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毒パックで顔中が腫れ上がった被害者の写真
健康食品や美容グッズなどを個人で大量に仕入れたり、海外から輸入してネットで販売することを、中国語で「代購」という。この代購をめぐり、ひとりの美人カリスマバイヤーに注目が集まっている。
香港紙「アップルデイリー」(4月21日付)によると、22歳の女性が販売した美容パックを使用した多数の女性が、顔に異常を訴えたという。パックを使用した購入者たちは、顔面が赤く腫れ上がった様子をネットに次々とアップ。中には、パックを使用した直後、なぜか顔から毛が生えてしまった人もいたという。
このパックは蚕糸を原料にしており、定価19元(約380円)で販売されていた。製品の包装には、製造年月日が記載されているだけで、製造会社や生産工場などの情報は一切、示されていなかった。
この“毒パック”を販売していた女性は、河南省商丘市に住む22歳の周夢★(★は女へんに「韋」)という人物。オーストリアに留学経験があり、帰国後、海外から商品を輸入してネット上で販売していた。外見はアイドルのような美しいルックスで、彼女の微博(中国版Twitter)は10万人を超えるフォロワーがおり、ファッション・美容界のカリスマとして人気だったという。彼女は微博上で、そのフォロワーに対し商品を販売していた。「この美容パックのお陰で、美しい肌を手に入れることができた!」と商品を派手に宣伝、それを信じた若い女性たちがこぞって購入したのだ。
肌に異常を感じた女性たちが病院で診断したところ、過敏性皮膚炎を引き起こしていたという。少なくともこれまでに39人が、彼女から合計で7万元(約140万円)分のパックを購入していたことが判明している。責任から逃れるためか、周は事件発覚から3カ月後の今年2月、突然姿を消し、行方不明となっている。
現在、被害に遭った女性たちは法的手段を検討中だという。今回の事件に関して、微博にはコメントが多数寄せられているが、購入者も「自業自得」と指摘する声が多い。
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“毒パック”を販売していた美女バイヤーの周。タレント並みの美貌で有名に。カネを持って逃げたのだろうか?
「この女は商売人としても、人間としても失格だ」
「こんな危ない商品を販売した女も悪いが、安さに負けて成分もわからないようなものを使う奴もバカだ」
「道徳心のない人間が商売やると、こうなるんだよ」
「正直、被害者には同情できないよ。自業自得だ」
「こうした代購によるトラブルは多い」と話すのは、中国のeコマースに詳しい上海在住の商社マンだ。
「代購は数年前から流行しています。物を仕入れて売るだけなので参入障壁が低く、いまや中国のネット副業の代名詞となっています。そんな中、過当競争になってライバルも増えているので、利ざやを手っ取り早く稼ごうとすると、安く仕入れられる怪しい商品を引っ張ってくるしかない。偽ブランドや毒製品を避けたい人が、目利きのカリスマバイヤーから購入するのが代購なのですが、本末転倒な状況になっています。カネ欲しさに、業者の誘いにのってしまうカリスマバイヤーもいます」(同)
中国で大ブームとなっている代購だが、製品に対する責任の所在が曖昧なままマーケットは日々、巨大化しているようだ。
(取材・文=青山大樹)