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Channel: 日刊サイゾー
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高田純次が実践する“テキトー”という笑えるライフスタイル フジ『ペケポンプラス』(4月28日放送)を徹底検証!

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 高田純次。「元祖テキトー男」「ミスター無責任」などの異名で知られるこの男は、68歳になってもなお、テレビの第一線で活躍し続けている。こういった年齢になれば少しは落ち着いたり、真面目なことを口にしたりするものだが、そのテキトーさには一切衰えがない。むしろ年を重ねることによって、変わらないテキトーさにますます磨きがかかるという、かなり特殊なベテランタレントだといえるだろう。   現在でも数多くのバラエティ番組から引っ張りだこなわけだが、4月27日に放送された『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)の高田純次は、いつもとは少し違っていた。この放送では、オリエンタルラジオが高田純次のアドバイスを聞くという流れ。普段は真面目なことを一切語らない高田純次だが、この日はお酒のせいもあってか、いくつかの、いわゆる名言と言われるような言葉を残した。代表的なその言葉を、以下に挙げてみよう。 「(ベテランになっても守っている自分なりのルールは)説教、自慢話、思い出話。この3つは抑えていかないと、自分は伸びていかない」 「自分が成長するために、(他人に)価値観を押し付けることは絶対にしない」 「(風呂に)裸で飛び込むのは88歳までだね」 「そんな楽しいことない、毎日。毎日は普通か悲しいことが多いと思えば、ちょっとした楽しいことも大きな楽しいことになりそうな気がする」  いずれも高田純次が言うからこそ、説得力がある。高田純次はまさにこの言葉通りの活動をこれまでずっとしてきているし、そしてこれからもずっとしていくだろうからだ。タレントというある種特殊な職業に限らずとも、この言葉を聞いて感銘を受ける方も多いのではないだろうか。  しかしながら、分かっていてもなかなか実践できるものでもないというのもまた事実だ。その言葉を守り生きていくために、それでは具体的にどうすればいいのだろうか? そのヒントが、28日に放送された『ペケポンプラス2時間スペシャル』(フジテレビ系)にあった。この番組でなぞなぞのコーナーにゲスト出演した高田純次は、テキトー節を連発。そのいくつかの発言には、高田純次的な生き方を目指す人にとっては非常に参考になる、具体的なヒントが残されていた。高田純次のように生きるためには具体的にどうすればいいのか、以下の3点に分けて検証してみたい。 (1)少年の心を忘れない  人は年を取れば大人になる。そんなことは、当たり前の話だ。しかし高田純次は、少年の心を、というか男子小学生の心を忘れず、それを堂々と口にする。たとえば冒頭、出演者一同が、中世の西洋的な世界観で統一されたコーナーにそぐう衣装をもらっていないと次々に話す流れで、高田純次はこう発言する。 「俺もTバックもらってない」  確かに流れとしては、衣装をもらってない、という意見は正しいのだが、ここでTバックという単語を選ぶのが高田純次だ。中世の西洋などまるで関係ない。むしろTバックという、男子小学生が喜ぶ単語は常に高田純次の中に用意されていて、それを口に出したいだけ、という意図すら感じられる。あるいは高田純次が、重いものを持つという流れになったときの発言はこうだ。 「これはクルね~。オシッコ漏らしそうになっちゃった」  これにしたって、オシッコと言いたいだけじゃないのか。だが、Tバックにしろオシッコにしろ、その場ですぐに出てくる単語ではない。高田純次の辞書には、こういった男子小学生が喜ぶ単語がかなり大きく掲載されているのだろう。それはつまり、少年の心を忘れていないということだ。言葉を換えるなら、年を取った自分を拒絶するということでもある。年齢を重ねたがゆえの真面目な発想や経験を、高田純次は自ら放棄しているのだ。 (2)アクシデントを恐れない  先述した重いものを持ち上げた高田純次は、自らギブアップを提案する。一同に「限界来ちゃいました」と述べ、スタジオのサブのほうを向き「家から電話?」とウソをついてその場を離れようとする。そして立ち上がって振り向き、歩き出そうとするのだが、次の瞬間、高田純次は頭をスタジオセットのバーに思い切り当ててしまう。この自分勝手なアクシデントの起こしっぷりは、見事というほかない。  68歳にもなれば、もうちょっと落ち着いてもいいのではないか。誰もがそう思うが、それは錯覚にすぎない。高田純次はあえて周囲に目を配らないことで、アクシデントを引き寄せる。これは確かに偶然ではあるが、偶然を自ら呼び込んでいるという点で決してまぐれではない。  そのアクシデントを、高田純次は心から楽しんでいる。これは言い換えれば、凝り固まった常識やルールへの拒絶だとも言えるだろう。自分が予想しなかったことが起こる、だからこそ人生は面白い。自分の思い通りに物事が進まなかったときに、それをストレスと感じずにむしろ楽しんでしまおうという信念。高田純次のこのイズムは、窮屈な世界で生きる私たちにとってもまた、参考になるものではないか。 (3)とにかく笑う  高田純次は、とにかく笑う。ほかの出演者の発言というよりは、むしろ自分の言ったことで大きな声を上げて笑うのだ。たとえば先ほどから述べている、重いものを持ち上げることになった際に「ただ俺、吹き出物が治ったばかりだから」と遠慮しようとして全員から突っ込まれる。そのときの、高田純次のうれしそうな顔ったらない。そして、高田純次はこう言う。 「じゃあ、持ち上げられるか! ワハハハハ!」  ものすごく笑うのだった。とにかく楽しんでいる。それが分かるような、実に素敵な笑顔を見せて。  そしてこれが、おそらく高田純次の生き方の根本にあるように思う。何があっても、楽しもう。何があっても、笑ってやろう。その意識の強さと、そしてまたしぶとさこそが、68歳になってもなお高田純次で居続けられる理由だろう。高田純次の言う通り、毎日は楽しいことばかりではない。それでも人は、笑うことができる。どれだけしんどい社会であっても、高田純次はそこにいる。今日もまた、テキトーなことばかりを口にして。 【検証結果】  『1分間の深イイ話』でオリエンタルラジオを相手に少し真面目に語った後、高田純次は笑いながら言う。「まったく思ってないこと言っちゃった」と。それが本当なのかウソなのかは、もはやどうでもいい。それすら関係ないのだ。高田純次は、自らが築き上げたもの、すべてを壊していく。だからきっと、このコラムをもし読んだら、高田純次はこう言うだろう。「俺、こんなこと言ったっけ?」とか、なんとか。 (文=相沢直) ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaa

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