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大家の携帯に保存されていた、入居者と思われる女性の盗撮映像(「騰訊新聞」)
中国では6~7月にかけ、卒業式シーズンに突入する。それに伴い、学生の引っ越しが多くなる時期でもあるのだが、引っ越し先で犯罪被害に巻き込まれることもある。
「今頭新聞」(6月23日付)によると、20歳の王さん(女性)は6月11日に大連市内のルームシェア物件に引っ越し、新生活を始めたばかり。この物件には、王さんのほかに3名の若い女性が入居していた。賃料は1カ月650元(約1万1,000円)と、付近の相場に比べて非常に安く、王さんは入居を即決したという。家主は、階下に住む40代の夫婦ということもあり、彼女は安心していた。
しかし、入居から5日目、王さんに衝撃が走った。彼女が洋服の整理をしていると、寝室の窓枠の上に小さな紙製の箱が置かれているのを発見したのだ。箱をよく観察してみる、小さな穴が開いていることに気がついた。王さんは瞬時に「盗撮用のカメラが仕掛けられているのではないか」と疑い、箱を手に取った。すると、階下から誰かが逃げ出す音が聞こえたという。
王さんはすぐに警察に通報し、駆けつけた警察官が調べると、なんと部屋から全部で7台もの盗撮用カメラが見つかったという。カメラはほかのルームメイト3名の部屋からも、トイレ、風呂場、リビングから1台ずつ発見された。カメラがつながれていた線をたどると、案の定、大家夫婦の部屋に行き着いたという。警察はすぐに大家の男を探し出し、事情を聞くと、盗撮していた事実を認めたという。その後の捜査で、この男の携帯電話からは、盗撮されたと思われる女性たちのプライベートな写真や動画が大量に見つかった。
大家による卑劣な犯行に関し、中国版Twitter「微博」には多くのコメントが寄せられている。
「こんな盗撮魔すら結婚しているというのに、俺は……。犯人の奥さんもかわいそうだな」
「押収した画像や動画は、男性警察官がチェックするのか。女性にとっては二次被害だろ」
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大家は取り調べに対し、最初から盗撮をするため入居条件を若い女性に限定して募集をかけたと供述したが、中国では最近、大家による盗撮事件が少なくない。今年1月には福建省泉州市のアパートで、4年間にわたり入居者の女性を盗撮し続けていた63歳の大家が逮捕された。この大家は、浴室のコンクリートの壁の中にカメラを埋め込む手口で、女性たちを盗撮していたという(福州新聞網)。
「中国では盗撮は軽犯罪とされ、捕まっても量刑が軽い。10日間ほどの拘留で、数万円の罰金というパターンが多いようです。一方、日本のAVの影響かどうかはわかりませんが、盗撮映像の人気はここ数年高く、ネット上で配信すれば儲かるので、“参入”する素人も多い。女子寮や女性専用アパートのオーナーとなって盗撮したり、ヨガやエクササイズなど女性向けの各種教室を偽装して更衣室を盗撮する例もあるようです。オーナーや経営者が個人の場合、要注意です」(上海市在住の日本人駐在員)
なんとも悪質な話だが、中国では新手の盗撮手法が続々と出現しているようだ。
(取材・文=広瀬賢)