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大勢の観光客たちが訪れ、立錐の余地もない香山公園
秋も深まり、紅葉が美しく映えてくるこの季節。中国でも紅葉シーズンを迎え、北京市内の香山公園では紅葉を鑑賞しようと、多くの人が訪れた。
なんとその数、1日7万人。となると、問題になるのが観光客たちのマナーというか、モラルである。
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香山公園では、本来ならこんな美しい紅葉が見られる
禁煙区域なのに平気でタバコを吸ってポイ捨てする、辺り構わずゴミを捨てる、木に登って記念写真を撮るなど、いまや“おなじみ”となった中国人観光客の行動が、相も変わらず繰り返されていた。訪れた人が全員、マナーが悪いわけでは決してないが、それにしても分母が大きすぎる。香山公園は、目を覆うほどの惨状だったという。
中でもひどかったのが、木の枝を無理やり下に引っ張って、紅葉をむしり取っていた人たち。木が傷むばかりではなく、これだけ大勢の人がむしり取ってしまっては、紅葉がなくなってハゲ山になってしまう。しかし、そんなことなどお構いなしの人が多かったようだ。
そうなると心配になるのが、これから迎える日本の紅葉シーズン。中国はしばらく連休がないため、観光客が大挙してやって来るということはなさそうだが、それでも日本の紅葉の美しさは中国でもよく知られており、それを目当てに来る観光客の数は少なくないと思われる。すでに箱根や京都などでは、紅葉目当てと思われる中国人観光客の姿も報告されている。
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なぜか中国人観光客は、何かに登ったりまたがったりして記念写真を撮るのが好き
今年4月の花見のシーズンにも、桜の名所に大勢の中国人観光客が訪れる「爆花見」が起こり、桜の木を無理やり揺すって花びらを散らせたり、枝に乗って花のついた枝を折って持ち帰る人の姿が目撃されている。もしかしたら、今度は紅葉の名所で「紅葉の爆狩り」が起こる可能性もあるのだ。
「中国人観光客は、自分の目の前にあるものはなんでも持ち帰ってしまうという習性があるようで、飾りとして置いてあったものがすべて持ち去られるという被害に遭ったイベントもあるほど。しかも、みんな悪気がなく持っていってしまう。モラルの崩壊を感じますね」(北京市在住の日本人駐在員)
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無理やり枝を引っ張り、まだそれほど赤くなっていない葉を取る人たち
そもそも「紅葉狩り」とは紅葉の美しさを鑑賞するという意味で、決して紅葉を“狩る”ということではない。中国人観光客の方々には、そういった日本の文化も理解した上で、ぜひ日本の紅葉を楽しんでもらいたいものである。ちなみに「爆買い」のほうは、日本の経済にも貢献してくれるので、もちろん大歓迎である。
(取材・文=佐久間賢三)