「ヒデキ、感激~!」なんてカレーのCMが昔あったの覚えてる人いる? カレーの中にリンゴとハチミツがトロ~リ溶けてるっていうんで、当時、中学生だった記者は母親が留守の夜、自分でリンゴ入りのカレーを作ってみた。
もちろんリンゴはすりおろしではなく、ざく切りだ。しかし、カレーの中ではジャガイモにしか見えないリンゴは、イモのつもりで口の中に入れると、想定外の「シャキッ」という食感と、甘酸っぱさに、予想を完全に裏切られるまずさ……。父親にも「なんだ、コレ?」と言われる傑作となった。
春のある週末、そんな甘酸っぱい思い出を胸に向ったのは、東京スカイツリーのお膝元、駒形にあるこじゃれたカレーショップだった。
どうよこれ! ピンク色のヒマワリかと思ったでしょ。これこそ、そのスジでは有名な「いちごカレー」なのだ。 春の日差しが降り注ぐ下町のカレーショップの客席で、オーダーから待つこと数分、いちごカレーがやってきた。 大きな花のようにレイアウトされたいちごスライスといちごご飯は、顔を近づけると、ご飯で温まったいちごの甘酸っぱい香りが立ちのぼってくる。 ウ~ン、蘇るトラウマ(笑)。 見た目はカレーより、こっちがメインて感じじゃないか? 出オチじゃないことを祈りたい。 一方、主役を奪われた感のあるカレーだが、スプーンでルウをすくって一口舐めてみると、すりおろしたタマネギやらリンゴやらのベーストと香辛料の風味がたっぷりで、辛みはそれほどでもない。 トロミのある日本のカレーではなく、サラサラのインドカレー風。だが、本場インドのカレーには絶対入っていないであろう、いちごがココでも顔をのぞかせているのだった。カレーの中のいちごは予想してたけど、いちごご飯は予想外。このまま練乳かけて食いてー。
まずは、カレーの中のいちごを一粒食べてみると……ちょっとすっぱい? 甘さよりも酸味が勝っているようだ。そしていよいよ、カレーをいちごご飯にかけて一口。 ……え~と、いちごじゃなくてもよくない? カレー自体はおいしいけど、いちごとスパイスのマリアージュは、残念ながら記者の凡舌には理解不能だった。 これもきっと、リンゴカレーのトラウマに違いない。ああ、青春の味。ヒデキ、還暦……。 駒形 カフェ・ラティーノ いちごカレー 950円 意外性 ☆☆☆!! 味 ☆ 店 ☆☆☆ ※いちごカレーは、いちごが市場に出回っている5月中頃までの季節限定だ。食べてみたい人は急いで予約!カレーは辛さが1~10まで選べる。記者はいちごの甘さを消さないよう5辛にしたが、それほど辛くなかった。
カフェ・ラティーノには普通のカレーはもちろん、アイスクリームカレーや人形焼きカレーもある。いちごカレーと人形焼きカレーは要予約。