5月1日、中国の投資家連合がACミランに買収提案を行ったと、イタリア各紙が報じた。提案額は負債を含め、7億ユーロ程度(約8億5,500万円)とみられている。 自国が誇る名門クラブが外資に買われる可能性が高まる中、イタリアメディアは投資家連合の正体について、こぞって書き立てている。 ミラノのスポーツ紙、ガゼッタ・デロ・スポルトは、中国のネット通販最大手でニューヨーク証券取引所に上場しているアリババグループ会長のジャック・マー(馬雲)氏が乗り出したと伝えている。 アリババグループは、昨年から傘下の自動車ブランドがFIFAクラブワールドカップのメインスポンサーを務めているほか、同大会のアジア王者である広州恒大のスポンサーでもあり、サッカー界とのつながりも深い。ところが、マー氏はこうした報道に対し、ネット上で「ACミランって、イタリアにあるミラノのこと?」ととぼけ、一笑に付している。こうしたことから、中国国内では「アリババ説」は立ち消えとなりつつある。 同紙がもうひとり、投資家連合の一員として掲げるのが、過去10年以上にわたって華人最大の資産家といわれてきた、李嘉誠氏だ。香港最大の企業集団、長江和記実業グループの会長である李氏は、2007年に同じくミラノのサッカークラブ、インテルの購入に関心を示したことが報じられている。また李氏はここ数年、中国国内の資産を削減する一方、ヨーロッパにビジネスの拠点を移しつつある。 こうした動きから、李氏が投資連合の一員であるとする説は、中国のネット上でも信ぴょう性を高めている。 一方、ローマに本社を置くスポーツ紙、コリエレ・デロ・スポルトは、中国最大の検索エンジン・バイドゥの創業者であり、現会長兼CEOのロビン・リー(李彦宏)氏が、投資家連合のひとりであると、かなり早い段階で推察している。47歳と若いリー氏だが、その資産は140億ドル(約1兆5,000億円)ともいわれており、買収する経済力があることは確かだ。 また、イタリアの経済新聞、イル・ソーレ・24オーレなどが、昨年から「ACミラン株買取得に興味あり」と伝えているのが、中国不動産大手のワンダ・グループ会長、王健林氏だ。 フォーブスの2016年版世界長者番付で、李嘉誠氏を抜いてアジア最大の富豪となった王氏は、昨年スペインリーグのアトレティコ・マドリードの株式を20%保有している。 いずれにせよ、この買収提案が受け入れられれば、現在はベルルスコーニ前首相が所有するACミランの次期オーナーは、中国系ということになる。このことは、サッカー界にどんな変化をもたらすのだろうか?ACミラン買収説を一笑に付したジャック・マー氏。
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アリババ創業者ジャック・マー説は脱落!? ACミランに触手を伸ばす、中国人投資家の正体とは……
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