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Channel: 日刊サイゾー
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「1人のバカが変えていく」『人生のパイセンTV』が壊す、窮屈で退屈でマンネリなテレビ

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『人生のパイセンTV』フジテレビ
「ついに若林さんが覚醒しました!」  オードリーの若林正恭が荒々しいラップを歌い終わると、ベッキーがそう叫んだ。会場には、割れんばかりの「若様」コールが鳴り響いた。  そこは「PAISEN FESTIVAL マジリスペクト 2016」と名付けられた“音楽フェス”の会場。『ヨルタモリ』(フジテレビ系)の後番組として、昨年10月からレギュラー放送を開始した『人生のパイセンTV』で行われたフェスである。番組の総合演出を務める「マイアミ・ケータ」こと萩原啓太の「夢だった」ということから、番組開始わずか3カ月で実現した。  だが、実はこのフェス、開催することを上層部に報告していなかったため、大目玉を食らったという。しかも、急いでセットを組んだため、大赤字。にもかかわらず、通常回、わずか24分のオンエア。バカだ。  この番組は、人から「バカ」だと言われても信念を貫き、人生を謳歌する大人たちを「パイセン」と呼び、リスペクトする番組だ。これまでも年商10億円を超える社長でありながら365日短パンをはき続けるパイセンだとか、EXILEに憧れすぎているリーマンパイセンだとか、万物をトンガらせるヒーローのパイセンだとか、市議会議員からタレントに転身しちゃったパイセンだとかを紹介し、番組内“スター”を発掘してきた。  番組の最大の特徴は、その紹介VTRが、とにかくチャラいことだ。画面いっぱいに広がるカラフルなテロップに、騒がしくまくし立てるナレーション、けたたましく響く効果音とBGM。チャラい人をチャラい人がチャラい演出で撮り、迫ってくるのだ。最初こそ、そのチャラさに拒否反応を起こしていても、見ているうちに楽しくなってクセになってしまう。そんな中毒性があるVTRだ。  その上で、番組MCの若林やベッキーからも「2部構成」とイジられるように、VTR後半は一転し、自分がチャラくなった理由や思いが静かに真面目に語られる。チャラさを笑っていたら、時にうっかり感動させられてしまったりさえする。VTRを見終わった後、なんだか味わったことのない、新しい心地よさがあるのだ。それは「バカ」をバカにしていないからだろう。  2015年の好不調を頭の中でグラフにした時に、このレギュラー番組が始まった10月からクイッと上向いたことを告白し、 「私、ホントにこの番組と出会えて幸せ!」 と、は思わず口にしたベッキー。2人は、このグラフのクイッと上向いた部分を“パイセン坂”と命名し、若林も少し照れながら同意して言う。 「俺も悔しいよ。俺もパイセン坂あんだよ。パイセン坂を上がることで、ほかの仕事も良くなるみたいな。たぶん、人生のピークだったと思う、2015年は」  かつて卑屈で、何に対してもナナメ目線だった若林が、この番組では心から楽しんでいる。 「ホントに俺、ずっと人生つまんなかったんだけど、めっちゃ楽しかったもん、2015。全部の仕事楽しくって!」  ベッキーに至っては、この番組の収録がある日に予定を聞かれ、「オフ」だと無意識に答えてしまったこともあるという。「仕事」だという感覚がなかったのだ。若林もまた、「高速に乗る時の(浮かれた)気持ちが、『パイセン』(の収録へ)行く時とゴルフ行く時は一緒」だと笑う。いい意味で「遊び場」感覚なのだ。  かつてフジテレビの名プロデューサー・横澤彪は『オレたちひょうきん族』を作る際、「スタジオは遊び場だ」と宣言した。それによってアドリブが飛び交い、本来NGになるようなハプニングを笑いに変え、躍動感あふれるイキイキとした番組になった。その精神こそ、“フジテレビ的”なものだ。弱冠29歳の萩原啓太にも、その血は確実に受け継がれている。マイアミ・ケータを名乗り、積極的に画面に登場するのも、その表れだろう。 「人はバカになれた時、人生が楽しくなる。バカになれた時、人生が豊かになる。バカになれた時、人生が切り開ける」  そう『パイセンTV』は言う。どんな苦難があってもすべてを吹き飛ばし、明日から全力で笑うためにバカになるのだ。こんなバカなテレビがあったっていい。 「1人のバカが変えていくんですね」  若林は、本当に実現した「パイセンフェス」を眺めて言った。「パイセンフェス」の最後は、この日のために作られた「三代目パイセンオールスターズ」が歌うオリジナル曲「P.A.I.S.E.N.」で締められた。その中で若林が「窮屈で退屈でマンネリな日々ぶち壊すパイセンTV♪」とラップを披露し、盛り上がりがピークに達した後、一番オイシイところで登場し、サビを歌い上げたのがマイアミ・ケータだった。 「テレビは、あなたの思い出作りの場所じゃないんですよ!」  若林は幸せそうにツッコんだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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