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何を選び、どこに集中させていくか――「週刊新潮」60周年の功績と、週刊誌の未来

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「週刊ポスト」(2/25号、小学館)
今週の注目記事・第1位 「自民党目玉候補 今井絵理子 同棲相手は『女子中学生をフーゾク店』で逮捕されていた」(「週刊ポスト」3/4号) 第2位 「清原和博と逮捕前まで一緒 ハーフ美女(22)父が仰天告白」(「週刊文春」2/25号) 第3位 「桂文枝<三枝改メ>との『20年不倫』を美人歌手が激白!」(「フライデー」3/4号) 第4位 「永田町の黒幕を埋めた『死刑囚』の告白<第1回>」(「週刊新潮」2/25号) 第5位 「元少年Aを直撃!『命がけで来てんだろ? お前、顔覚えたぞ!』」(「週刊文春」2/25号) 第6位 「マイナス金利『預金封鎖』に備えよ」(「週刊現代」3/5号) 第7位 「元ミス・インターナショナルを支援した安倍昭恵[首相夫人]の責任」(「週刊ポスト」3/4号) 第8位 「血縁者が困惑する『高倉健』相続人養女の排斥主義」(「週刊新潮」2/25号) 第9位 「『ゲス不倫』辞職議員<宮崎謙介(35)>に『二重婚約』疑惑」(「週刊文春」2/25号) 第10位 「『不倫調査探偵との不倫』を本人に暴露された行列弁護士丸山参院議員」(「週刊ポスト」3/4号) 「佐藤ゆかり[衆院議員]と自民幹部の泥仕合」(同) 第11位 「『全身がんだらけ』の樹木希林はそれでもなぜ元気なのか?」(「週刊ポスト」3/4号) 【巻末付録】現代とポストのSEX記事の勝者はどっちだ!  今週はポストが元気だ。現代と違ってヘアヌードグラビアに力を入れず、その分を情報収集や取材に費やし、「選択と集中」したためではないかと、私は思っている。  スクープは文春という、文春一人勝ち状態を脱して生き残るためには、少ない取材費の中から週刊誌の原点である、何を選び、どこに集中させていくかがこれからもっと大事になってくるはずだ。  まずは樹木希林が全身がんなのに、元気でいる理由に迫ったポストの記事。樹木は、2004年夏に乳がんが発覚し、05年1月に右乳房全摘出手術を受けたが、07年に再発。放射線治療を受けたものの、09年には副腎や脊髄にも転移が見つかっている。  樹木が07年から治療を受けてきたのは、鹿児島にあるUMSオンコロジークリニックというところだという。 「四次元ピンポイント照射の機械は全国に数台ありますが、同クリニックでは院長の植松稔氏が開発した独自の機械を使っています。患者をベッドに固定したままベッドをスライドさせて放射線を照射するもので、呼吸などによる“ズレ”がないため、狙ったがん細胞に強力な放射線を当てられる」(医療ジャーナリストの田辺功氏)  ただし健康保険が効かない自由診療のため、治療費は200~300万円ほどかかるという。  クリニックのホームページで、植松院長は次のように書いているそうだ。 「一つだけ確かなことがあります。それは、進行がんや、転移がんを確実に治す方法などこの世にはどこにもないのに、現実には治る人と治らない人にはっきりと分かれるということです。そして治った人、病気を克服した人は、ほぼ全員が無理ない形で医療の力を利用しながらも、最終的には自分の力で病気を克服しているということです。(中略)自分の身体の力でがん細胞と闘う免疫細胞にしっかりとスイッチが入ったということを示しています」  病は気からというのは、がんにでもいえるということのようだ。それと、ストレスをためないことだろうが、実際がんにかかると平常心ではいられないと思うのだが。樹木とて、眠れない日はあるのだろう。  自民党議員たちの暴言・放言が止まらない。極めつきは、自民党の丸山和也参院議員の「オバマ米大統領は黒人の血を引く奴隷出身」発言である。こんな人間が議員バッジを付けているかと思うと、情けない。即刻、議員バッジを外すべきである。こんな非常識なヤカラの首を取れないなら、野党の存在理由などない。  その丸山氏の「不倫」を、ポストが暴露している。女性との親密交際メールが流出しているという。  その相手とは、丸山氏がかつて顧問弁護士を務めていた企業の女性関係者だそうだ。それも、その企業は夫婦の不倫に関する調査を行う探偵事務所だというから、なんとも因果なものだとポストは嘆息する。  妻子ある丸山氏と、不倫調査探偵事務所の女性との不倫疑惑とは笑える。ポストの直撃に、くだんの女性はこう話している。 「年齢が年齢だからそういう関係にはならないと思っていましたが、好意は持っていたので拒みませんでした。『こんなことするんだ~?』と聞いたら、『するよ』と言っていました。行為には及んだんですが、女性を求める気持ちがあっても最後までは至らないようです」  彼女は「カズさんを傷つけるのは本意ではない」と言っているが、暴言問題に不倫では絶体絶命であろう。  ポストはこれ以外にも、佐藤ゆかり衆院議員(54)と、大阪府議で自民党枚方市支部長の出来成元氏(66)との間で起きている「政治資金収支報告書の不記載」をめぐる泥仕合を報じているが、詳しくは買って読んでください。  第9位も議員の話。今週の文春は宮崎謙介氏に「二重婚約」疑惑があると続報している。  A子さんは宮崎氏が議員になる前の11年に知り合い、宮崎氏が猛烈なアタックをかけ、和歌山県の熊野那智大社に一泊旅行に出かけたとき、「すごいタイプなんだ。一緒になろう、結婚しよう」と迫ったという。  彼女にはやりたいことがあったが、宮崎の妻になることを決意し、仕事も辞めてしまった。だが、宮崎氏がめでたく議員になってからは、なかなか会うこともできなくなったようだ。  その上、A子さんは、金子恵美子衆議院議員と宮崎の結婚を新聞報道で知るのである。彼女は愕然とし、宮崎に連絡を取るがなしのつぶて。いまだに説明も謝罪もないとA子の親友が憤っている。  こんな男と出会ったのが不幸で、結婚しなかったのがせめてもの救いだと慰めても、彼女は納得しないだろうな。  第8位は、おととし亡くなった高倉健の養女・貴氏(52)の話。新潮が報じているが、失礼だが、貴氏の評判が良くないようだ。  詳しい話は省くが、全財産を相続した彼女だが、高倉プロの専務を突然解任したり、高倉の親戚にもいまだに会わないというのである。  高倉プロを解体し、彼女ひとりだけで健さんの巡回追悼展を11月から始めるというのはいいとして、健さんのお墓がまだ決まっていないというのだ。 「養女にはせめてお骨だけでも分けてもらえないか、と弁護士を通してお願いしました。ですが、それも断られてしまいました。だから今現在、伯父の遺骨がどうなっているのか」(健さんの実妹の長男)  健さんは生前、鎌倉霊園と出身の福岡県に墓を造っていた。鎌倉は、江利チエミとの間にできたが亡くなった子どもを供養し、生前、死んだら一緒に入ると言っていたのだが、放置されているそうだ。  そして、福岡のお墓もそのままになっていると、姪の攝子は語っている。 「お母さん思いの伯父を一緒に眠らせてあげたいと私たちは考えたのです。しかし養女はそれを頑なに拒否した挙げ句、“貸し出しなら許す”という。(墓を守る)叔母が亡くなったら返してほしい、と。そんな失礼なことがあるでしょうか」  貴氏は「散骨する」と言っているようなのだが、実妹の長男もこう言う。 「善光寺に30年間も参り続けてきた信心深い伯父が、散骨なんて遺言を残すでしょうか。おまけに彼女は、お墓も売るよう伯父が遺言しているというのです」  しかし、その遺言があるのかないのかハッキリしないというのである。なにやら、やしきたかじんの未亡人と実の娘の争いのようになってきているようだ。  高倉健はこれからも日本人が誇る名優であり、日本の文化遺産である。いくら後を託されたからといって、健さんが眉をひそめるようなことだけはしてほしくないものだ。  お次は、安倍首相夫人・昭恵さん絡みのお話である。以前、週刊誌を少しにぎわせた、元ミス・インターナショナル世界大会で日本人として初めて優勝した吉松育美氏(28)が、大手芸能事務所の幹部であるA氏から、ストーカーや脅迫など複数の被害を受けていると主張して起こした「裁判」だが、2年の歳月を経て、決着がついたそうである。  吉松氏が自身のブログでこう言っている。 「これらの記事および発言は全て撤回し、これらの記事および発言については自分に非があることを認めます。これらの記事および発言によってA氏の名誉を棄損し多大なご迷惑をおかけしましたこと深くお詫び申し上げます」  全面降伏のようだ。この件に、昭恵夫人が13年にミス・インターナショナル世界大会の審査員を務めた関係で、吉松氏と関わり、支援してきたことは以前報じられた。ファーストレディーの全面支援を得たことによって吉松氏は、A氏を威力業務妨害で刑事告訴と民事訴訟に踏み切ったのだ。  では、こういう決着がついたことに昭恵夫人はどう答えるのか? 「吉松さんが苦しんでいたのは事実で、そういう女性がいれば私は助けてあげたい。当時はマスコミも報じてくれなくて、私は正義感で行動したわけで……裁判で結果が出た以上、もうお話しすることはありません」  ポストならずとも、オイオイそれでいいのかよ、と言いたくなるのではないか。ときには間違った正義もあるのだから、「私の目が節穴でした」と、ひと言あって然るべきではないのか。  6位には、1本だけ入った現代の記事。日銀が導入したマイナス金利は極めて評判が悪いが、現代はこのままいくと預金封鎖まであり得る、それに備えよと警鐘を鳴らしている。  法政大学教授の小黒一正氏がこう言う。 「現在の金融政策は市場の金利形成を歪め、財政規律を弛緩させています。ですが、このまま政府債務の膨張が続くなか、インフレ率が顕在化して長期金利が上昇すれば、財政は危機的な状況に陥る可能性がある。その延長で、いま再びの預金封鎖がよみがえってくるリスクが出てきている。後世、この異常な金融政策の歴史は預金封鎖への前段だったとして刻まれかねない」  預金封鎖は第二次大戦直後、国民の資産を暴力的に収奪した政策だが、預金封鎖については一部の専門家やメディアも警鐘を鳴らし始めているという。 「たとえば昨年、NHKは『ニュースウォッチ9』で預金封鎖の特集を組んだ。同番組は情報公開請求をもとに政府の内部資料を入手。預金封鎖には、当時の膨れ上がった国の借金返済をすべて国民に押し付ける狙いがあったという恐るべき『秘史』を明らかにした。さらに、同番組は当時と現在の財政状況が『酷似』してきたことをグラフを用いて紹介。実は、預金封鎖が行われた戦後当時よりも現在のほうが、財政状況が悪化していることまで暴露したのである」(現代)  同番組のキャスターを務めていたのは大越健介氏。この件で降ろされたのか?  現代によれば「そもそも、マイナス金利政策とは、実はわれわれ日本国民の預金に対する間接的な『課税措置』である。その意味で、政府による預金補足はすでに始まっているということに、どれだけの国民が気づいているだろうか」と書いている。 「日銀がマイナス金利を課し、銀行を通して間接的にわれわれ預金者から分捕るカネの一部は、財務省(国庫)に納付される仕組みになっている。目下、マイナス金利の対象になるのは23兆円。これに0・1%のマイナス金利を課すと、日銀は銀行から230億円の金利収入を受け取ることができる。これが国庫に納入されるので、財務省にとっては230億円分を『増税』できた形になるわけだ」(同)  もはやギリシャと同じようになっているというのは、財務省OBだ。 「ギリシャでは負担策を受け入れるか否かで国論が大きく二分され、議会が紛糾した。日本でも同様の事態になる可能性があり、仮に負担策の受け入れを拒否した場合は、日銀による国債の直接引き受けをするしかなくなる。日銀が日本国債を直接引き受けるので、政府はいくらでも予算を確保できる『禁じ手』です」  そうなれば悪性インフレが猛威を振るい、ハイパーインフレが起こる。そうすると銀行は、引き出し制限という預金封鎖の第一段階を始めるといわれる。  そこまで極端なことはないと私などは思ってはいるが、なんでもありの安倍政権ならやりかねないかもしれない。  100万円を1年銀行に預けて10円の利子しかつかないのでは、引き出すたびに自分のカネが減っていくことになる。タンス貯金にする人が増えているため、金庫が売れているそうだ。資産も年金も減っていく時代に、どう生きればいいのか?  ポストは何を間違えているのか、巻頭で「なぜ『三菱』は最強なのか」という特集をやっている。  確かに三菱グループを集めれば世界最大かもしれないが、ポストでも書いている通り、三菱は過去から現在に至るまで「防衛産業を主軸に据えてきた」のである。戦前、戦中は軍部と結びつき、富国強兵を担って今日の三菱があるのだ。  今も安倍政権と寄り添い、軍需産業復活を目指している中心に三菱重工があり三菱商事があり、三菱UFJ銀行がある。  三菱と国は一体といってもいい。そんなグループを褒めそやす記事を作る神経が、私にはわからない。  ところで、週刊誌にこれほど注目が集まるのは久しぶりだ。年明けから連続してスクープを放ち続ける文春の力によるところ大であるが、今週は「元少年Aを直撃」が巻頭特集である。  元少年A(33)は1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件の加害者で、当時14歳。この事件で少年法が大幅改正されるなど、社会に与えた衝撃は大きかった。  Aは約7年間医療少年院で治療を受け、04年に仮退院し、翌年に本退院が認可され、社会復帰している。  Aが再び注目を浴びたのは、昨年6月に手記『絶歌』(太田出版)を出版したことだった。反響は大きく、発行部数は25万部に達しているという。だが、手記に対する批判も大きかった。出版に当たり被害者の遺族の了解を取っていなかったことや、贖罪意識に疑問を感じさせる記述が反発を呼び、当時小学6年生だった土師淳くんを殺された父親は「淳はこれによって二度殺されたようなもの」だと不快感をあらわにした。  文春は手記が出された頃からAを追い続け、モノクログラビアではAが自宅を出てバス停へ走る姿や、電車内で携帯電話を見入っているAの姿を掲載している。目隠しは入っているが、顔の輪郭から着ている服、スニーカーがはっきり写っている。実名は書いていない。文春は、Aを取材し続けた理由をこう書いている。 「医療少年院を退院したとはいえ、彼は出版物を自ら世に問い、ベストセラーの著者となった人物である。彼の著書に影響を受ける“信者”も少なくない。もちろん素顔や現在の名前をさらす記事が許されるべきではないが、一方で純粋な私人であるとは、とても言えないのではないか。そう考えた取材班は、昨年六月の『絶歌』刊行から半年以上、彼の取材を続けてきた」  そして1月26日、東京都内でAを直撃している。文春の取材に対して「何のことか分からない」「違います。まったく別人」だと否定し続けるA。  あらためてインタビューをさせてもらえないかと記者が、その旨を書いた手紙と名刺を渡そうとすると、Aの口調が一変し、記者ににじり寄り、こう言い放ったという。 「命がけで来てんだろ、なあ。命がけで来てんだよな、お前。そうだろ!」  身の危険を感じた記者が走り出すと、興奮したAは記者を全力で追いかけてきた。この日の数日後に、Aは東京を離れたという。  文春によれば、98年以降連続で少年犯罪の再犯者率が上昇していて、15年上半期は37%と過去最高だそうである。  また、淳くんの父親の言うように「重大な非行に対しては現行の少年法は甘すぎる」という批判も頷ける。  だがと、これを読みながら考え込んでしまう。匿名という隠れ蓑に隠れ、被害者に対して心から反省しているとは思えない手記を書いて金儲けをする中年男への怒りは、私にもある。  そうした社会の怒りを背景に文春がAを追いかけ回し、写真を公表することが、Aの再犯を抑止することになるのだろうか。かえって彼を追い詰め、自暴自棄にして再び犯罪を起こさせてしまわないだろうか。  私も関わった『元少年Aの殺意は消えたのか』(イースト・プレス)の著者・草薙厚子氏は、Aは社会的不適合を起こしやすい広汎性発達障害ではないかと推測している。広汎性発達障害は「生得的な脳機能の異変が精神の発達に影響をおよぼした結果、幼少期から成長を通じて日常生活上のハンディキャップを生じている状態」(京都大学医学部の十一元三教授)だそうである。  もしAがそうだとしたらという前提だが、草薙氏は「再犯防止の意味でも、いまとなってはいちばん重要である家族が中心となり、連携して支援システムを構築することが必要なのではないだろうか。そして遺族に手記の出版に対する謝罪と、今後一生をかけて償っていく具体的な内容を早急に示すべきである」としている。  ジャ-ナリズムの役割は、ここにこんな危険なヤツがいると鉦や太鼓ではやし立てることではないはずだ。その人間が二度と過ちを犯さないために、何ができるのかを提示することも大切だと思う。  確か、少年Aの母親の手記『「少年A」この子を生んで』は文藝春秋で出したはずだ。文春は、Aと両親とを会わせる努力をしたのだろうか。  新潮が60周年を迎えた。初めての出版社系週刊誌として世に出て、新聞社系週刊誌全盛時代を終焉させたパイオニアである。  その新潮が「永田町の黒幕を埋めた『死刑囚』の告白」を掲載している。死刑囚から届いた一通の手紙という書き出しを見て、あの大誤報を思い出した。  朝日新聞阪神支局を襲った真犯人のスクープ手記と大々的にうたったが、結局、真っ赤なウソだとわかって、大きな批判を受けた。  今度は大丈夫なのだろうか? そう思いながら読み進めた。  手紙の主は、東京拘置所在監の暴力団組長、矢野治死刑囚(67)。死刑判決を受けた事件は、03年に発生した暴力団同士の抗争。矢野の指示を受けた組員がスナックで飲んでいた相手方のナンバー2を射殺するために銃を乱射し、一般人たちまで殺してしまったため、共謀共同正犯で逮捕され、極刑を言い渡されたのである。  その矢野が、斎藤衛氏殺害を告白したというのだ。彼が「オレンジ共済組合事件」の際、国会で証人喚問されたとき、私も週刊誌の編集長だったのでよく覚えている。この事件は、国会議員を目指していた友部達夫が92年に「オレンジ共済組合」を設立、高配当をうたった金融商品を売り出した。100億円近い資金を集めたが、資金は友部の私的流用に消え、配当は続かず組合は倒産、彼は詐欺容疑で逮捕された。  だが、その間の95年、彼は参議院選に新進党から出馬して当選している。その際、比例名簿順位を上げてもらおうと政治ブローカーを使い、工作資金約5億円が新進党に流れたといわれる。そのブローカーが斎藤氏であった。  斎藤氏は暴力団の企業舎弟で、その頃、矢野と知り合ったという。このオレンジ共済事件は結局、未解決となり、斎藤氏は政界の「黒幕」といわれたが、その後姿を消してしまったのだ。  家族から捜索願が出されたが杳として行方が知れず、手がかりもなかった。矢野死刑囚が言うには、斎藤との間で金銭トラブルがあり、それがこじれて殺したというのだ。  死体を始末した人間の名前まで書いているが、以前のことで懲りているのであろう新潮は、 「矢野の証言は極めて具体的だった。もっとも、彼の告白目的が、新たな事件の立件化による死刑執行の先送りにあるのも間違いないだろう。毎日新聞の記事(斎藤氏が行方不明になっているというもの=筆者注)や、業界の話で斎藤の失踪を知り、架空の殺人事件をでっち上げている可能性も完全には否定できまい」 と、“慎重”なのである。それに同様の手紙を警視庁目白警察署にも送っているのだ。目白署の刑事が東京拘置所で矢野に対する事情聴取を行ったが、その後、警察は動いていないという。  そこで新潮は、死体遺棄役とされた矢野の組の元構成員を探し出すのである。このあたりは、新潮の取材力に脱帽である。そして固い口をこじ開け、その人間から全容を聞き出すことに成功するのである。  良質のミステリーを読むがごとくである。だが、死体はひとつではなく、2つ出ると矢野は言っていたという。2つ目の死体とは何か? 次号が楽しみである。  なぜ警察は動かなかったのか。95年以降の殺人事件には時効が廃止されたから、死体遺棄役が死体の埋まっている場所に案内すれば、逮捕されることはないのか。いくつかの疑問はあるが、なかなか読み応えのある記事である。  新潮は60周年を記念して「週刊新潮への祝辞と愚痴」を組んでいるが、どうも面白くない。新潮にスキャンダルを書かれ、みんなの党代表から失脚し、落選した渡辺喜美氏、息子のスキャンダルの余波を受けてレギュラーを失ったみのもんた氏、徳田虎雄氏から借金したことをスッパ抜かれて都知事の座を失った猪瀬直樹氏など、新潮には恨み骨髄のはずの人たちが、恨み言は言うが、意外に温かいコメントを寄せている。  これは、これからはお手柔らかにという腹づもりと、60年間築いてきた新潮への信頼感があるのではないか。週刊誌系として初めて出された新潮の功績は大である。それに続いた文春、現代、ポストは新潮の後を追い、切磋琢磨してきたのだ。  日本の政治は独裁色を強め、大新聞やテレビは権力のポチに成り下がっている今、週刊誌の役割の重要性は、ますます増してきていると思う。安倍首相は「日本に言論の自由がない? 日刊ゲンダイを見てみろ」と言い放ったが、彼に、日本の言論の自由は週刊誌を見ればわかると言わせてやろうではないか。これからも頑張れ、週刊誌!  第3位。フライデーが上方落語の重鎮、桂三枝改め桂文枝師匠(72)の「20年不倫」をスクープしている。仲良く湯豆腐を食べていたり、リラックスした格好で彼女とのツーショット写真が載っている。彼女は00年に演歌歌手「紫艶」という名前でデビューした。  この記事は師匠と彼女の仲がおかしくなり、彼女がフライデーに告白したのではない。どういう経緯かわからないが、SNSに彼女がアップした写真が“流出”したのを、フライデーが入手したようだ。  彼女のウリは演歌歌手なのに90cmの巨乳。フライデーから写真を見せられた彼女は観念したのだろう、師匠とのなれ初めを語り始めた。  師匠とは18の頃から20年も交際しているそうだから、38になる。大阪で師匠の単独公演があったとき招かれ、その後食事に誘われ、男と女の関係が始まったという。彼女が東京でデビューしたときには、師匠が名付け親になってくれたそうだ。 「桂文枝さんは父であり、師匠であり、恋人だと思っています。私が親密になった男性は師匠だけ。師匠を超える人は出て来ないと思います。ただ今回の件で、師匠の奥さま、ご家族、関係者の方々など、いろいろな人たちに、ご迷惑をかけることになりました。この場を借りてお詫び申し上げます。責任はすべて私にあります」(紫艶)  なかなかしおらしい女性である。こう言われたら師匠も、彼女を捨ててカミさんの許へ戻るとはいかないのではないか。それとも愛妻家をやめて、彼女と所帯を持ちますか?  さて、覚せい剤で逮捕された清原和博の恋人が22歳のハーフ美女だというのは、よく知られている。彼女は銀座の一流クラブに勤めるナンバーワン・ホステス。文春によれば、彼女は現役の大学生でもあり、結婚はしていないが娘が一人いるという。父親は航空会社の役員で、母親はアメリカ人だそうだ。  彼女の父親がインタビューに答えているが、落ち着いた受け答えを読む限り、なかなかの人物のようだ。  娘も清原のことは好きなようで、今は弁護士と連絡を取りながら店は休んでいるそうだ。父親も清原と会っているそうで、その時、清原は相当緊張していたと話している。  清原がクスリを使ったのはセックスのためだという証言が多くあるが、だとすれば彼女とも使ったのではないかという疑問があるが、父親によれば、警察には呼ばれていないという。 「いろんなマスコミに、娘もクスリをやっているかのように取り上げられて困っているので、できれば早く警察に出頭を要請してもらって、事情を聞いてもらいたいと思っているぐらいです」(父親)  クスリの常用者で全身刺青、バツイチの清原だが、意外なことに父親は、清原が出てきてもう一度娘さんとやり直したいと言ってきたらどうするのか? という問いに、 「二度とクスリに手を出さないということを約束するんだったら、僕は認めます。それだけかな、条件は」  と答えているのだ。捨てる神あれば拾う神あり。この父親の言葉を聞いたら、清原は泣き崩れるだろう。清原も心を入れ替えれば江夏豊になれるかもしれない。  今週の第1位は久々にポストに輝いた。自民党の目玉候補として立候補を早々と表明した今井絵理子氏(32)についての、ちょっとおかしな話である。彼女は10代でSPEEDのボーカルとして一躍を風靡し、聴覚障害のある長男(11)を持つシングルマザーとしても知られている。  だがポストによれば、彼女はシングルマザーという触れ込みではあるが、実は交際相手がいるというのである。  地元・沖縄の同級生で、1年半ほどの交際の末に現在は半同棲しているという男性A氏。俳優の徳重聡似のイケメンと評されているそうだ。  今井氏もそのことは認めていて、「私には将来を見据えて交際している男性がいます。この方は、障がい児童デイサービスで働く一般男性です」と言っている。  彼女らしいということのようだが、実はこのA氏、地元沖縄では、この報道とはまるで正反対の人間だと受け取られているようなのだ。  彼はこの地で、ほんの1年前まで風俗店を経営していたのだ。同じ那覇市の歓楽街・松山で飲食店を経営する古い友人がこう語る。 「今井さんはAが風俗店をしているのが嫌で、『自分と一緒に本土で暮らそう』と言っていたらしく、頻繁に内地に行っては、働き先として福祉施設を紹介されたりしたらしい」  しかし、今井氏と付き合って以降も、A氏は風俗店の経営から手を引くことはなかった。  そして彼がその世界と縁を切り、本土へ移るきっかけとなったのは、皮肉にも彼の逮捕だったという。  2015年3月、中学生を含む少女3人にみだらな行為をさせたとして、店員の男性と風営法・児童福祉法違反の容疑で那覇署に逮捕されたのだ。  ポストの取材に那覇市警察署はA氏を逮捕・送検した事実を認めたが、その後、検察による起訴には至っておらず、A氏はひと月もたたずに釈放されているという。  釈放されたA氏は、直ちに風俗店をたたんで本土へ行った。  そして今井氏と東京で暮らし始めたA氏は1年後、今度は好青年のイケメン彼氏としてメディアに取り上げられるようになった。  だがA氏は、沖縄で風俗店のほかに飲食店や貸金業にも手を出しており、そのために方々から金を集めていたそうだ。その借金はいまだに返されていないという。 「そもそも自民党は、この“目玉候補”の交際関係について、しっかり身体検査したのだろうか。スキャンダル続出でイメージ回復に躍起になり、『SPEED出馬』させたのが裏目に出たということだ」(ポスト)  これから参議院選に出馬する有名候補が次々出てくるだろうが、週刊誌で「身体検査」をきっちりやってほしいものである。 【巻末付録】  ポストのグラビアは例によって「きれいな渡辺さん」と再び「マナミという名の実」。今週はそれに「TOKYO シティホテル NUDE」が加わる。モノクロで素人たちであろう、さまざまなポーズを撮り、ヘアもチラリ。  現代はNHK朝ドラ『あさが来た』で三味線の師匠役の「野々すみ花」のSEXY。大人の色気がプンプン。やはり朝ドラ『すずらん』で主人公の幼なじみを演じた高橋祐月の初脱ぎ「人妻になったアタシ」。「世界ポルノ祭りinベルリン&ラスベガス」「松岡ちな 挑発する女」。スペシャル袋とじが「あべ静江 ここまで脱いでいた」。袋とじは貴重な写真を見せないようにする場合もあるが、見せると買ってくれないと編集部が判断するときもある。これはどっちかな? 目次に「松坂慶子 これが伝説の『ヘアヌード』と『濡れ場』だ」とあるが、これはグラビアではない。念のため。  記事のほうは、もはや超マンネリから惰性になってしまった感があるので、短めにする。ポストは勃起法の実用情報。ちんトレや赤ミミズの粉末など、これでもかと紹介している。  現代は「あの素晴らしいSEXをもう一度」。サブに<60すぎたら、まずやってみる! 試してみる! みんな許してくれる!>とあるが、誰でも許してくれるかね?  そんな素朴な疑問をもったまま読んでみるが、同じことの繰り返しをよくここまで毎週毎週できるものだと感心はするが、辟易もする。  いっそのことデリヘルや性感マッサージの無料券でも付録に付けたらいいと思うのだが。それともセックスフレンドを紹介する「週刊現代セックス倶楽部」でもつくって、参加者を募集したらどうか。この大いなるマンネリをどちらが先に打破するのか? 興味はそこへ移ってきているように思うのだが。  というわけで、今週は引き分け。 (文=元木昌彦)

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