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食堂のテーブルの上に寝たり、おしゃべりしたり。「大学の食堂にしては、ずいぶんきれいだな」というネット民の声も
子どもの就職説明会に親がしゃしゃり出てきて、面接官に給料額や職場環境など質問攻めにする(
参照記事)など、子どもに対して過干渉というか、甘やかしすぎの中国の親たち。今度は、子どもが入学した大学でも騒動を巻き起こしたようだ。
中国では、9月1日は大学の新学期。8月末になると、多くの新入生たちが新たな学生生活への期待に胸を膨らませてキャンパスにやってくる。ところが、学生たちと一緒に、なぜか親までやってきた。学生たちは入学手続きをしてから寮に入るだけなので親が来る必要などまったくないのだが、親元を離れる一人息子・娘のことが心配でならないらしい。だが、その親の数がハンパではなかった。
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大学側が提供したゴザと毛布。ずいぶん用意周到
河南省にある鄭州大学では今年、約1万8,000人もの新入生が入学しており、大勢の親が新入生と共にキャンパスへ。あまりにもその数が多く、大学の周囲には宿泊施設が少ないことから、大学側は急遽、8月28~30日までの間、学生用の食堂を親たちに開放し、ゴザと毛布まで提供することにした。
香港紙「東方日報」(9月1日付)などは、この模様を「怪獣家長が大学生と一緒に入学手続きに」と伝えている。怪獣家長とは、和製英語「モンスターペアレンツ」の中国語訳である。それにしても1万8,000人の新入生とは、全学生数の間違いじゃないかというほどの数である。
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こちらはすでに熟睡状態。固いテーブルでよく眠れるものだ
「中国の家庭は基本的に一人っ子がほとんどなので、親は子どものこととなると、もう心配で心配でしょうがない。子どもが大学を卒業して就職が決まると、今度は“いい生活基盤を作ってあげないと苦労するから”と、家や車を買い与える親もいるほどです。これだから、社会に出ても自分で何もできない」(広州市に住む日本人駐在員)
今回は大学側に無理難題を押し付けて食堂に泊まり込んだわけではないようだが、遠くからやって来る以上、宿の確保くらい前もってやっておくのが常識ある大人の対応というものではないだろうか。
それにしても、こんなに甘やかされた子どもたちが、将来どうなってしまうのか。他人事ながら、心配になってしまう。
(文=佐久間賢三)