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中国人漫画家、コミケ初参戦で「二次創作文化に神道の精神を見た」!?

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孫向文Twitterより
 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。  昨年12月29~31日、毎年恒例の「コミックマーケット」が開催されましたが、僕も初めて参加しました。出品したのは「じゃぽにずむ」という和風のイラスト集です。もともと「ジャポニズム」とは19世紀にヨーロッパで興隆した日本文化の流行のことで、ゴッホやモネなど印象派の画家が浮世絵に影響を受けた絵画を発表しました。僕は中国人ならではの感覚で日本文化を描き、かわいらしさを感じさせるために題名をひらがな表記にしました。「じゃぽにずむ」は開場から3時間ほどで60冊以上が売れ、自分が描いた和風の作品が日本の方々に受け入れられたことを大きな誇りに感じました。  似たようなイベントは中国でも開催されているのですが、実情は大きく異なります。例えば「漫画展覧会」という同人誌即売会は入場料が80~150元(約1,500~2,500円)程度かかるため、誰もが気軽には参加できるものではありません。二次創作やコスプレは認められているものの、創作物の自主制作は法律で禁止されており、検閲を通さないと作者が逮捕される恐れがあります。そのため、漫画展覧会には、オリジナル作はごくわずかしか出展されません。また性表現や政治表現に対する規制も厳しく、会場内には大勢の警察官や警備員が配置され、規制に引っかかった作品はただちに没収されます。その代わり、政府が漫画家に発注した共産党政権の正統性を訴えるプロパガンダ作品が数多く陳列されています。  僕も大学時代、読み終わった日本のアニメ雑誌を漫画展覧会で販売したことがあるのですが、警備員から「わいせつ商品だ」「表紙に女性の胸とお尻ばかり載っている。不健全だ」などと警告され、販売中止の処分を受けました。しかし、雑誌の表紙に掲載されていたのはアニメキャラの水着姿やパンチラ程度のもの。その一方、著作権を無視して日本産のキャラクターを使用したグッズを売り出すサークルや、日本の漫画やアニメを違法アップロードして広告収益を稼ぐ企業ブースが軒を連ねていました。僕はこの時、政府のゆがんだ体制を軽蔑しました。 ■日本の宗教は寛容な精神を持つ  現在ではアジアやヨーロッパ諸国でも行われている同人誌イベントですが、やはり表現の豊富さは日本のコミケの作品が突出しているように感じます。そのため、コミケにはユニークな作品を求める中国人や欧米人が多数訪れます。僕の近著『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)にも書いたのですが、日本に豊かな表現力が芽生えたのは、宗教が大きく関係していると思います。欧米諸国ではキリスト教、中東諸国ではイスラム教、東南アジアでは仏教と、各地域の土着宗教は、その土地の文化に大きな影響を与えます。現在の中国では「中国共産党」が宗教のような影響を及ぼしているのですが、それぞれの宗教には大抵さまざまな戒律が存在し、現在のイスラム教徒によるテロを見ればわかるように、互いが相いれない要因になっています。  一方、日本土着の神道は、もともとは外国渡来の仏教と「神仏習合」と称して融合したり、本来は禁欲主義の僧侶が配偶者を持つことを許可したりと、非常に寛容性が強い宗教です。世界中で信仰されるキリスト教やイスラム教が日本で普及しないのは、これらの宗教の戒律が神道の精神と合わないためだと思います。  日本神話に登場する神々は、飲酒、肉食、性行為など自由に振る舞い、一神教の神のように人間に戒律を授けたり、天罰を与えたりすることはほとんどありません。神話の時代から、日本では自由な表現が認められているのです。しかし、僕は将来に不安を感じています。以前、とあるゲームショーの会場内で、中東系と思わしき外国人男性が「同性愛反対」と書かれたプラカードを掲げ、行列に並ぶ人々に向けて抗議を行っていました。僕は自分の宗教上の理由で外国文化を批判する人物は、その国に滞在する資格はないと思うのですが、諸外国の文化の影響からか、日本の創作物に対しても、徐々に規制が強まってきた印象があります。そして世界中から多くの人々が訪れる2020年の東京五輪開催に向けて、規制を厳しくしようという潮流は、今後さらに強まることが予想されます。  山田太郎前衆議院議員は、毎回コミケが開催されるたびに、表現の自由を訴える街宣活動を行っています。今後、外国人の意見を優先して日本の創作物表現に対する規制強化を提案する政党や代議士が出現するかもしれませんが、そのような意見が浸透することは絶対に防ぐべきです。神道を根本とした表現の自由は、日本の大切な文化です。そのような「日本の宝物」に干渉しようとする人物は、国政に携わる資格がないと僕は思います。 ◆「チャイナめった斬り」過去記事はこちらから
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●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

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