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週刊文春2015年2月19日号
今週の注目記事・第1位
「美容整形最大手品川美容外科『糸リフト』が危ない!」(「週刊文春」2/19号)
第2位
「仰天! 飛田新地の『ちょんの間』に“普通の女子大生”が殺到している」(「週刊ポスト」2/27号)
第3位
「秋吉久美子の長男『転落死』」(「週刊文春」2/19号)
第4位
「『イスラム国人質事件』が露わにした大新聞“ネトウヨ化”の醜さ」(「週刊ポスト」2/27号)
第5位
「和歌山小5惨殺犯 中村桜洲22歳の父は『高野山密教』の権威」(「週刊文春」2/19号)
「『和歌山児童惨殺』引き籠もりの殺人者を生んだ“家族の風景”」(「週刊新潮」2/19号)
第6位
「中谷美紀と渡部篤郎が15年愛に決着をつけた長い夜」(「フライデー」2/27号)
第7位
「イスラム国今だ残る8つの謎」(「週刊文春」2/19号)
第8位
「認知症予防は『歯が命』」(「週刊文春」2/19号)
第9位
「カオスの時代に俗人的な『大人のお金』ガイドブック」(「週刊新潮」2/19号)
今週は週刊現代の不調が目立つ。週刊誌ではなく月刊誌のようなつくりで、しかも取り上げているテーマが、私にはピンとこない。
「まもなく不動産大暴落へ」「してやったり! 菅官房長官 でも『野中広務』にはなれません」「微妙なトップ人事、微妙な社内」「『寝たきり』の分岐点」と並べても、読む気をそそられない。
「脇役の流儀」も、今なぜこの話題なのかわからないし、「佳子さま、すごい人気です」に至っては、それがどうしたの? と聞きたくなる。
このつくり方では先が心配になると思うのは、余計なお世話か。
さて、それにつけてもカネの欲しさよと、口に出してはため息をつく今日この頃だが、新潮に、ちょっぴりおいしいカネの話が載っている。
まず、カリスマ投資家で棋士の桐谷広人氏が、株で大きく儲けるのではなく「株主優待生活」をするのが、老後の安心につながると話す。
桐谷氏は3食すべてを優待券で賄っているという。吉野家やマクドナルド、レストランチェーンを展開するコロワイドは、申し込むと優待商品を送ってくるという。
映画はもちろん、洋服が欲しくなったらタカキューの背広がタダで手に入る。もちろん株を購入するための資金はいる。桐谷氏は退職金が2,000万円あればいいという(これってなかなか大金だがね)。
100株ずつでも多くの銘柄をもつことがポイントだ。1万株でも100株でも、得られる優待は1つということが多いからだそうだ。
もう1つ。私は知らなかったが「デパート友の会」に入会することだという。毎月一定額を積み立てると、1年後の満期に1カ月分が加算される「デパート積立」。たとえば1万円ずつ毎月積み立てると、1年後には13万円分の買い物ができるのだ。
だが、現金ではなく13万円分のデパートの商品を買わなくてはいけない。だが年率にすると8.3%になるから、実に高利回りである。
また高島屋の「友の会」では、お中元やお歳暮の時期には5%割引券を配るという。積立は5,000円から1万、2万、5万というコースがある。5万円コースを2口入っていれば、120万円が1年後に130万になる。ためしに1万円コースでもやってみようと思っている。
このところ認知症の記事が、どの週刊誌でも花盛りである。俳優の名前が出てこない、予定をダブルブッキングした、買ったはずの勝ち馬券を買い間違えていた。そういう症状が表れてきた62歳の編集者が「もの忘れ外来」に駆け込んで受けた様々な体験を書いて評判になった、週刊朝日の連載をまとめた『ボケてたまるか!』(山本朋史著・朝日新聞出版)の売れ行きも好調だという。
今週の文春は「認知症予防は『歯が命』」という特集をやっている。厚労省の統計によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるというから、たしかに放ってはおけない大問題だ。
それに、厚労省も認知症と歯の関わりを認知症対策に盛り込んだというのである。
なぜなら、親知らずを除いて28本ある歯だが、厚労省が愛知県の高齢者4,400人を調査した結果、「歯がほとんどないのに義歯(入れ歯)を使用していない人」は、「二十本以上の歯が残っている人」の1.9倍も認知症のリスクが高かったというのである。
なぜ歯が脳の病気である認知症に関係するのかというと、歯から脳に刺激を送る際、歯の根っ子と骨の間にある「歯根膜」が重要な役割を果たしているからだという。
「歯根膜は感覚の万能受容器で、硬さや厚さを認知して、その食べ物に合ったペースで口に入れる。歯根膜が失われると、食べ物の正確な情報が脳に行かなくなります」(神奈川歯科大学の山本龍生准教授)
そのために食べる楽しみが失われ、脳の萎縮が進んでしまうのだ。
そうさせないためには、食後すぐに歯を磨く、できない場合はキシリトールガムを噛む、漬け物を食べてお茶を飲むことが歯にいいという。
女性のほうが虫歯になりやすいのは、唾液の分泌量が少なく、PH緩衝能という中和力が弱いからだそうだ。
たしかに歯は万病の元ともいわれる。歳をとったらより歯を大事にすることが長生きの秘訣のようだ。これから歯医者に行ってこよう。
イスラム国が呼びかけるテロの連鎖は、まだまだ終わりそうもない。
デンマークの首都コペンハーゲンでも、イスラム国との関係は不明だがテロ事件が起きた。
「表現の自由についての討論会場とシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が相次いで銃撃され、2人が死亡し、警官5人が負傷したテロ事件で、地元当局は15日、追跡中の警官に発砲したとして射殺された容疑者の男は、デンマーク出身の22歳であることを明らかにした」(2月16日asahi.comより)
文春は後藤さんの殺害に残る謎について特集を組んでいる。冒頭で後藤さんが最後に雇ったシリア人ガイドに裏切られたと、旧知のガイドに電話してきたことを取り上げ、こんなヤツに頼まなければ後藤さんは人質にならなかったのではないかと追及している。
そのガイドはヤーセル・アルハジ氏。彼はFSA(自由シリア軍)にパイプを持ち、軍関係者とジャーナリストをつなぐフィクサーだと、ジャーナリストの藤原亮司氏が説明している。
彼は元サッカー選手で、自分のサッカーグラウンドも持っているという。彼はカネに汚く、英語もしゃべれるアメリカナイズされた男だが、イスラム国への密告者が多い危険な地域で、あそこまで生きてこられたのが不思議だと藤原氏がいうように、謎の多い人物のようだ。
事件の検証には、この人物の聴取も必要であろう。
また、シリアで夫が行方不明になったと知った後藤夫人は、外務省中東アフリカ局中東第一課に相談したと同時に、拉致・誘拐など危機管理を専門とするコンサルティング会社に交渉を依頼したと文春は報じている。
これが事実だとしたら、夫人は日本政府の交渉力には端から期待していなかったのではないか。
事実、首相側近は、「ISISに交渉する気なんてない。実際、何も出来ないけど、政府として何かしているようにしないといけないんだ」と明かしている。
信じがたいことだが、後藤さんが解放されるという「朗報」が官邸を駆け巡ったことがあったと、文春は報じている。
湯川さん殺害の動画が配信された5日後の1月29日だ。
「官邸は、イスラム国にパイプがあるトルコルートを使っており、この日、後藤さんを解放させることが出来そうでした」(官邸関係者)
だが内部のイラク系とシリア系で抗争が起き、強硬派のシリア系が勝ち、後藤さんは殺されてしまったというのだが、もしそんなことがあったとしたら、政府はそれをナゼ公表しないのか。
官邸がここまで努力していたという証拠になると思うのだが、一端でも明かさないところを見ると、疑わしい情報だと思うのだが。
米軍がイスラム国への空爆を始めてから半年、すでに2,200回を超えているというが、イスラム国は一向に抵抗をやめていない。
文春によると、潤沢に武器はあるし、世界中から志願兵が来ており、現在も兵士は約3万人はいるといわれるそうだ。
さらにイスラム国には空軍もあるという。
「ミグ21、ミグ23、ミグ25(いずれもソ連が開発した戦闘機)を保有していることが確認されています」(軍事ジャーナリスト世良光弘氏)
壊滅させるのに1年はかかるのではないかと世良氏はいっている。厄介なテロ集団を、中東は生んでしまった。アメリカ・オバマ大統領はイスラム国掃討に53億ドルを予算計上したが、国内では、その程度のカネではイスラム国を壊滅させることはできないと批判の声が上がっている。
先夜、フジテレビのドラマ『ゴーストライター』を見た。天才小説家として世間から注目を集めていた遠野リサ(中谷美紀・39)が、行き詰まりを感じて、小説家を目指しているアシスタントに作品を代筆させる。そこからさまざまなドラマが起こるというストーリーだ。
佐村河内守騒動にヒントを得たのかもしれないが、出版界にはよくある話だ。今では大作家になってエッセイも常に評判になる某氏には、昔から「ゴーストライター」がいるというウワサが絶えない。
中谷という女優の私生活は知らなかったが、フライデーが今週、彼女が俳優の渡部篤郎(46)と「15年愛に決着をつけた長い夜」という張り込みネタをやっている。
長い交際の末に別れたのかと思ったら、そうではない。ドラマで知り合って理無い仲になった2人には大きな障害があったといっては失礼だが、渡部はその当時「RIKACO(当時は村上里佳子)」と結婚していて、子どももおり、豪邸を建てることになっていた。
しかも妻と中谷は友人だったから、泥沼不倫といわれていたようだ。だが05年に離婚が成立。2人は結婚すると周囲では思われていたのだが、中谷は2人の子どもたちを傷つけまいとマスコミの目を避け、入籍も求めないで大人の恋愛関係を続けてきたそうだ。
昨年、長男が成人し、次男も16歳になったのを機に、中谷も決意を固め、近々入籍するというのだ。
この日の2人の姿は「長かった15年間の道のりを確かめるよう」に仲むつまじかったとフライデーは書いている。なかなかいい話じゃないか。
2月5日、和歌山県紀の川市で小学五年生の森田都史君(11)が腕や頭、右胸など十数カ所を刺されて殺された事件は、2日後に、近所に住む中村桜洲容疑者(22)が逮捕された。
殺し方が残虐なため、そうとう強い犯行動機が考えられるはずだが、文春は「それは他愛もない出来事が原因だった」として報じている。それはこうだ。
「指をさして笑ったり、竹刀を素振りする姿をマネしてからかっているようでした。しばらくすると、中村さんが気付いて、二人に向かってにやりと笑みを浮かべたのです。仕事もせずに引きこもっている中村さんが竹刀や木刀を素振りしていることは、以前から近所で評判になっていました」
これは近くに住む女性の証言だが、この文春報道のあと、新聞も中村容疑者が動機は「からかわれた」からだと取り調べで話したと報じている。
ここで少し横道にそれるが、現代とポストは、共にこの事件を報じていない(コラムにはあるのかもしれないが)。事件を報じない週刊誌なんて、クリープを入れないコーヒーのようなものではないか。事件取材から編集者も記者も育っていくのは新聞と同じ、否、新聞よりも記者クラブがないため、訓練になることは間違いないのだが。
さて、文春と新潮ともに報じているが、中村の父親は和歌山県の私立高野山大学で教授を務める密教の権威、中村本然氏で、母親も同じ大学を出ている教育熱心な家庭だというのだ。
「今年、開創1200年を迎えた高野山が運営する高野山大学は、弘法大師空海の思想に基づく教育や研究を行う大学である。卒業生の3分の2は、僧侶になっていくという」(新潮)
父親は地元の区長を務め、母親は民生委員をやり、近隣住民の間では「立派な家」として知られていたそうだ。
父親は順調に出世コースを歩み、程なく高野山大学の学長になると目されていたと新潮は報じている。
中村容疑者も小さい頃はスポーツ好きで、剣道教室に通い、おとなしいがギャグをいって笑う普通の子どもだった。
だが高校進学の時、希望する学科に入れなかったことで挫折を味わい、剣道部に入っても練習についていけず、退部してからは遅刻や欠席も目立ち、高校2年の時に中退したそうである。
新潮は近隣住民の、こんな言葉を載せている。
「あそこの一家は母親も子どもも皆、父親に対して敬語を使っているということでした」
高校を中退し、5年以上もニート生活を続ける息子に、宗教家の父親の目は厳しかったに違いない。
だがそれだけで、あのような犯罪を犯す人間にになるとは考えにくい。まだ何かほかにも理由があるのであろう。
文春の取材に、母親はただ涙を流し、傍らには帽子、メガネ、マスクをつけた男性がおり、申し訳ないといいながら「父親はいまどこにいるかわからない」と話したそうだ。だが、この男性こそ父親であった。
不殺生は仏教の基本的な教えであるはずだが、この父親は、息子には教えていなかったのだろうか。
週刊誌の大きな役割のひとつはメディア、特に新聞批判だが、この役割を十全に果たしているのは週刊ポストだと思う。
特にイスラム国の人質問題で、テレビはもちろんだが、大新聞がネトウヨ化し、安倍政権批判をしないことを痛烈に今週も批判している。
中でも読売と産経新聞の論調はいかがなものかと、舌鋒鋭い。
「もちろん、後藤氏の判断や行動を賞賛できないという考え方もあっていい。しかし、あの惨劇の後で自国民に対して一切のリスペクトも評価も口にしない安倍首相は異様である。読売や産経も、彼らが大好きな日本人の武士道がまるで感じられないのは残念だ。
その後、シリアに渡航しようとしたフリーカメラマンのパスポートを外務省が取り上げる事件が起き、そこでも読売と産経は、
〈命か、憲法が保証する渡航の自由か、議論するまでもないだろう。“蛮勇”が途方もない代償を払うことを思い知ったばかりだ〉(2月9日付、読売)〈外務省は警察庁とともに(中略)再三にわたって渡航の自粛を強く要請してきた〉(2月10日付、産経)と、政府に追従して『ジャーナリストは取材を自粛せよ』という。朝日新聞がシリアに取材に出向いたことも両紙は厳しく批判した」
だが、安倍首相が大好きなアメリカの対応は違う。
「1月にジャーナリストの安全に関する国務省の会議が開かれ、ケリー国務長官はこう述べている。
『ジャーナリズムに危険が伴うことは避けられない。唯一の方法は口を閉ざすことだが、それは(テロや脅威に)屈することになる。世界は真実を知る必要がある』
ここでも日本政府や読売、産経と180度違う。
ジャーナリズムを敵視し、憲法で保障された移動の自由さえ奪おうというのは先進国のやり方ではない」
しかも許し難いのは、人質救出が失敗に終わったのは、どこがどう間違ったのかを検証することさえも、今のままではままならないのに、新聞が真っ向からこれに異を唱えているところはほとんどないというおかしさである。
「安倍首相は衆院予算委員会で今後、(人質事件を=筆者注)情報公開するかを問われて、『テロ事件であることから、(特定秘密に)該当する情報が含まれ得る』
と語り、情報公開しない考えを示唆した。
これでは検証委が政府の自己弁護にお墨付きを与えても国民やメディアは検証しようもない。その検証委は役人のみで構成され、政治家の聴取はしないことが決まっている。(中略)政府の情報隠蔽を許し、現地取材や政府批判さえ否定する大新聞は、自ら国民の木鐸たる立場を放棄している。それはジャーナリズムの自殺だ。民主主義も自由社会も危うくする恐怖の領域に踏み込んだと言わざるを得ないが、彼らの論理に従うなら、それは自己責任だから誰も救ってはくれない。政治家も官僚も笑いを噛み殺して彼らの記事を読むことだろう」
この記事を大新聞の記者たちは手帳に入れて、常に読み返したらいい。
話はガラッと変わるが、女優・秋吉久美子の長男が不審な転落死をしていたと文春が報じて話題になっている。
36年前、「太陽がくれた季節」を大ヒットさせた青い三角定規の岩久茂氏との結婚報告会見で、あの有名な「卵で産みたい」と発言し、その後産まれたのがこの長男だったそうだ。
だが10年で結婚生活に終止符が打たれるが、それ以前からこの長男は、秋吉の実家がある福島県いわき市に預けられていたという。
離婚後も男関係は衰えず、秋吉は年下の男性と恋愛沙汰を繰り返す。その間、件の長男がどのように暮らしていたのかは不明のようだ。
そして1月13日の未明、港区の病院の地下に続く階段下に転落して死んでいるのを発見された。
携帯の履歴から彼の知人と思われる人間に連絡したところ、しばらくしてから秋吉が現れたという。
なぜ彼が、そんな時間にそのようなところにいたのか。この長男はどういう生活を送ってきたのか。解明されなければならない謎は多い。
世間の大きな関心を集めた子どもの36年後の孤独な死を、還暦になった秋吉はどう偲んでいるのだろうか。
飛田新地といえば今でもディープな売春窟というイメージが浮かぶが、ポストが飛田新地に普通の女子大生が殺到していると報じている。ほんとかね?
飛田の元料亭経営者で、現在もスカウトマンとして活動する杉坂圭介氏がこういう。
「“料亭”が作る組合のしっかりした管理により、暴力団排除から性感染症の防止策まで徹底している。昔の『怖い』『怪しい』『暗い』というイメージは薄れてきている」
どうやらほんとらしい。インターネット上に洒落た求人ページを作って女性を勧誘していることも、女子大生の応募が増えている理由だそうだ。
都内の名門大学に通う4年生の聡美さん(仮名)も、インターネットの求人広告を通じて応募したという。
ある求人ページには「大阪出稼ぎツアー 目指せ1週間で100万円」という見出しで、7日間で114万円を稼ぐシミュレーションまで載っているそうである。
そのため働くのも大変なんだそうだ。ある店舗経営者がこう話す。
「一般の人は驚くかもしれませんが、応募は殺到しています。ハッキリいって今は買い手市場。書類審査で半分ぐらい落とします。その後、500人ほど面接しても受かるのは70~80人だから採用率は2割に満たない」
別の都内に通う女子大生がこう証言する。
「私は六本木の高級キャバクラでも働いたことがありますが、女の子のレベルは飛田新地のほうが上だと断言できます」
なぜ人気か? ここで働いてもバレないという安心感が結構引きになっているそうだ。その女子大生がこういう。
「飛田新地は女の子を紹介するホームページもないし、街全体が写真撮影を禁止している。面接でも“絶対バレないようにするから”とお店の人にいってもらった。バレるリスクが少ないのは最大の安心です」
先の聡美さんは1週間で80万円稼いだテクニックをこう明かす。
「講習の時に、稼ぐためには“気持ちを相手にいっぱい伝えよう”と教えられます。フェラチオの時は上目遣い、唾液を溜めて音を立てると喜んでくれます。喘ぎ声も大きめに、感じる表情も豊かに。そうすると早くイッてくれます。そこがポイントなんです」
やはり100万円を稼ぐには、飛田新地で主流の20分コースで1日20人の相手をする必要があるという。したがって稼ぐには人数をこなさなければならない。聡美さんは客が早く果ててくれるよう工夫を怠らなかった。
客層も変化しているようだ。最近は円安やビザ緩和の影響で中国人観光客が急増して、京都や奈良の観光ツアーの中に飛田新地が組み込まれたものもあるという。
風俗記事としては出色の記事である。それは現代の「AVで顔出し本番」という記事と比べるとわかる。こちらはAVの解説記事だから、生々しさがない。
だが、こういう箇所には驚かされる。ひと月に発売されるAVは2,000タイトルを超える。仮に毎年1万2,000人がAVデビューしているとすると、その数は10年で12万人になる。最新の国勢調査によれば、18~49歳の女性は約2,500万人だから、「適齢期」女性の約200人に1人がAVに出演した経験があることになるそうだ。イヤー、すごい。あなたの彼女もAV出演の過去があるかもね。
AVに出る動機も変わってきたそうだ。8年前に行われた100人のAV女優に対する調査によると、1番の理由は「お金が欲しい」と「好奇心・興味」がほぼ同じで約4割ずつ。「有名になりたい」が0.5割だったそうだが、最近は「有名になりたい」が5割になるという。
だが1作品で100万円以上稼ぐ女優はほんの一握りで大半は1日15~20万円。本番なしでフェラチオだけの出演となると、わずか3万~5万円の出演料しか出ない。
それでも出るのは、AVをきっかけに有名になれるかもという願望からのようだ。
元AV女優で日経新聞記者となり、そこを退職して社会学者となった鈴木涼美さんは、こう解説する。
「私たちが育った時代は、家族の輪や大学や企業に続く道から逸脱せずに、『性の商品化』の現場に加担できる仕組みが整っていました。自らの性を商品化する理由は特別に求められてはこなかった。強いて言えば、しない理由がなかったんです。
AV女優たちに『いやいや仕事をやっている』といった態度はほとんど感じられません。現場には自分たちの業務を楽しんでいる雰囲気があります。そんな業務の中で溌剌と饒舌に自分を語り、新しいキャラクターに変わってゆくことが、彼女たちには快感なのかもしれません」
なるほどな~とは思うが、飛田に女子大生が殺到しているという記事と比べると、どちらが風俗記事としておもしろいか、一目瞭然であろう。
さて、品川美容外科といえば美容医療最大手で年商356億円、アンチエイジングブームの主役ともいえるところだが、文春は、ここで集団訴訟が頻発していると報じている。これは聞き捨てならない。
ここに勤務していたA医師がこう話している。
「美容整形の『品川美容外科』や美容皮膚科の『品川スキンクリニック』では、体内で“溶ける糸”を使って『顔のシワやたるみ、肌質が改善する』という施術を行っています。ところが、半年ほどで溶け始めるはずの糸が一年経っても溶けず、『ヒゲみたいに飛び出してきた』と来院する患者が何人もいた。医師の間では『いったいどんな糸を使わされているのか』と不安が広がっていました」
その他にも品川近視クリニックのレーシックに対する集団訴訟も起きている。東京都消費者生活総合センターに寄せられる美容医療に関する相談は年々増えていて、中でも目立つのが糸リフトなどの「リフトアップ(フェイスリフト含む)」だと文春は書いている。
A医師によると、本部から送られてくる糸の形状や品質にばらつきがあり、このままでは自分の患者にも何か起きるのではないかと思い、医師としての倫理問題を感じて辞めたという。
また高額の医療費を支払うためにローンを強引に組まされたりすることも、問題になっている。
各クリニックには毎月の売上目標が課せられ、それを達成できないと院長になれないばかりか、地方に飛ばされることもあるのだという。
また糸によるリフトアップは日常生活にすぐ戻れるため、患者への負担は少ない。しかし、顔には顔面神経や唾液腺、三叉神経などが通っているため、解剖学的なものを理解しなければいけないので、手術経験のある医師がやるべきだと自由が丘クリニックの中北信昭院長がいっているが、そうしたことが守られていたのか。
A医師はあそこでは売上至上主義、患者軽視の施術が行われていると指摘している。
こうした疑問点について綿引一理事長を文春が直撃すると、質問に終始俯いたままで、「糸リフトを強引に勧めていたのでは?」と問うと、「そういうことはございません」と絞り出すように答えたという。
韓国に行って簡単にできるプチ整形をやってきて、トラブルが起きているケースも多くなっているようだ。健さんの歌の文句ではないが「親にもらった大事な肌を」傷つけ、整形しようというときは、その病院のことを事前にしっかり調べていくことが肝心であるこというまでもない。
(文=元木昌彦)
【蛇足】
イースト・プレスから、私の週刊現代時代のことを書いた「『週刊現代』編集長戦記」という新書を出しました。田原総一朗さんが帯で「元木昌彦は日本で一番危険な編集者だ」と書いてくれています。ぜひ読んでください。
【蛇足2】
「どうしたらネット・ジャーナリズムをつくることができるか」第2回の勉強会を開催します。概要は次の通りです。
来られる方は直接、会場においでください。受付があります。
主催 一般社団法人日本インターネット報道協会
日時 平成27年2月27日(金)18時00分~20時00分(受付開始は17時30分)
場所 外国特派員協会
〒100-0006東京都千代田区有楽町1-7-1有楽町電気ビル北館20階
電話 03-3211-3161
Fax 03-3211-3168
講師 河内孝氏
1944(昭和19)年東京都生まれ。慶応大学法学部卒業。元毎日新聞常務。
全国老人福祉施設協議会および国際厚生事業団の理事を務める。
著書に『新聞社―破綻したビジネスモデル―』『次に来るメディアは何か』『血の政治―青嵐会という物語―』など。
テーマ 新聞の将来とメディアの劣化
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