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Channel: 日刊サイゾー
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衝撃! 高麗ホテルでショートケーキを注文したら……

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 今でこそ、北朝鮮都市部のレストランでは先進国に劣らないレベルの食事ができるようになりましたが、10年以上前はメニュー上の品ぞろえと実情は大きく異なっていました。  2001年ごろに訪朝した時のことです。平壌市内の日本料理店でトンカツを注文したものの、「味」がまったくしない。海外で食べる和食といえば、どこもこんなものですが、せめて口直しにと、デザートを食べに行くことにしました。  向かったのは、宿泊中の高麗ホテル最上階のレストラン。メニューには、ドリンクをはじめ、チヂミなどの軽食からステーキまである中、我々4人中3人は無難にアイスクリームを選びましたが、残る1人は「ショートケーキ」を注文しました。まだまだ北の食糧事情は十分とはいえなかった当時、ケーキといえど実物があるのか疑わしい面もありましたが、本人は「どうしてもケーキが食べたい」と譲りませんでした。  ちなみに、北のアイスは20年以上前から、訪朝者の間で「北はアイスと冷麺だけはうまい」といわれるほどの名物。人気商品だけに作り置きしてあるのか、アイスはものの数分で出てきましたが、ケーキだけはいつまでたっても来ない。従業員を呼び止め、「まだですか?」と聞いても、無愛想にあしらわれるばかり。それから半刻後、ついぞ従業員が白い布をかけた銀盆を掲げて、早足で私たちのテーブルへ向かってきました。そのただならぬ様子に、一体どんなケーキが来るのかと見守っていると……。 従業員「チャーヨ!(ほらよ)」  従業員が銀盆から白布を取り、テーブルにスパーンと勢いよく置いたものはこちら。
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 我々が高麗ホテル1階の売店で大量に買い込んでは、部屋で夜な夜なかじっていた「ヤンヤンつけボー」(明治製菓・日本円で約100円)でした。  いろいろと言いたいところをあえてのみ込み、従業員にやんわりと問いただしました。 我々「すいません、これってケーキですか?」 従業員「ケーキですが?」 我々「あ、はい、わかりました」  それ以上追及せず、封を開け、無表情でヤンヤンを食べ始める友人。まさか本当にケーキを注文する客がいるとは思わず、1階の売店に出向いてそれらしきものを探した結果、ヤンヤンを調達したのでしょうか。普通に「品切れです」と言えばいいものを……。さらに、お会計では日本円で約300円も取られ、二重の衝撃を受けたのでした。ちなみに、アイスクリームは50円でした。    しかし、個人的には北朝鮮のこうした斜め上、いや、がむしゃらなホスピタリティは嫌いではありません。  最近、初めて訪朝するという人が周りに増えて、いろいろと相談を受けるのですが、北の観光事業従事者の仕事熱心さを語ることで、その不安を払拭してあげているつもりです。  今回はヨタ話になってしまいましたが、現在は品数も豊富で、日本食から洋食までまんべんなく楽しめるようになったようです。 ●やす・やどろく ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

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