント下がって52.61%という、「戦後3番目」に低いものだった。  自民党が65議席(選挙区47議席、比例区18議席)を獲得して第一党に返り咲き、公明党の11議席(選挙区4議席、比例区7議席)と合わせて過半数を上回る135となり、参議院における“ねじれ”は解消した。  一方の野党は、民主党が結党以来最少となる17議席(選挙区10議席、比例区7議席)と惨敗。日本維新の会・みんなの党も議席は伸びず、共産党だけが5議席増の8議席と躍進した。  当然ながら、両院で圧倒的多数を占めた安倍首相の動向に注目が集まっている。来年の消費税3%引き上げはあるのか。8月15日の靖国公式参拝はするのか。憲法96条を改正して憲法9条を含めた全面的な憲法改正に踏み込むのか。尖閣諸島問題で話し合いさえできない中国との関係はどうなるのか。  全体的に見て、文春のワイド特集が読みごたえがあったと思うので、文春を中心に他誌も紹介してみよう。  まずは消費税問題。文春では安倍首相の経済ブレーンである浜田宏一イェール大学名誉教授と本田悦朗静岡県立大教授が、共に「一気にプラス3%となる増税は慎重にすべき」だとしている。さらに本田教授はこう話す。 「いま、アベノミクスで希望が見えつつありますが、本当に一気にプラス3%となる増税に耐えられるのかは疑問です。まだ、駆け込み需要も含めた見せかけの数字に過ぎない。 日本は財政再建を真剣にやっているんだと内外に示しつつ、よくなりつつある景気の中折れを防ぐには、消費税を1%ずつ、5年間かけて上げていくというのが一番現実的です」  だが、もしこれをやるとなると「新法」を制定しなくてはならないそうである。  そうなれば、昨年苦労して三党合意をまとめた谷垣禎一総裁(当時)をはじめとする派閥領袖クラスがこぞって猛反発することが予想され、ことはそう簡単ではない。  現代はモスクワで開かれたG20(主要20カ国・地域財務相中央銀行総裁会議)に出席した麻生太郎副総理兼財務相が「消費税増税は予定通りやりたい」と宣言したことで、増税を「国際公約」にしたことを重視し、政治ジャーナリスト山田惠資氏がこう読む。 「消費税増税に関しては、安倍首相が前回のG8サミットでドイツのメルケル首相から注文を受け、OECD(経済協力開発機構)は日本に消費税の引き上げを求めています。さらに、財務省も圧力をかけており、結局安倍首相は、『消費税増税やむなし』と決断することになるでしょう」  個人的には、幕末の志士気取りの安倍首相は、増税やむなしに傾くのではないかと思う。  次に靖国参拝問題。文春は「参拝の時期に関しては総理自らが適切に判断されるでしょう」(安倍側近の衛藤晟一首相補佐官)と、判断保留している。  この問題で新潮は、さる官邸関係者にこう言わせている。 「彼は、2016年夏の衆参ダブル選挙で勝利した上での長期政権を目指しています。したがって、一歩間違えば命取りになりかねない『歴史問題』には、16年まで本格的に手をつけるつもりはありません」  だが、第1次政権時代、靖国参拝できなかったことは「痛恨の極み」と常々言っている安倍首相だから、政治ジャーナリストの山村明義氏のように「ラストチャンスは、10月17日から20日までの秋の例大祭です」(新潮)と見る向きもあるようだ。新潮は、この問題で悩む安倍首相をこう評している。 「真夏の選挙戦を制した安倍総理だが、靖国参拝に腐心し、身悶える、寝苦しい夏の夜はまだ続きそうだ」  憲法改正については、今のところ公明党が慎重である。新潮で政治評論家の浅川博忠氏が、こう解説する。 「創価学会の中でも、憲法九条の改正を絶対許さないという立場を取っているのが『婦人部』です。公明党は、護憲ではなく“加憲”という立場ですが、その中身は環境やプライバシーに関するものばかり」  安倍自民は公明党が改憲に賛同しない場合は、改憲に前向きな維新やみんなの党と手を組めばいいから、公明党は苦しい立場に追い込まれるかもしれないと新潮は見ている。  現代も「首相は周囲に、『憲法については急がない』などと話しているという。だがその意味は『急がない』だけで、やる気は十分ということでもある」と、任期中にやってくる可能性はあると見ている。  戦後最悪といわれる中国・韓国との関係については「ニューズウイーク日本版」(7月30日号)が「安倍外交、半年間の通信簿」でこう書いている。 「中国政府は東シナ海における覇権の拡大という長期的目標の追求を続け、安倍はそれを阻止する手を打てずにいる。日中双方に譲歩する気がなく、それぞれの立場に固執するばかりだ。さらに安倍政権は、いわゆる尖閣防衛について、アメリカからこれまで以上に踏み込んだ発言を引き出せずにいる」  日韓関係もお先真っ暗な状態だから、評価はCと厳しい。  安倍首相関連はこれくらいにして、参院選のこぼれ話を拾ってみよう。新潮は日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、9月29日に投開票される堺市長選で負けるようなことがあれば、次はないと報じている。  この選挙では橋下市長の政策の中核である「大阪都構想」が争点になるからだ。だが、現職の竹山修身市長は「大阪都構想」に反対の立場をとっているため、引きずり下ろさなければならないのだが、この時点で候補者さえ決まっていない“異常事態”なのだそうである。  東国原英夫氏の擁立も検討されているというが、敗色濃厚のようだ。もう一人の共同代表・石原慎太郎氏がトボトボと東京・広尾の路上を歩いている写真が新潮に載っている。  選挙戦のラスト3日間、一度も街頭に出なかった石原氏だが、広尾の病院で診察を受けていたという。この姿から見ても、代表の座を退くのは時間の問題だろう。  その維新から立候補し、当選を果たした“燃える闘魂”アントニオ猪木氏が24年ぶりに永田町に戻ってくる。  70という年齢、政策らしきものが何もないこのタレントに、年間2,400万円の議員報酬と1,000万円を超える文書通信交通滞在費が支給され、6年間で収入は総額2億円を超えると新潮は書き「それも国民の度量か」と嘆息している。同感ですな。  文春は猪木氏の妻子はアメリカにいて、選挙期間中は「愛人」同伴だったと報じている。この人、今もスキャンダルの宝庫である。  その文春でブラック企業と批判キャンペーンされたワタミ前会長の渡邉美樹氏は、自民党の全国比例18議席のうちの16番目でなんとか当選を果たした。  その渡辺氏、よほど文春が憎いのか、選挙中にFacebookにこう書き込んだと文春が報じている。 「ワタミの桑原豊社長が応援に来てくれました。『週刊文春なめんなよ!!』ダメだって桑原さん、Facebookでそんなこと言っちゃ…(笑)」  ところがこの文章は、30分もたたずに削除されたそうだ。文春対渡辺のバトル第2ラウンドは永田町に移ったが、先が楽しみである。  東京選挙区・第3位で堂々当選したのは共産党の吉良よし子氏。12年ぶりに共産党は議席を取り戻した。彼女は選挙中、ワタミをはじめとするブラック企業追及を舌鋒鋭くしたと文春が書いている。  彼女は共産党とも思えない美形で、支持者たちからアイドル的な存在として人気があり、支持者たちは彼女の写真集まで制作したそうだ。『KIRAry☆Diary』と題された写真集は、発売10日で1,000部が完売した。彼女はブラック企業についてこう語る。 「労働者を生きていけないような状態に追いやっている。人を燃料のように使い捨てるやり方は、同じ人間として許しがたいんです」  文春の言うように、国会で渡邉氏との対決が楽しみである。  今回の選挙で一番注目を集めたのは、やはり東京選挙区から出馬した反原発の星・山本太郎氏であろう。見事4位当選を果たしたが、新潮は山本氏の横にいるべき夫人の姿が見えないと訝っている。  彼女は選挙中も、山本の母親とフィリピンに滞在していたそうだ。新潮がその理由を聞くと、こう答えている。 「僕ひとりでも殺害予告されているんです。だって(妻が姿を現せば)マトが2つになっちゃうじゃないですか。僕が直接狙われなくても、あちらが狙われると……その手には乗りません!」  大変な覚悟で挑んだ選挙だったようである。  みんなの党の渡辺喜美代表は相変わらず、妻のまゆみさんの尻に敷かれているようだ。東京都議選で議席を増やしたため、まゆみさんが「もっと候補者を擁立すべき」だと言い出し、バタバタで候補者を擁立したため、多くが惨敗してしまった。  党ナンバー2の江田憲司幹事長が「候補は役員会で決めるべきだ」と主張しても、渡辺代表は聞きもせず、江田氏が党を出るという話まで出ているというのである。野党再編の口火を切るのはみんなの党かとウワサされているそうだが、いっそのこと奥さんを代表にしたらいいのではないか。  ポストは選挙特番で民放視聴率トップだった池上彰氏が聞くはずだったが、相手が出てこないため「幻の質問」に終わったいくつかを紹介している。  丸川珠代氏(自民)に対しては、 「07年の参院選の際、期日前投票をしようとして選挙人名簿に登録されていないことが明らかになりました。これはテレビ局勤務時代の海外赴任から帰国した後、3年間転入届を出しておらず、投票権が消失した状態だったためです。ということは、05年の衆院選も07年の都知事選も投票に行かなかったですよね? ご本人にその確認と、最近は投票に行ってますか? と聞いてみたかったですね」  石原慎太郎氏(維新)については、 「今回の選挙で維新が思うように伸びなかったのは、橋下さんの例の発言(慰安婦)が響いているのだと思います。その点、石原さんが橋下さんのことを見るとき、困ったヤンチャ坊主だと思う一方で、憎みきれないという顔をするんですよね。ですから政治的な意味ではなく、石原さんの個人的な橋下さんへの思いを聞きたかったですね」  渡邉美樹氏(自民)には、 「番組のVTRの中で、“たまたま1つの事故を取り上げてブラック企業だと責められるなら、日本中には千・万のブラック企業がある”とおっしゃったんですね。でも、それは開き直りなのでは? 自分の会社の社員がたった1人でも自殺をして、それが過労死だと認定を受けたことに対する責任なり、言葉がないのでしょうかと質問したかったですね。それと渡邉さんは以前、都知事選に出ている。今回は参院選。都知事と参議院議員の仕事は当然違いますよね。一体あなたは何をやりたいのか? という問いに対する答えを聞きたいですね」  池上氏が注目される理由がここにある。  現代の八つ墓村かと騒がれた、山口県金峰郷(周南市)で起きた5人殺し事件をポストが報じている。この事件、75年前に同じ中国地方の岡山県津山市の農村で発生した「津山30人殺し」事件を彷彿とさせるというのである。 「作家・横溝(正史)の『八つ墓村』のモデルである同事件は、結核で徴兵検査丙種合格(実質的に不合格)となった21歳の無職青年・都井睦雄が、結核伝染を恐れる村人から冷たい仕打ちを受け、その恨みから故郷に復讐しようと思い立ったとされる。計画は周到かつ残虐だった。午前2時前、頭に懐中電灯を二本縛り付けた都井は、夜陰に乗じて村民たちを日本刀と猟銃で殺害。さらに育ての親である祖母の首を斧で刎ねた。約1時間半の間に30人がほぼ即死の状態で命を落とした。ちなみに凶行を終えた都井は、村を見晴らせる高台に登り、そこで自らの胸にピストル当てて自死している」(ポスト)  この金峰集落は、平家の落人たちが逃げ込んだ地域だというが、今では典型的な限界集落である。 「周南市役所によれば、6月末時点で金峰郷には8世帯14人が住んでいたという。男性7人、女性7人。そのうち60歳未満は3人しかいない超高齢過疎地帯である。今回亡くなった5人の被害者も、70歳を優に超えている。『ここの主要産業は林業で、その林業に付随した産業としてのシイタケ栽培も盛んでした。でも、そういった産業が斜陽化してくるに伴い、過疎化が進んでいきました。現時点では具体的な復興策も見つかってない』(周南市役所中山間地域復興課)」  犯人も63歳。この村に住む家の次男坊として生まれ、中学卒業と共にこの村を出て、神奈川県に行ったという。  30年たって、職を捨てて老親の面倒を見るために村に戻った。だが、老親も亡くなり、長く離れていたため村の人々とは断絶があったようだ。「都会から隔絶された限界集落でのさらなる孤立」(ポスト)が、惨劇に結びついたのではないか。  ノンフィクション・ライターにとって格好の素材ではないか。  次は文春のカネボウについての記事。短い記事だが、カネボウ側には激震を与えたのではないだろうか。  カネボウの売り出した美白化粧品で、肌がまだらに白くなる白斑の被害が拡がっている。 「カネボウ化粧品(東京都中央区)は23日、自主回収中の美白製品について、19日までに肌がまだらに白くなる「白斑」の症状があるとの申し出が2250人あったと発表した。 今月4日の自主回収発表後、10万人を超える問い合わせがあり、6808人が肌の不安を訴えた。このうち、『3カ所以上』『5センチ以上』『顔に明らかな白斑』という重い症状を訴える顧客は2250人にのぼった。自主回収発表時に把握していたのは39例だった」(7月24日付朝日新聞朝刊)  文春は被害女性の生々しい告白を掲載し、「カネボウにとって最大のミスは2011年に『白斑』を発症した顧客からの相談を“黙殺”してしまったことだろう」と批判している。  文春の発売が24日。カネボウは今月4日に自主回収を発表しているが、被害が広範囲に拡がっているのを公表したのは、文春発売前日の23日である。文春に書かれることを察知したカネボウ側が、一日早くしたと思えないこともない。  カネボウを傘下に持つ花王の株価が急落し、事態の深刻さを浮き彫りにしている。  新潮と現代が警察の不祥事を追及している。読みごたえ、注目度は現代が上なので、こちらを今週の第1位に推す。  新潮の記事も紹介しよう。  ことは09年の名古屋場所、角界の木瀬親方が一般には販売されていない“維持席”を、山口組の中核団体・弘道会の幹部に手配していたことが発覚した。  その捜査に当たったのが本田敦警部(仮名)だったが、以来、脅迫電話が頻繁にかかってくるようになった。それも妻や娘の実名を出して「どうなっても知らないよ」と脅す。そのために本田の自宅は覆面の警察車両が配置されていたが、その任に当たっていた班の名前まで正確に知っていたことで、本田警部はこう確信した。「県警に内通者がいる」と。  この脅迫を指示したのは佐藤義徳(55)という男で、名古屋を中心にファッションヘルスやキャバクラを展開する風俗チェーンの実質オーナーで、弘道会の有力資金源とみられていた。  一昨年4月、弘道会のナンバー2と共に詐欺容疑で逮捕されている。  佐藤の公判で先の話も出てきているし、県警OBが検察側証人として出廷し、佐藤に頼まれて警察の動向や捜査情報を教える見返りに、飲食の接待や現金をもらっていたことを証言している。  佐藤の元愛人は佐藤から「なんでもカネで買える。警察の人間もカネで買っている。一番ランクが上の人を2000万円くらいで買ったこともある」と聞いたと証言しているのである。  しかし県警は、疑惑を持たれた警官の口座も確認することなく、OBに至っては触ってもいないと、県警関係者が語っている。愛知県警と組織暴力団との深い闇は、まだまだ晴れそうにないようである。  さて、現代は警視庁の元スゴ腕刑事が「痴漢で検挙された」にもかかわらず、報じなかった新聞・テレビを批判している。  この事件は6月18日の午後7時頃、東武東上線池袋発川越方面行きの急行電車車内で起きた。車内は満員状態だった。電車が成増に近づいたところで、車内に女性の叫び声が響き渡った。 「この人、痴漢です!」  声の主は女子高生で、隣には60代半ばの男。女子高生は周囲の男性の協力を得てこの男を取り押さえ、駅事務所に向かった。普通であれば、痴漢容疑者は駅事務所を経て所轄の警察署に身柄を引き渡され、ほぼ間違いなく逮捕されるのだが、このケースは違ったという。  所轄である警視庁高島平署の捜査員は女子高生にも件の男にも事情聴取をせず、男はそのまま帰宅が許されたというのである。  その謎を解くのは、この男の素性にある。この男、捜査員の先輩に当たる警視庁の元スゴ腕刑事だったからだ。耐震偽装事件で名を上げたことがあるそうだ。それだけではない。現高島平署長は、この男の直属の部下だったのである。  この事件を知っているマスコミは数社あるそうだが、どこも報じていない。それはこの男が「検挙」であって、逮捕されていないからだが、現代はJR西日本の執行役員が痴漢で逮捕されたときと違いすぎると批判する。  執行役員の場合、警察が発表した数時間後に新聞・テレビが一斉に実名で報じた。役員は逮捕から4日後、公園で首を吊って自殺してしまった。  あまりにも違う、今回の警察とマスメディアの扱いの違い。新聞・テレビは警察が発表するまで書きはしないから、現代はこう難じる。 「身内の犯行なので、事件をうやむやにしたい警察。警察の都合の悪いことは報じたくない新聞・テレビ。この国は、いつでもこんな感じなのである」  痴漢犯罪は被害者が「この男が痴漢です」と言えば、裁判でそれを覆すことがなかなか難しい。私は、この元刑事が「冤罪」である可能性もあると思うが、一般人と警察関係者の扱いの違いには憤りを感じる。  確かにメディアの対応に問題はあるが、痴漢犯罪という難しい事件が、警察が逮捕して発表したからといって、メディアが裏取りもせず実名報道していいのかという点にも言及すべきだったと、現代にも注文を付けておきたい。 (文=元木昌彦)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2953

Trending Articles