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そこそこの美人にも見える彼女。ネット上の課金制動画配信サイトで動画を配信すれば、iPhone 6sなんてすぐに買えそうなものだが……
米アップルのiPhone 6が中国製スマホの意匠権を侵害しているとして、北京市の知的財産当局は、同モデルの販売停止命令を下した。しかし一方で、本家iPhoneに対する人民の強い思い入れを感じさせるような出来事が起こった。
「重慶時報」の「微博」(中国版ツイッター)公式アカウントの投稿(6月16日付)によると、重慶市石橋舗のデジタル製品を扱う店が集まる電脳街で、20歳過ぎの女性が上半身裸で店員に抗議するという事件が起きた。女性は衆人環視のもとでおっぱいをさらけ出し、「カネを返せ! それは汗水流して稼いだ私のカネよ!」と迫り、しかも店員の服まで脱がせにかかった。
目撃者の話によると、女性は店員からiPhone 6sを3,000元(約4万8,000円)で購入しないかと持ちかけられた。「絶対に本物の新品です。信じないのであれば、鑑定すればいい」とまで言われたので購入。ところがアップルストアに行き、シリアル番号を確認すると、中古品だということがわかった。この店では、中古品をレストアし、新品と偽って販売していたのだ。
石橋舗の電脳街は悪名高く、特にiPhoneにおけるトラブルは後を絶たない。女性は返金を求めたが、店員は頑として拒否。「返せ」「返さない」のやりとりが続くと、とうとう女性の怒りが沸点に達し、服を脱ぎだしたのだという。
この投稿はあっという間に拡散され、ネット民からは「3,000元で6sを買おうなんて甘すぎる」「有名になりたいだけだろう」という女性に対する非難から、「ニセモノを売るなんて許せない」という店側に対する怒り、「警察に通報してもアテにならない」という当局への批判まで、さまざまな反応が見られた。
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男性店員も、なぜか裸に……
この炎上騒ぎに対し、店員は「重慶晩報」の動画インタビューで反論。それによると、女性は15日、香港経由で入ってきたiPhone 6sを4,600元(約7万3,600円)で購入。その後、800元(約1万2,800円)を足して、中国本土で売られているものに交換した。そして翌16日に店に現れると、激高しながらバイブ機能がおかしいと訴え、商品の交換を要求。店員がそれには応えずトイレに行こうとすると、女性が突然、服を脱ぎ、抱きついてきたのだという。
ところが、市場管理当局がくだんのiPhone 6sを検査したところ(といっても、わずか1分程度の簡単すぎる検査だったというが……)、特に問題は見つからなかったという。そうなると今回の騒動は、単なる目立ちたがり女性による自作自演ということになるが……。上海でスマートフォンの販売をしている日本人(47歳)はこう指摘する。
「正常に動くという意味での『問題ない』という評価であって、これが新品かどうかまでは、当局は検査していないでしょう。電子機器の専門家でもない役人が、1分間見ただけで新品か中古かを判断できるとは思えません。きっと当局の役人と、この電脳街のトップは癒着しているのでは。役人はいってみれば、みかじめ料を取ってトラブルを解決するヤクザみたいなもの。だから、一方の意見しか聞かずに事態の収束を図っているのです」
中国政府は近年、消費者保護に力を入れているが、ヤリ玉に挙がるのはいつも外資の大手メーカーばかり。こうした末端小売業者の質が改善されなければ、いつまでたっても中国の消費者の権益が守られることはないだろう。今後、裸抗議が大流行したりして!?
(文=中山介石)