今週の注目記事・1 「NHK『水野さん』が語るいま福島で起きていること」(「週刊現代」3/18号) 同・2 「メディアはなぜ、こんなに信用されないのか」(「週刊現代」3/18号) 同・3 「安倍首相と記者クラブ『赤飯の夜』全真相」(「週刊ポスト」3/17号) 同・4 「安倍、『離婚』を考える」(「週刊現代」3/18号) 同・5 「安倍晋三記念小学校“口利き”したのは私です」(「週刊文春」3/9号) 同・6 「妻たちがマジメに語る『夫のちんぽが入らない』問題」(「週刊現代」3/18号) 同・7 「まさかまさかの『都議選&衆院選&[豊洲移転]住民投票』の[7・2トリプル選]衝撃シナリオ」(「週刊ポスト」3/17号) 同・8 「石原都政“最大の汚点”血税1000億円が消えた 新銀行東京『癒着リスト』」(「週刊文春」3/9号) 同・9 「NHK内部資料『強欲徴収マニュアル』入手」(「週刊文春」3/9号) 同・10 「『櫻井翔』熱愛で持ち上がる『松潤』不仲説を追え」(「週刊新潮」3/2号) 同・11 「嵐・櫻井翔とテレ朝小川アナ」(「週刊ポスト」3/17号) 同・12 「陛下の『生前退位』ご真意は『皇太子が……』──摂政も公務減もダメだった」(「週刊新潮」3/2号) 同・13 「『プレ金』が馬鹿馬鹿しいと感じたら正常大人」(「週刊新潮」3/9号) 同・14 「岡田准一、宮崎あおいが結婚へ」(「週刊文春」3/9号) 同・15 「政治部長も!社会部長も!毎日新聞“女性活躍”の旗振り役」(「週刊文春」3/9号) 同・16 「コーヒーで『認知症』予防!」(「週刊文春」3/9号) 【巻末付録】現代とポストのSEXYグラビアの勝者はどっちだ! 今週はスクープといえる記事は少ないが、それなりにバラエティはある。順位はつけないが楽しめると思う。 まずは文春の「コーヒーで認知症が予防できる」という記事。なんでも、フィンランドのクオピオ大学ってところが、1,400人の男と女を21年間にわたって追跡したそうだ。 コーヒーを飲んでいる連中には、認知症が少なかったという。コーヒーを1日に3~5杯飲んでいる人は、全く飲まないか、飲んでも2杯以下の人に比べて、認知症の発症リスクが60~65%も低かったというのである。 その上、糖尿病の予防にもなるそうだ。おやつにケーキを食べるならコーヒーを一緒に、食事のときはコーヒーを飲みながらがいいそうだ。認知症の予防や改善につながるコーヒー豆の種類は、マンデリン、ハワイ・コナ、ブラジルサントスなどの中煎りがいいという。ハワイ・コナは苦みが強いが、私の好みの豆だ。切れたから明日買ってこよう。だけど高倉健のように、1日に5杯も6杯も飲むのはなかなかきついと思うがね。 ところで、今日の昼、講談社の少し先輩になる今鉾義信さんの葬儀に行ってきた。酒が好きで落語を愛した。粋な着流しで猪口を傾けている遺影だった。彼の後輩になる北方謙三さんとあいさつする。今鉾さんは昔、酔うと北方を呼ぼうと電話をかけ、北方さんも忙しいのに駆けつけてきた。 相変わらず、訃報や入院しているという知らせが多い。先日も、松田賢弥記者から電話があり、虎の門病院に入院しているという。深刻でなければいいが。 私よりだいぶ上になる、たぶん92才だろうか、石原萌記さんが2月24日に亡くなった。日本の社会主義運動家でソ連(現ロシア)、中華人民共和国、韓国との文化交流や友好親善に努め、出版社の自由社社長、日本対外文化協会副会長、日本出版協会理事長を歴任した。私を子どものように可愛がってくれ、旧社会党系が多かったが政治家たちとの会合にも連れて行ってくれた。 近年は日中友好に力を入れ、毎年のように訪中した。私もその一員として中国の要人たちと会い、何人かとは「老朋友」になった。社会主義に始まり、自民党から共産党まで、幅広い人脈を持ち、国と国とが親しくなるには、そこに住んでいる人間同士が話し合い、理解しなければいけないと、常々いっていた。また一人、歴史の証言者がいなくなってしまった。 さて、毎日新聞が5人の女性部長を誕生させるという文春の記事。政治部長、社会部長、科学環境部長、生活報道部長、大阪・地方部長だ。知らなかったが、毎日は採用する約半分が女性だそうだが、これまでは重要なポストに女性を充てることはなかった。 それを、毎日の「ドン」朝比奈豊会長が旗を振り実現したのだという。朝比奈会長とは長い付き合いだが、あんたもついに「ドン」といわれるようになったんだね。おめでとう! 次は、かねてから交際を続けてきた岡田准一と女優の宮崎あおいが、ついに結婚に踏みきるという文春の記事。宮崎は2007年に高岡奏輔と結婚した。彼らの結婚披露宴には岡田も出席している。だが、高岡が舞台出演のためニューヨークにいるとき、共演した映画で岡田と宮崎は親しくなってしまうのだ。 高岡が、宮崎が岡田とやり取りするメールを暴露し、岡田に対して、どうやって責任を取るのかと迫った。岡田は、責任を取るため芸能界を引退するとまでいったそうである。離婚した宮崎はイメージダウンのため、CMのスポンサーが一気に離れ、岡田はジャニーズ事務所から「別れなさい」といわれた。 だが、一昨年あたりからまた付き合い始め、昨年12月には2人が手をつないで伊勢神宮にお参りする姿をFLASHに撮られている。2人は早く結婚したいそうだが、ここにまた障害があるという。宮崎の母親が、今度離婚したらバツ2になってしまうと心配しているからだ。「ジャニーズ史上初となる“略奪愛”は実現するか」(文春)。こうやって話題になるうちが華なんだろうな、メリーさん。 さて、先週の金曜日は初めての「プレミアムフライデー」だったが、どこかの調査で、実施した企業は5%に過ぎなかったそうだ。 新潮では、日本一のゲイタウンの新宿2丁目や銀座のクラブ、吉原の高級ソープランドなどで、その日どうだったかを聞いて回っているが、ほとんどがプレミアムではなく「魔の金曜日」だったそうだ。昔から、馬鹿の考え休むに似たりというが、役人や政治家が考えることはこの程度のものである。早く会社を出れば、飲みに行ったり買い物をしてくれる? どこにそんなカネがあるんじゃ。落語にだって、奉公している丁稚が実家へ帰る藪入りには、旦那がお小遣いを持たせてやるもんだ。 籠池ちゅう国粋主義者に国有地払い下げでまけてやった何億円かを取り戻して、われわれ庶民一人ひとりに5,000円ずつでも配ったらどうか、安倍さんよ。 天皇、皇后がベトナムへと旅立ち、帰途、昨年亡くなったタイのプミポン国王を弔われるためにバンコクにも立ち寄るという。高齢なのに頭が下がる。早くご自身が望むように生前退位をさせてあげたいと思う。だが、皇太子殿下はともかく、雅子妃の容態が不安定だし、子どもの愛子さんのこのところの激ヤセに、拒食症ではないかというウワサまであるのでは、なかなか進みそうにない。 新潮によれば、その上、安倍首相は皇室典範の改正を頑なに拒み、一代限りの特例として生前退位を認めるという方針で、押し通すつもりのようだ。嫌な話だが、生には限りがある。公務を果たされる姿をテレビで見るにつけ、早くゆっくり余生を過ごさせてあげたいと、私のような者でも思う。 ポストは先週見事なスクープをかっ飛ばした。その後日談。 「ポストの取材を受けて局幹部が小川アナに確認をしたところ、本人は交際していることをすぐに認めたようです。しかし、櫻井さんが嵐という人気アイドルグループの一員で、かつ『NEWS ZERO』(日本テレビ系)という放送時間が被るライバル報道番組のキャスターを務めていることを気にした小川は、“番組を降りてもいい。会社を辞める覚悟もある”とこぼしたそうです。その言葉に慌てた幹部がジャニーズ側と相談し、回答を揃えたようです」(テレ朝の局員) 新潮によると、今回の櫻井と小川の件では、いつも通り事務所側はメディアに圧力をかけようとしたが、事務所の力がSMAP問題などで下降線にある証拠か、スポーツ紙は「真剣交際」などとポストを後追いした。相変わらずワイドショーは、これに触れたところはなかったようだ。まだテレビへの影響力は少なからずあるということか。 だが、3分の1弱を稼ぎ出す嵐は、事務所の命綱である。2人はすんなり結婚できるのか、キムタクが結婚したときのことを挙げて、やや危惧している。また櫻井と松本潤は微妙な仲だそうだ。櫻井は慶応出身でインテリキャラ。一方の松本はコンサートの演出を一手に担い、嵐はオレが仕切っているという思いが強く、2人だけだと空中分解しかねないというが、そこを相葉と大野が緩衝役になっているそうだ。 85歳になる社長のジャニー喜多川は、自分の後継者としてタッキー(滝沢秀明)か松本を思い描いていて、滝沢は人望があるが、松本には才能があると評価し、人気のあるうちにアイドルから演出家に転向させ、ジャニーズ全体のディレクションを担当してもらいたいと考えているそうだ。 だが、プロダクションで後を引き継いでうまくいった例はほとんどない。ましてジャニーが築いた帝国は、彼の好みが色濃く反映されているから、誰がやっても彼のいない帝国は衰退するに違いない。 さて、文春が続けているNHKの詐欺のような受信料の徴収の仕方への批判キャンペーン。今週は、NHKの子会社であるNBS(NHK営業サービス)が作った、お客にどう対応したらいいのかというマニュアルをすっぱ抜いている。NBSにはNHKの営業局長・砂押宏行が取締役にいるから、NHKが関与しているといわれても仕方ないだろう。 そこには、最初は受信料とは関係のない話題を話せ。最初に12カ月前払いの衛星契約額をいってから、直後に月額だと2,230円と伝えれば、安く感じて契約をしてくれる。受信料が高いと断られたら、受信料の使い道はご存じですか? どういった番組ならお支払いしてもよいと思いますか? 何に比べて高いと思われますか? など、相手から発言を引き出せ。 そのほか、NHKは見ない、反日的な放送だなどの断り文句に対して、切り返すフレーズなどが載っているという。NHKは速やかに、受信料契約のうち不正なものがどれぐらいあるのかを精査し、公表すべきであること、いうまでもない。 閑話休題。村上春樹の新作『騎士団長殺し』(新潮社)を買った。発売当日の夜、芳林堂書店高田馬場店に行くと、入り口にピラミッドのように積んであった。レジのカウンターの前にも相当数置かれていた。 たしか、第1部だけで50万部。それに発売前に10万部増刷したというが、それにしてはピラミッドがそう崩れてはいなかった。刷り過ぎではないのか?Amazonのカスタマーレビューを覗いてみた。評判は極めてよくない。「性描写が気持ち悪い」「自己模倣の駄作」「こんな小説を絶賛しなければならない評論家諸氏には、心底ご同情申し上げます」『1Q84』(新潮社)は面白く読めたが、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)は読み通したが、疲れた。 新作を読み始めた。すぐに人妻とセックスする話が出てくる。春樹流というか読みやすそうではある。 新潮でHONZの成毛眞が「村上春樹の新作を『体験』してみた!」というのを書いている。「この本の楽しみ方のひとつに、各章の見出しをじっくりと頭に刻み込んでから、本文を読むということがあると気がついた。この体験はまったく新鮮で、手元に置き数年後にはもう一度じっくり読んでみることになるだろう」 毎回、なんだかんだといわれてもミリオンセラーになる作家は、出版社にとっては神様である。神様、仏様、村上様、ありがたく読ませていただきます。全部読み終えたら読後感を書くからね。 ところで、石原慎太郎と小池百合子が豊洲移転問題で火花を散らしているが、今週の文春がやっている、石原の知事時代につくり、血税を1,000億円もつぎ込んで杜撰な融資を繰り返した新銀行東京の責任のほうが、石原にとって重いと思う。 中小企業向けに特化した銀行という発想はよかったとは思うが、なんのことはない、石原の身内、彼と親しい人間や都議会自民党の議員たちが口利きしたリスクの高い融資先にばら撒いたため、多額の資金が焦げ付いてしまったのだ。都が出資した1,000億円のうち850億円は減資などですでに毀損し、08年に決めた追加出資400億円については、昨年、新東京と経営統合した東京フィナンシャルグループの株式と等価交換している。 だが、東京フィナンシャルグループの株価が下がれば、さらに都民の損失が膨らむということになる。文春によれば、この問題で石原の責任を問う住民監査請求が出るそうだが、こちらはいい逃れできないはずだ。石原慎太郎の金曜日の会見は、年寄りの愚痴といい訳に終始し、老残をさらしてしまった。 小池知事のほうはしてやったりというところだろうが、石原のいう「豊洲に早く決めろ」ということさえ聞かずに、都議選まで答えを延ばし、都民に丸投げするそうだと、ポストが報じている。 だが住民投票をするためには議会で住民投票条例を成立させなければならない。都議選に合わせて住民投票をするためには、ゴールンウィーク前に臨時都議会を招集しなければならないが、そうして小池新党が大勝すれば、安倍自民党は、衆議院選で動いてくれる都議を大量に失うことになるかもしれない。 参議院選で惨敗して辞任した過去を持つ安倍首相は、そうしたことが二度とあってはならじと、都会議員選挙に合わせて解散・総選挙をやってくるとポストは読むのである。 私は、小池人気はそろそろピークだと考える。豊洲移転問題でさえ自分で決断できないリーダーでは、この巨大な都市を運営していくのは無理だろう。ただ結論を先延ばしし、なんでも都民に丸投げで「都民ファースト」といわれても困る。それに豊洲移転問題は都民には決断できはしない。 結局混乱するだけである。石原のいうとおりだとは思わないが、どちらにするにせよ、すべてのデータを公開して、これこれこうだからこちらを選択する。その結論を都民に仰ぐのが筋である。 さて、『夫のちんぽが入らない』(祥伝社)が売れているそうだ。13万部を超えるベストセラーになっているそうだが、変わったタイトルだが、内容はいたってまじめで深刻なのだそうだ。 著者はこだまさんという主婦だそうである。交際期間を含めて20年も彼と一緒にいるのに、彼女の中に夫のアレがどうしても入らないというのだ。 「一体どういう状況なのか。多くの読者は『サイズの問題なのでは?』と推測するかもしれない。確かに、『夫のちんぽはかなり大きいほう』だそうだがそれだけではない。大学生のときに知り合ったこの夫婦が初めて交わろうとしたとき、そこにはなぜか『行き止まり』があったのである。〈まるで陰部を拳で叩かれているような振動が続いた。なぜだか激しく叩かれている。じんじんと痛い。(中略)やがて彼は動きを止めて言った。『おかしいな、まったく入っていかない』『まったく? どういうことですか』『行き止まりになってる』〉結局、二人はこの日、セックスをすることができなかった。その後も挿入はできずに『手』や『口』でする日々を送る」(現代) こんなことが実際にあるのか? 産婦人科医の早乙女智子氏はこう解説する。 「この小説の中では、他の男性とはセックスできるのに夫だけはできないようですが、ペニスの勃起の角度、太さ、体位など、様々な要因でそういうことは起こりえます。局部に『切れグセ』があると、挿入しようとする度に出血してしまい、小説のようにセックスを控えるようになることもある。また女性はホルモンバランスが崩れると粘膜が乾燥してきて、濡れにくくなり、膣が閉まってしまうと、どうしても『入らない』という場合もある。ただ、こうしたケースは非常に稀です」 このように結婚してるけれど、セックスをしたことがない、できない夫婦を医学的には「未完成婚」と呼ぶそうだ。夫は、風俗に通って性欲を処理しているというが、筆者は見て見ぬふりをしながら、心の中では嫉妬の炎が燃えていることも、隠さず書いているという。こちらも村上春樹を読み終わったら読んでみようか。 さて、国有地を格安の価格で手に入れた「森友学園」の疑惑がさらに大きくなっている。 文春では、鳩山邦夫代議士(故人)の秘書だったという川田裕介(41)が、彼の息子が学園に通っていたため、籠池理事長の意向をくんで、近畿財務局へ出向いたことを明かしている。 応対したのは、問題の土地の担当である「管財部 統括国有財産管理官」2名。 すでに2人はこの問題を知っていて、「前向きに検討させてもらっている」と語り、「先方も“政治家とのパイプ”は認識されているようでした」(川田)。 さらに籠池理事長は自民党国会議員の事務所を再三訪問して、「早く結論が得られるように」「評価額を低くしてもらいたい」などと、財務省近畿財務局や国土交通省大阪航空局へ働きかけを依頼していたことが、共産党の調べで明らかになっている。 3月1日には鴻池祥肇元防災担当相が記者会見を開き、籠池理事長が再三にわたって会いたいといってきて、夫婦で来て札束を出したので、怒って断ったと明かした。 だが、asahi.com(3月2日)によると、鴻池事務所側が国との交渉を仲介し、籠池との接触は2年半で25回にも上ったと報じた。それでは安倍夫妻の「嫌疑」は晴れたのかというと、そうではなさそうである。籠池としては、安倍の妻の昭恵を名誉校長に据え、寄付金は「安倍晋三小学校」にするといって集めていた。 安倍は、私は公人だが妻は私人と、妻の責任を逃れようとしたが、文芸春秋で石井妙子は、昭恵につく秘書は現在5人もいると明かし、公費でこれだけの秘書がつくようになったのは第二次安倍政権からだというが「やはり夫人といえども、公人なのだと改めて思う」(石井)と書いている。 文春も、以前の取材で昭恵が幼稚園についてこう話していたと報じている。 「お子さんたちが礼儀正しく、きちんとごあいさつができて、すごくしっかりしておられる。それで、幼稚園だけでなく小学校も作りたいのでというお話を伺って『名誉校長に』ということだったのでお受けしたのが二年前ぐらいだったと思います」 夫婦は一心同体。このような国粋主義的教育が、この夫婦の「理想」なのであろう。晋三も毎晩寝る前に祝詞のようなものを唱えて祈りをささげていると、昭恵が対談などで明かしている。安倍は常々、学校における「道徳教育」「愛国教育」を強制しようとしてきた。天皇を中心とした神の国を取り戻す、子どもたちにはオレが考えているように教えるべきだというやり方が、最近とみに露骨である。 現代は、これまでは妻・昭恵の行動を黙認してきた安倍だが、今度の件では怒り心頭で、離婚も考えているのではないかという特集を組んでいる。 「昭恵さんはこの件が国会で騒がれるようになって以来、知人の前で涙ぐみながら弁解することもある。家での夫婦の会話は、すれ違いでほとんどなくなっていると聞きますが、今回ばかりは総理も堪忍袋の緒が切れた。相当強く叱責して、言い合いになったそうです。総理は、官邸でも『籠池(泰典・森友学園理事長)さんは、昭恵の人脈なんだがなぁ』と言ってため息をついたり、『今日の国会質問は、森友(学園)はいくつ入ってる?』と朝のレクでしきりと確認したりしています」(官邸スタッフ) 2月27日には報道各社の官邸キャップを集めて、赤坂の中華料理店で急遽会合を開いたそうだ。 そこでは「法に触れるようなことは一切やっていない」としきりに訴えていたという。この時期に、安倍に呼ばれたからといってのこのこ出かける新聞記者も困ったものだが、それだけこの問題と、妻のやり方に不快感を持っているということだろう。 「再審議の末に開設認可取り消しとなれば、籠池氏はブチ切れて、総理との関係も含めて全部喋ってしまうでしょう。一方で、国会に証人喚問されれば何を言い出すか予想もつかない。かくなるうえは、認可を先延ばしして、少しでも時間稼ぎをするしかない。小学校の入学希望者はいまや30人を切りそうだという話ですから、いずれにせよ4月の開校は不可能です」(同) この籠池、偏った考えを子どもたちに押し付けるのみならず、まるで独裁者のような振る舞いで大人たちをも圧しているという。 「憲法改正に賛成します」という署名に協力するよう保護者に強要したり、NHKの籾井勝人前会長を擁護する葉書をNHKに送るようにいうこともあったそうだ。小學院開校のための給付金も、1口1万円、または5万円で募っていた。また運動会以外の教授行事は撮影禁止で、学園側が撮ったDVDを3万円で買えと押し付けてくるそうである。 こんな人間を、素晴らしい教育者と持ち上げた安倍夫妻は、似たもの夫婦だ。私は、夜な夜な2人で、かえって絆を深めているのではないかと思うのだが。 ポストによると、先の赤坂の中華料理店は「赤坂飯店」だそうだ。その夜、そうした会合があると知り合いの新聞記者から通報があったため、『日本会議の研究』の著者である菅野完がTwitterに書き込んだところ、大勢の一般市民が店の前に集まり、デジカメやスマホで出てくる連中を撮りまくっていたそうだ。 トランプ大統領はメディアを選別し、批判するメディアを遠ざけて問題になっているが、安倍首相も相当なものである。それに安倍首相は、政権に返り咲いて以来、13年から14年にかけて、全国紙、ブロック紙、民放キー局のトップや編集幹部と重ねた会合は、2年半で50回にもなるとポストは報じている。 そのうえ最近は、経産省が庁内のすべての局の部屋を勤務時間中もロックして記者たちの出入りを禁止するなど、情報漏れを危惧して、とんでもない暴挙に出ている。このままではメディアは権力のポチどころか、情報さえも与えてもらえないことになる。 それもこれまで、権力にすり寄り、権力側からバカにされてきた報いだ。 現代は2月7日にアメリカのエマーソン大学というところが発表した世論調査を載せている。それによると、メディアを信用できる人は39%で、トランプ政権を信用できるという人は49%にもなるというのだ。 米コロンビア大学ジャーナリズム科講師で、3世代にわたるトランプ家の歴史を描いた本を出している、グウェンダ・ブレア氏はこう指摘している。 「主流メディアは『事実は重要である』という考え方に慣れていますが、トランプ氏にとって重要なのは『人が聞きたいことを伝える。それは必ずしも事実ではない』ということです。トランプ氏は選挙中から、伝統的なニュースや事実解明に力を入れるメディアの信頼性を傷つけることに注力してきました。トランプ氏は恒例のホワイトハウス記者会の夕食会を欠席しますが、それは当然です。自分を非難している主流メディアが多数出席するイベントに出る意味がないからです」 日本でもメディアと政権の信用度は逆転しつつあるという。新聞通信調査会による世論調査によると、新聞の信頼度は100点満点中60.6点で、民放テレビは59.1点。 しかも年々、信頼度は低下傾向にある。方や安倍政権の内閣支持率は66%と高水準が続いている(読売新聞による世論調査・2月17日~19日)のだ。メディアより安倍政権が信用される理由を、城南信用金庫元理事長の吉原毅は、新聞記者の意識が一般大衆と著しく乖離してしまったことを挙げ、こう語る。 「新聞記者の多くは一流大学を出たエリートであり、自分たちのことをエスタブリッシュメント(支配者層)と考えているのではないでしょうか。エスタブリッシュメントというのは常に今の地位を守ることしか考えないため、臆病で勇気がない。しかも総じて彼らは高給取りです。今の生活を失いたくないという気持ちが強くなり、冒険ができなくなってしまう。その結果、読者が離れていっているのではないか」 その中心である朝日新聞のベテラン記者はこういう。 「なぜ、安倍政権の支持率が高いのか、これは社内でもよく議論されます。多くの記者は『朝日は伝えるべきことを報じているのに、安倍政権の支持率が高いのは理解できない。国民への啓蒙が足りていない。朝日が世の中を正しい方向へ引っ張っていかなければ』と考えています。かつての『朝日』のイメージから抜け出せない連中で、これはむしろ若い記者に多い気がします。彼らは、朝日記者たるエリートの自分たちは、他人を批判したり糾弾したりする資格があると思い込んでいる。そんな思い上がりが読者に見透かされているのですが、それに気づいていない」 こうした認識も古めかしいものだ。情報の多くはSNSからというのが若い連中の常識になっている。 その元の情報が朝日だろうと産経だろうと関係ない。情報を一瞥して、すぐに自分の好みの情報を探しにいってしまうのだ。ネット時代に既存のメディアが生き残るためには、あらゆるツールを使って情報を発信し、どんな形でもいいから読者やユーザーに読んでもらわなくてはいけない。 そのためにはもっと動画に力を入れるべきではないか。いいドキュメンタリーを新聞が発信できれば、読者はついてくるはずだ。映画の世界を見てみるべきだ。作り物よりも、ドキュメンタリータッチのもののほうが、見ていて面白い。NETFLIXやAmazonビデオも、いいドキュメンタリーが増えてきている。見て面白く、メッセージ性の強いものを作れば、読者はついてくる。培ってきた取材力を生かして、目で見る調査報道をやる。どこが早くそれに気づくかな。 最後に、今年の3・11を前に、あの時、NHKをはじめとした放送メディアで一人気を吐いていたNHKの水野倫之解説委員に現代がインタビューしている記事を紹介しよう。 「東日本大震災により福島第一原発はメルトダウンを起こし大量の放射性物質を広範囲にまき散らす重大な事故を起こしました。政府と東京電力は最長40年で廃炉にする工程表を掲げ、2021年には溶けた燃料の取り出しを始める計画を立てました。しかし、原子炉を突き破って格納容器まで溶け落ちた燃料取り出すのは世界でも初めてのこと。その前段階として、格納容器内がどうなっているのか、溶けた核燃料がどういう状態になっているのかを、まず調べなければならない。そこで先日、探査ロボットの通称『サソリ』が格納容器内に投入されたのですが、正体のよくわからない堆積物に阻まれ故障し、すぐに動かなくなってしまった。今年の夏には溶けた核燃料どうやって取り出すのか、その方針を決める予定です。しかし、このように内部の詳細もまだわからない状況で『取り出し方針』が決められるものなのか」 原発事故はこのように、一度事故が起きてしまえば、廃炉にするにせよ、気の遠くなる時間がかかるのだ。 「私は福島の事故前から、次に原子力施設で何か大きな事故があるとしたら原発なのではないかと思っていました。そう考えたきっかけは、1999年に茨城県東海村の核燃料の加工工場で起きた臨界事故です。中性子線という強烈な放射線が放出され、2人の作業員が亡くなりました。この時、事故の収束に手間取ったことを教訓にロボットが必要だという結論に至った。国の予算で研究機関が試作品を作ったというので、私も取材に行きました。ところが、行ってみると研究者たちが、困っている。せっかく作った試作品も実用化するには電力会社に引き取ってもらい各地の原発に配備してもらうしかありません。しかし電力会社は『ロボットを置くということは、すなわち事故が起こる可能性を認めることになる』という理屈で、原発では不要だというのです。この時実用化しておけば、福島の事故で役立ったことは間違いありません。まさに“安全神話”の典型でした。電力会社は『事故は燃料加工会社が起こしたもので自分たちは違う』と全く対岸の火事を見ている状態で、そこから教訓を見出そうとはしていなかった。こうした状況を見聞きして私は『次に事故が起きるとしたら電力会社の原発だ』という思いを強くし、備えをしなければと考えるようになりました。各原発を取材し、同時に現場を知り確かな知識を併せ持つ専門家を探しました。一番詳しかったのは、原発を実際に作っているメーカーの技術者たちで、日頃から意見交換してきました。ですから、福島の事故の時は、スタジオ解説の合間に彼らに連絡を入れ、何が起きているのか、確認を続けていました」 彼が、事故直後から報道現場で何が起きていたのかを本当に語ってくれれば、素晴らしい「証言記録」になるはずだが、それはできないのだろうな。 「政府は40年で廃炉を完了させると言っていますが、取り出した核燃料の最終処分も考えればもっと時間がかかる可能性もあります。今、生きている人で福島の廃炉を見届けられる人が、一体どれだけいるのか。私の先輩の解説員からは『お前、廃炉になった福島原発の前で最後のリポートをしろよ』と言われ、是非そうしたいと思ってはいますが、そこまで私が現役でいられるかどうか……。でも、誰に何と言われようが私はその過程を見届けていきたい」 こういう男が現場にいてくれると思うだけで、少しは気持ちが落ち着くではないか。 原発事故はまだ収束していない。確実なのは、原発を再稼働させれば、また同じような、否、もっと大きな事故が起きることは必定であろう。 政府は3・11を「原発事故を忘れない日」として祝日にしたらどうか。 【巻末付録】 現代は巻頭に「みんなの恋人 岡田奈々」。後半は「海外セレブハプニング2017春」。「妄想グラビア『東京タラレバ』OL写真」。袋とじは芸術家として知られていた鷲尾老人という人が遺した1,000点を超える「性風俗」のコレクションを掲載している。 明治時代にもヌードは撮られていて、なかなか面白い絵柄がある。揃えていないヘアが映っていたりして、いつの時代もこうしたものはあったのだと、いまさらながら気づかされる。 ポストは巻頭が「南野陽子『陽子をひとりじめ!』」。後半はおなじみの「まさみ筆あそび」と袋とじは「大西結花」。大西結花のヘアヌードはいい。 今週は明治・昭和の性風俗を楽しめる現代の企画力に軍配を上げたい。 (文=元木昌彦)「週刊現代」(3/18号、講談社)
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「事故の可能性を認めることに……」NHK水野解説委員が明かした、原発が探査ロボット試作品を置かなかったワケ
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