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習近平のコラ画像転載で「不敬罪」!? 言論弾圧強まる中国で、大学生が10日間拘留処分に

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大学生がアップしたと見られる画像。こちらは見ればわかる通り、習近平とナチスの制服のコラ画像
 習近平政権の発足以降、言論統制や民主化活動家への弾圧が強まっている中国で、安徽省に住む20歳の男子大学生が、Facebookで見つけた画像を中国版Twitter「微博」に転載しただけで、地元の公安当局によって逮捕されてしまった。その容疑は「侮蔑行為」だという。  台湾メディアなどが伝えたところによると、実はその大学生が転載したのは、偉大なる習総書記を揶揄したコラ画像だったのだ。公安局はこれを「下劣な影響を与える」として、中国の法律に則り、10日間の拘留処分とした。この件が明るみに出ると、ネット上では政治的表現の問題や政治的人物の人格権についての意見が飛び交ったが、これらは当局によって即座に削除された。
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こちらはおそらく、ヒットラー風にしたもの
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イギリスの週刊経済紙「エコノミスト」の表紙に掲載された、習近平を清王朝最盛期の皇帝だった乾隆帝になぞらえた画像
 中国の「治安管理処罰法」では、公然と他人を侮辱したり、事実を捏造して誹謗中傷した者は、5日以下の拘留または500元(約7,800円)以下の罰金、さらに情状の重い者には、5日以上10日以下の勾留または500元以下の罰金が科されることになっている。  中国の街角やネット上では、罵詈雑言が日常的に飛び交っているが、一般人相手の侮蔑行為で逮捕されたというニュースは皆無だ。この男子学生は事実上、「元首に対する不敬罪」で処罰されたといっていい。  まともな国家であれば、こういった政治的な人物を揶揄する画像をアップしても罪に問われることなどなく、新聞やニュース雑誌などは政治家や大統領を風刺した挿絵を盛んに掲載しているが、さすがの中国ではそうもいかないらしい。
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「菊の花顔」と題してシールやTシャツとしてゲリラ的に販売されたもの。これを作った芸術家は逮捕されたという
 昨年10月頃からは、中国共産党のスキャンダル暴露本を出版・販売していた書店の関係者を拉致・監禁する事件が相次いだが、国内の言論に対する習近平による弾圧は、ますます厳しくなっているようだ。  かつての社会主義国家・旧ソ連でも世論に対する締め付けが厳しかったが、庶民たちは政治家たちを揶揄するアネクドート(風刺小話)でその憂さを晴らしていた。その中のひとつに、酔っぱらいが赤の広場で「(国家最高指導者の)ブレジネフはバカだ!」と叫んで逮捕されたが、その罪状は最高指導者に対する侮辱罪および国家機密漏洩罪だった――というジョークもある。  おそらく中国でも、中国共産党や習近平を風刺する小話が人民の間でこっそり広まっているのは間違いない。ただし、それをネット上にアップしたりすれば逮捕されるリスクがあることを人民はわかっている。くだんの大学生は、まだ若くてそのへんの社会の機微をわかっておらず、軽い気持ちでコラ画像をアップしてしまったのだろう。  いずれにしても、中国という国はなんとも住みにくい場所である。 (文=牧野源)

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