今週の注目記事・第1位 「安倍晋三 <スクープレポート>『朴槿恵の前で大失態』一部始終」(「週刊現代」11/21号) 「『たった3億円』で手打ちした韓国への唖然呆然」(「週刊ポスト」11/20号) 「<日韓首脳ドロ縄初対決> 安倍は朴に勝ったのか?」(「週刊文春」11/12号) 「<反日>『朴槿恵』大統領 敗北は『慰安婦』の空砲」(「週刊新潮」11/12号) 第2位 「『認知症老人』1000万人に! ニッポンの大ピンチ 医療も介護も年金も、ぜんぶ吹っ飛ぶ」(「週刊現代」11/21号) 第3位 「美智子さま『ご心痛』の核心 天皇<富山海づくり大会> 式辞ご中断事件」(「週刊文春」11/12号) 第4位 「自衛官の『戦死』 補償・祭祀どうなる これで遺族は納得できるのか」(「週刊朝日」11/20号) 第5位 「今から『自宅マンション』を点検できる完全ガイド」(「週刊新潮」11/12号) 第6位 「ソニーに売り飛ばされる東芝社員 得するのか?損するのか?」(「週刊ポスト」11/20号) 第7位 「どうやって、どこで生きていくのか 小保方晴子さん『家族離散』の哀しい日々」(「週刊現代」11/21号) 第8位 「『朝日新聞』が宣伝する『難民受け入れない日本は冷たい国』への反論」(「週刊新潮」11/12号) 番外 現代、ポストのSEX記事の勝者はどっちだ! まずはヘア・ヌードグラビアから。ポストは「日活ロマンポルノカレンダー 甦るエロスの美神」と、元SKE48の“おっぱい番長”「佐藤聖羅 解き放たれたGカップ」。こちらはヘアなし。 現代は「<巻頭カラー 10ページ!>伝説ふたたび」と銘打って、またまた「河合奈保子」。今年がデビュー35周年だそうだが、やっぱりカワイイね。1963年生まれだから、彼女も50を超えたのか。今のカワイイ中年の奈保子オバチャンを見てみたいね。フライデーが張り込んでくれないかな。 後半は、「安倍なつみ」「後藤真希」のセクシーショット。「緊急特集 すべて本物『人妻自撮りヌード』」。袋とじは「90年代『アイドルヘアヌード』傑作選」。大西結花、濱田のり子、小沢なつき、小松千春。 ともにわいせつ度はいまいちだが、質量ともに現代が勝っている。 記事ではどうか? ポストは「絶対安全で気持ちいい『天国』教えます」。フーゾク入門篇で、エステやピンサロ、ソープランドなどの仕組みと、北海道から福岡中州までの大繁盛店の紹介。だが、店名はイニシャルなのが残念。熊本のソープ「B」はプロ野球選手や芸能人が足繁く通う名店だそうだが、料金は90分4万5,000円だそうな。高~ッ。 新編集長になったからではないだろうが、現代のほうもポストに負けじと力を入れている。「60からの新・HOW TO SEX」大特集。 Iは、女性器はここまでわかったとして「形状、クリトリス、Gスポット、におい、色、絶頂、潮吹き」の最新知見をズラズラ。これを読むだけで満腹。 IIは、「もう一度やり直す60からの『フェラチオ』と『クンニリングス』」。 IIIは、「感じる体位」「感じさせる体位」のニュートレンド。スパイダーなる体位を紹介しているが、こんなアクロバットのような体位を取ったら、腸捻転でも起こしはしないだろうか? IVは、電気マッサージ器を使って女性を攻めてみませんかというのだ。電マを買わなくても、スマホのバイブレーター機能を使って楽しむことができると懇切丁寧に教えてくださるが、読み終えるとクタクタになって、とてもSEXをするような気分ではない。 こうした読み物は実用ではなく、一種のポルノ小説として読むのが正しいのではあるまいか。宇能鴻一郎の小説よりも、コーフン度は高いような気がする。 今週もグラビアを含めて、質量ともに現代がポストを圧倒した。 まずは新潮の、日本は難民に冷たくないという記事から。昨年、日本政府に難民申請をした外国人は5,000人いるが、実際に認定されたのはたった11人だった。そのことで、朝日新聞や毎日新聞は政府の難民政策を批判しているが、実際に難民支援している現場の人間は、ニセ難民が多く、本当の難民を見つけるのは石ころからダイヤモンドを探し当てるようなものだと語っている。 しかも、外国人が「難民申請」して不認定になっても異議申し立てができ、さらに不認定になったら行政訴訟を起こすことができる。2010年に難民認定制度が改正されたから、申請を行えば日本で働く資格ができるので、何度でも難民申請をすれば何年も日本にいることができる。そのため、ウソの申請をして日本で働こうという“ニセ難民”が増加しているそうだ。したがって、日本はニセ難民天国で、決して冷たい国ではないという論調である。 ドイツのように何十万人もの難民を正式に受け入れるのがいいのか、日本のように、受理する数は少ないが、後は見て見ぬフリをしているのがいいのか。近々、この問題は、徹底的に話し合う必要のある重要課題になるはずである。 OBだから言うのではないが、このところ現代が面白い。それに比して文春が、編集長が交代したためか、精彩に欠ける気がする。 7位は、あのSTAP細胞の小保方晴子元理研研究員(32)の近況を追いかけた現代の記事。 といっても、要は、彼女は兵庫県神戸市の三ノ宮駅近くのマンションをそのままにして、いなくなってしまったし、千葉県松戸市に住んでいた両親たちも、そこから姿を消してしまっているというのだ。 この実家で、晴子さんは両親や姉妹たちと仲睦まじく暮らしていた時期があった。 先日、早稲田大学が彼女の学位を取り消すと発表し、小保方さんが処分は不当だと代理人を通じて反論したが、世間はもはやほとんど関心を示してはいない。 彼女の母親は、都内の大学で臨床心理を教えている大学教授だそうだが、当然ながら現代の取材に答えることはなかった。 世界で一番悲しいのは、忘れられた女である。彼女は今後、どのような形で再び姿を現すのであろうか? ポストは、2,248億円の粉飾決算疑惑で揺れる東芝が10月28日、半導体部門の主力工場のひとつである大分工場の一部をソニーに売却すると発表した問題を追っている。 これが行われれば、2016年3月までに同部門の社員のうち約1,100人が、ライバル企業であるソニーに転籍されることになる。 売却額は、約200億円とみられるそうである。大分工場は東京ドーム8個分の広大なもので、約2,400人が働いているという。 当然ながら、ソニーに行くか残るか、当人たちに選択肢はない。だが、給与面ではソニーに行くほうが「厚遇」されるそうだ。 ソニーの社員の平均年収は891万円だが、東芝は759万円で、ソニー広報は「給与はソニーの基本的な体系に合わせることになります」と言っているからだ。 「今回、大分工場の残留組と統合される岩手東芝エレクトロニクスは、東芝本社より給料が3割ほど低い。新子会社に移る社員は岩手東芝の待遇に合わせ、給料3割カットがまっているといわれる。現場では“なぜ、売り飛ばされたほうが厚遇になるのか”との声も出ているそうです」(本社勤務の50代の中堅幹部) だが、残留組の不満が爆発しないように、給与の差額補償を内々に約束したらしいとの情報もあるが、ソニーと東芝の社の体質の違いもあって、ソニーに行ったからといって、みんなに明るい未来が待っているわけではないだろう。今さらながら、経営者たちの罪は重い。 第5位。三井不動産レジデンシャルが販売した、「パークシティLaLa横浜」の杭打ち偽装“事件”は燎原の火の如く広がり、ほかの不動産会社にも飛び火している。 新潮では、「今から『自宅マンション』を点検できる完全ガイド」を巻頭から特集しているが、今住んでいるマンションの杭打ち偽装を調べるためには相当なカネが必要で、とても個人でできるものではない。 迂遠だが、新潮が首都圏の地盤の深度を表した「地盤マップ」を掲載しているので、これを見て、自分の住んでいるところは支持層がどれぐらいなのかを知ることはできる。 20m以上あるところでは、一応疑ってみたほうがいいという。私が住んでいる中野区は12m、東京駅周辺は17m、東京スカイツリーのあたりは29mだそうだが、越谷レイクタウンは49m、北千住は49m、大宮は50m、豊洲は41m、新浦安は55mと、相当深いところがある。 浅いと思っているところも起伏があるので、心配ならマンション販売時のパンフレットや竣工したときの資料が手許にあれば、杭の長さが10~20といった表記になっていないかを調べるといいという。同じ建物でも、杭の深さがバラバラということは傾斜地に建っているということだから、気をつけたほうがいいそうだ。 そんなことを言われても、わかったからといってどうするのか? でも、それでも知りたい。そんな葛藤に、マンションの住人たちは襲われているに違いない。 天皇皇后の姿をテレビで見ることが多いが、文春は最近、天皇陛下に深刻な異変が起きていると報じている。 「すべては壇上で起きたことで、その場にいた全員が目撃しました。一般の観衆はちょっとしたハプニングだと捉えたようです。しかし、天皇陛下の為さりようを長年拝見してきた記者なら、いま我々の目前で起きていることは非常に重い意味を持つのではないかと、深刻に受け止めたはずです。だからこそ、宮内庁記者会は侍従だけでなく次長に対しても、詳細な説明を求めた。ただ、この“事件”を報じることは、取りも直さず陛下の健康問題について指摘することに繋がる。これは非常にデリケートな問題であり、やむを得ず報道するのを見送りました」(宮内庁担当記者) こう書き出すと、天皇陛下に重大な病気が新たに見つかったようだが、文春によれば、以下のようなことである。 それは10月25日、富山県で開かれた「第35回全国豊かな海づくり大会」の式典行事に、天皇皇后が臨席された時に起こったという。 そもそもこの行事は、天皇皇后が地方へお出ましになる毎年恒例の「三大行幸啓」のひとつである。三大行幸啓とは、初夏に行われる「全国植樹祭」と、秋に行われる「国民体育大会」、そしてこの「全国豊かな海づくり大会」。植樹祭や国体の御臨席は昭和天皇から引き継がれたものだが、唯一豊かな海づくり大会だけは、天皇が皇太子の時代に始められ、1981年の第一回大分県大会から出席されているそうだ。 89年の即位のとき、記者会見で天皇はこう述べている。 「皇太子時代、毎年豊かな海づくり大会に出席しましたのも、日本を囲む海が少しでも良くなるように願ってのことでありました。地球規模の環境が日本でもだんだん関心を集めてき、それに取り組む人々が増えてきていることを、大変うれしく思っております」 天皇はこの大会に特別の思いがあり、今回の富山訪問にあたっても、天皇皇后は富山市の県立イタイイタイ病資料館も視察され、患者の家族らとも懇談されている。 問題の“事件”が起きたのは、25日正午頃。壇上では、若手の漁師夫妻による決意表明や、児童による最優秀作文の朗読などのプログラムが次々に披露されていた。 「最後に、『閉会のことば』を述べようとする横山栄・富山県議会議長が舞台下手の主催者席を立ち、高校生の先導で、ステージ中央後方の天皇皇后両陛下に向かって最敬礼をするポイントまで進むと、天皇陛下が議長を呼び止めるように右手をパッと出されたのです」(別の宮内庁担当記者) 横山議長はなんのことかわからず、狼狽したという。後で横山議長はこう話す。 「本当に驚きました。私が頭を上げると、陛下が手招きをされている。一、二歩進んでも陛下の声があまりよく聞こえませんでしたので、失礼を承知で本当におそばまで近付いたところ、『最優秀作文の発表は終わりましたか?』とお訊ねになったのです」 横山議長は一瞬なんのことかわからなかったそうだが、「終わりました」と申し上げると、ふうんと納得されたような感じだったという。 この様子を見て、宮内庁担当記者の脳裏には、ある懸念が去来していたという。 「思い出したのは、あの8月15日の終戦記念日に行われた全国戦没者追悼式での、“お言葉フライング”の一件です。(中略)何十年も続けてこられたこの追悼式の手順を間違えられ、黙祷を待たずにお言葉を読みあげられた陛下のお姿は、衝撃的でした」 心配されるのは、お年を召されるにつれて物忘れをなさることが増えていることだと、ある宮内庁関係者が話している。 「気の置けないお客様と御所でお会いになる時は、人の声に対して集音能力の高いセパレート型と見受けられる補聴器をお使いになっているそうです」(宮内庁関係者) 今上天皇は来月82歳を迎えるのだから、少々物忘れがあってもおかしくはない。私などは一回り下なのに、耳は聞こえず目は近く、物忘れという程度ではなく、認知症の初期の兆候がはっきりと出ている。 テレビで見る天皇陛下は、確かにお年を召されたが、歩く姿や姿勢などはまだまだ矍鑠(かくしゃく)としている。先日、飛び入りでパラリンピックを目指す選手と卓球を楽しまれた映像にはビックリした。確かに文春の言うように、周りに控えている侍従たちが、それとなく目配りをしてあげることは必要だろうが、体力、気力はまだまだ衰えていないようだ。 心配なのは、両陛下の公務の多すぎることである。皇太子や秋篠宮に公務を割り振り、両陛下が休める日をもっと増やしてあげることを至急やるべきであろう。 閑話休題。日刊ゲンダイの川鍋孝文会長が亡くなったのは9月17日だった。その「お別れ会」が11月9日に帝国ホテルで開かれ、多くの人が川鍋氏を偲んだ。 その際「日刊ゲンダイ 川鍋孝文追悼号」が配布された。川鍋氏がつけた最後の見出しは今年6月4日号の「筋書き通りの国会審議の茶番 裏の真相を全く報じないこの国のタレ流し新聞記事の罪」であった。 創刊以来、「流されゆく日々」を連載し続けている五木寛之も、一文を寄せている。 「川鍋さんは、いつも独特の気配を漂わせていた。その気配を言葉にするのはむずかしい。あえていうなら、『自由』の風が吹き過ぎる雰囲気なのである」 川鍋氏が社内報で発表した文章も収められている。川鍋語録を抜き出してみよう。 「編集者は洒落者でなければならない。いつもGパンにうす汚れたシャツでは優秀にはなれない。精神のオシャレが服装に反映するからだ。嗜好は一流好み、バーは銀座、ぜいたくが好きというのも必要条件だろう」 「若い編集者の諸君に、とにかく、才能のある無名の人との接触をおすすめする。テリー伊藤のような手垢にまみれたTV出演者とは絶対付き合ってはいけないし、自分が損をすることになると警告をしなければならない」 「いま編集者は上質な人間に適した職業であるのだろうかは分からない。編集者は、黒子になって、世間的スターを作り出すのが本来の仕事であった。あくまでも自分はマットウな地道な黒子であった」 夕刊誌(紙ではない)の時代を作った英雄の死は、確実にひとつの時代の終わりを告げている。合掌! 第3位。週刊朝日の記事はこんな描写から始まる。 「11月3日、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)であった入間航空祭には、約20万人(主催者発表)もの航空ファンが詰めかけた。(中略)だが、祝祭ムードとは対照的に、会場の片隅に設けられた『自衛官募集』のブースだけは、人影がまばら。採用説明会のテントの下にはパイプ椅子が並び、迷彩服姿の担当者が手持ちぶさたに座っていた」 今夏、2015年度の自衛隊一般曹候補生(下士官)の応募者は前年度から約2割減り、過去9年間で最小になったという。 安全保障関連法成立で、自衛官が戦闘に巻き込まれるリスクが高まったことと関連しているのではないかと朝日は書いているが、当然であろう。 しかも、危機はすぐそこまで迫っているのだ。自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の任務に、来年11月の派遣部隊の交代時に、今回の法改正によって合法とされた「駆けつけ警護」を加えることが検討されているからだ。 「『警護』といっても、実体は戦闘にほかなりません。2ケタ単位、最悪3ケタ単位の死者が出ることもあり得る。(中略)自衛隊は諸外国の軍隊のように救急救命制度が整っておらず、医師法や薬事法の制約で衛生兵による現場での治療や薬の投与も十分にできない。演習場近くに治療施設のある普段の訓練時とはまったく状況が違うのに、命を守る備えができていないのです」(元陸上自衛隊レンジャー部隊の井筒高雄氏) やみくもに法律を作ったため、肝心の細部を詰めていないから、自衛隊員は戦地で自らを守ることができないというのである。 さらに、戦地で自衛隊員が死んだとしても、戦死という言葉は使えず、靖国神社に合祀することもできない。 そのために、市ヶ谷の防衛省の敷地内に大規模な式典も行える慰霊碑地区(メモリアルゾーン)が造られ、これまでに事故などで殉職した1800人以上の自衛官の銘板が納められているそうで、ここに祀られる可能性が高いそうだ。 日本の国を守るためではなく、米国のために日本も血を流さないと対等な立場になれないという理由では、自衛官が死を賭してでもという大義にはなり得ないはずである。 公務中での死亡には遺族年金や、国から弔意・見舞金が支払われる。現行では最高限度が6,000万円だが、イラク派遣時には、例外的に9,000万円に引き上げられた。 だが、死者が増えるとアメリカのように、戦死者の弔慰金が1,200万円程度にコストカットされないとも限らないのである。 さらに、自衛官のほとんどが入っている「防衛省職員団体生命保険」は原則として、「戦争その他の変乱によるとき」は保険金が支払われないことになっているそうである。 こうしたことも見直さずに、頼むから米国のために死んできてくれと言われても、「わかりました」と行く自衛官がどれくらいいるのだろうか。 いや、どんなに「補償」が完備されたとしても、大義のない戦争へ自衛隊を行かせることなどあってはいけない。今すぐにでも、この法案を廃案にすべきである。 第2位。現代は、2025年に日本の認知症患者・予備軍の数は合計1000万人を突破する、65歳以上の3人に1人、全国民の約10人に1人がボケるという人類の歴史上例を見ない事態が迫っていると巻頭で報じている。 「10人に1人が認知症ともなれば、現在のような高い水準の介護・医療サービスをすべての人に行きわたらせることは、とうてい不可能と言わざるを得ません。財政破綻を避け、なおかつ現状の社会保障を維持しようとすると、現役世代の収入を9割以上召し上げなければならないからです」(政策研究大学院大学名誉教授松谷明彦氏) 厚生労働省関係者が言っているように、政治家も官僚たちも「もう、どうすることもできない」と気がついてはいるが、さじを投げてしまっているのが現実であろう。 そして、老老介護ならぬ認知症が認知症の面倒を見る「認認介護」が急増していくのである。最近、老人のドライバーが引き起こす自動車事故が頻発しているが、こんな事故はますます増え続けるに違いない。 老人ホームでの認知症同士の争いや暴力沙汰が頻発し、SEX絡みの不祥事も、若者の特権ではなくなる。 経済大国ニッポンから、認知症大国ニッポンになるのだ。想像してみただけで恐ろしくなるではないか。だが、それはすでに始まっているのである。 今週の第1位は、日中韓三カ国首脳会議に関する各誌の記事である。 首脳会談は10月31日、11月1日、2日の3日間、韓国・ソウルで行われた。日本からは安倍首相、韓国は朴槿恵大統領が出席したが、中国からは李克強首相だったのは、なんとなく違和感を持った。中国では、国家主席と首相が役割分担して出席することが慣例になっていることはわかっているが、中国通に言わせると李首相は中国経済の落ち込みや先の株暴落で権威が失墜し、いまや習近平の傀儡にすぎないといわれているからである。 存在感をアピールしようとしたのか、李首相は会談で「一部の国の間でいまだに深い理解が成り立っていない」と日本を批判するなど、高圧的な態度が目立ったような気がした。 もう一方の韓国、朴槿恵大統領と安倍首相の“対決”は、どちらが勝ったのか。まずは文春、新潮から見てみよう。文春によれば、中国側が李は公式訪問、安倍は「実務訪問」なのだから10月31日はすべて中国と韓国の協議に割いてほしいと主張し、韓国側がこれに応じたため、日帰りでの訪韓を予定していた安倍首相は、泊まらざるを得なくなったそうだ。 外務省から報告を受けた安倍首相は、「もう首脳会議はやらなくてもいい。慰安婦問題は解決済みだ」と怒ったという。さらにホテルも、米国が定宿にしているグランドハイヤットを希望したが満員で、別のホテルにされたという。 安倍首相の訪韓は9年ぶりなのに歓迎式典は催されなかったが、李首相はレッドカーペットを朴大統領と歩くなどの歓待を受けた。 では、会談そのものの評価はどうか? 首脳会談の定例化と来年の日本開催では一致したが、歴史認識問題では溝は埋まらなかった。 「共同宣言文には『歴史を直視し、未来に向かう』という文言が盛り込まれましたが、日本は当初『歴史を直視し』を後ろに回してくれと主張していた。しかし、結局、中韓に押し切られてしまいました」(官邸関係者) 安倍首相は中国と南シナ海問題で舌戦を繰り広げたが、当然ながら歩み寄りはなかった。慰安婦問題では、韓国側が「年内妥結」を主張したが、これは「慰安婦問題は解決済みであるとして、『(一度決まった)ゴールは動かせない』と言い続けた安倍首相の“粘り勝ち”です」(現地特派員) 新潮も「首脳会談でその(慰安婦問題=筆者注)解決策を引き出せなかった以上、彼女の作戦は挫折したことを意味します」(大手メディアのソウル特派員)とし、慰安婦問題の解決策を示さなければ会談をしないとしてきた朴大統領が、その問題を脇に置いて安倍首相と会ったのだから、「韓国に妥協しなかった安倍外交の勝利に他なりません」(産経新聞論説委員・黒田勝弘氏)と日本側を評価している。 ともに、安倍首相のほうがやや優勢だったと言いたいようだが、懸案事項はすべて先送りでは、会ったという事実だけが残った空虚な会談だったと思わざるを得ない。特に、李首相と安倍首相の間に流れていた厳しい雰囲気は、日中関係の難しさをよく表していた。 ポストの見方は、やや異なる。大の安倍嫌いで「慰安婦問題の解決がなければ会わない」と強気だった朴大統領だったが、日韓会談後、慰安婦への人道支援、つまり実質的補償の検討を再開させることで合意したと報じられている。 一見、安倍首相が譲歩したように見えるが、ポストはそうではないと言うのである。 「現在、存命している韓国政府登録の元慰安婦は47人。人道支援の予算が、日経の言う1億円なら1人約200万円、韓国側が挙げる3億円としてもたかだか1人約600万円になる計算だ。安倍首相にすれば“あれほど騒いでいたのに、ホントにたった3億円でいいの?”と眉に唾をつけたいのではないか」(ポスト) だが、この書き方はおかしいと思う。慰安婦問題で韓国側が重要視していたのは「首相による謝罪」であったはずだ。それがはっきりなされれば、金額の問題ではないはずである。だが、安倍首相はそこのところを曖昧にしたままだ。この問題は決着したわけではない。 ところで、先の朝日も言及していたように、文春も、米中関係が難しい局面に入り、日本はこれから厳しい選択を迫られることになると警告している。 それは、米中首脳会談直後に、オバマ大統領が下した判断から生じた。オバマは習が「南シナ海では我々は一歩も譲歩するつもりはない」と言い放ったことで、ハワイに司令部を置く米太平洋軍の海軍大将に「南シナ海での『航行の自由作戦』を承認する」許可を与えた。 横須賀を出航したイージス艦「ラッセン」に「南シナ海を北上し、中国の人口島の十二カイリ内を通過せよ」という指令が伝えられ、10月27日に「ラッセン」はスビ礁やミスチーフ礁など、中国の人口島の12カイリ内を1時間ほど通航したのだ。 中国海軍は艦の後方を駆逐艦と巡視艦の二隻で追尾し、中国国防省が米国のやり方を強く非難した。だが、これから長期化するであろう米中のにらみ合いで、米国が強く期待するのが日本の役割分担だと文春は言う。 先に訪日したフィリピンのアキノ大統領と安倍首相の間で、将来、自衛隊によるフィリピン駐留を見据えた訪問軍地位協定が確認されたという。その3週間後に海上自衛隊鹿屋基地所属のP3C哨戒機と隊員20名が、フィリピン西部の島で比軍と共同訓練した。 ここから中国が埋め立てを進める南沙諸島までは、300kmほどしか離れていない。 米国は南シナ海での哨戒活動に日本も加わるよう盛んに求めているそうだが、そんなことをすれば丸腰でヤクザの事務所へ乗り込むようなもので、「国民の十分な議論のないままに水面下でリスクのある計画が進んでいくことには疑問も感じます」(海上自衛隊関係者)というのも当然である。 現代は、まったく違う角度から安倍首相の訪韓時の“異変”について報じている。これが事実なら大スクープだと思うのだが、目次の扱いは小さく目立たない。どうしてなのだろう? それは、安倍首相が朴大統領と少人数の首脳会談の席で起きたという。朴大統領が慰安婦問題で、韓国民が納得のいく対応をとってほしいと述べた。次に、真向かいに座る安倍が発言する番になった。 「『ええ、わが国といたしましても……』 安倍首相は、必死に語りかけようとするが、ろれつが回らなかった。 韓国の外交関係者が明かす。 『朴大統領と安倍首相の慰安婦問題を巡る応酬の中で、「異変」が起こったのです。韓国側の話によれば、安倍首相の顔はみるみるドス黒くなっていき、とても健常者には見えなかったそうです。 安倍首相に不調が見られたので、横に座っていた岸田外相や谷内局長がフォローした』」(現代) それは故・中川昭一財務相が「酩酊会見」したときのようだったが、もちろん安倍首相は酩酊していたわけではなかった。 やはり、持病の潰瘍性大腸炎が悪化してきているからだろうか。このところ「夜の会合の最中に吐血した」(文春)「官邸執務室で体調不良を訴え応急手当を受けた」(ポスト)という報道が目に付く。 特にこの持病には、ストレスが大敵である。日中韓の首脳会談は安倍首相にすさまじいストレスを与えたはずである。これが事実だとしたら、安倍首相念願の東京五輪を現役の首相で迎えることは不可能に近い。いや、年明け早々の退陣もあり得るかもしれない。 現代発売と同時に、安倍首相は週刊現代に抗議した。 「安倍晋三首相は9日、同日発売の『週刊現代』に掲載された記事が『全くの虚偽』などとして、講談社の野間省伸社長らに対し、事務所を通じて記事の撤回と訂正、謝罪を求める抗議文を送った。誠実な対応がない場合は『法的措置も検討する』としている」(産経新聞11月9日付) 文春やポストの記事には、抗議したのだろうか? こうした報道が次々出るということは、煙があり、火元があるということだ。今のところ現代編集部は「書いた通り」だとしているそうだが、事実ならば徹底的に突っ張ってほしいものである。 (文=元木昌彦)「週刊現代」(11/21日号、講談社)
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「テリー伊藤のような者とは絶対付き合ってはいけない」故・日刊ゲンダイ川鍋会長の名語録
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