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偽装勧誘する韓国系カルトの人を勧誘してみた

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ヨハン岡山教会
宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!  ヨハン教会連合という韓国系のキリスト教団があります。本部は東京・新宿区にあり、本部がある教会「ヨハン早稲田キリスト教会」という名前でよく知られています。全国に教会を持ち、各教会は所在地名を冠して「ヨハン○○キリスト教会」と名乗っています。一般的にはあまり有名な宗教団体とはいえないのですが、団体名を隠して大学構内で勧誘活動をすることから、全国の大学では統一教会などと並んで「5大キャンパス・カルト」に数えられる、悪名高い教団です。さて、偽装勧誘をするカルト団体の信者を、カルト問題を考えるシンポジウムに逆勧誘してやったら、どうなるのでしょうか? ■大学関係者も頭を悩ます  ヨハン教会は、同じく新宿区にある淀橋教会の韓国人牧師と信者が独立して設立したものです。現在、日本人に対しても勧誘活動を行うほか、日本に来た韓国人留学生などにも勧誘を行っています。  特に問題視されているのは、大学生に対する勧誘です。ヨハン教会の場合、大学内でヨハン教会であることを明示せずにゴスペルコンサートなどを開催して学生を集め、ビラを配って教会のイベントに誘導して勧誘するという手法が問題視されています。また、こうした学内勧誘の際に大学の教室等を利用することもあります。その際、ヨハン教会であることを隠して大学に教室使用を申請したり、部外者による学内イベント開催を禁じている大学において、学生ではない教会関係者を動員してイベントを行ったり。そもそも教室等の利用申請すらもせずに無断で乗り込んできてイベントを行うこともあります。 「あるときは、学生からの通報で、彼らが学内で無許可のコンサートを行っているとわかり、大学職員が現場に駆けつけましたが、すでに逃げた後。学生ではない人間もいたようなので、完全な不法侵入ではないでしょうか。最近は、“ゴスペル”と称してこういうことをやるのはヨハン教会だと大学側にバレバレであることが彼らもわかっているようで、“ゴスペル”という言葉を使わずに音楽演奏などをしてビラを配っています」(ある大学の関係者)  学内サークルなら、代表者の学生でも呼び出して注意することもできますが、部外者が大学に乱入してゲリラ的に“やり逃げ”されると、大学としてもなかなか捕捉しにくいようです。 ■偽装勧誘カルトを勧誘してみた  カルト問題に取り組む弁護士やカウンセラー、宗教者や研究者でつくる「日本脱カルト協会(JSCPR)」という団体があります。この団体でも、大学におけるカルト問題は問題視されており、2012年6月には岡山で同協会主催の公開講座「大学でカルトに入った私たち」が開催されました。大学生時代にカルトに入信した経験を持つ脱会者たちが自らの体験を語る、というものです。  実はこの公開講座の会場から徒歩5分ほどのところに、ヨハン教会の支部である「ヨハン岡山キリスト教会」がありました。同教会もまた、地元岡山の大学で団体名を明示しない勧誘活動を行っています。  そんな団体の拠点のすぐそばで日本脱カルト協会が「キャンパス・カルト」に関する公開講座を行うとは、まさに神のお導き。ヨハン教会の関係者を公開講座に勧誘せよ、との啓示だと考えた私は、公開講座が始まる前にヨハン岡山キリスト教会に行ってみました。代表者は不在とのことで、女性信者が対応してくれました。 ──今日これから、大学でのカルト問題をテーマにした公開講座があるのですが、全国の大学で問題視されている団体としてコメントください。 「ぶしつけですね。私たちは本当の聖書の教えを伝える教会で、カルトではありません」 ──ぶしつけですいません。たまたま会場の近くに教会があったので、もののついでに寄りました。教えが本当かどうかはどうでもいいのですが、団体名を名乗らずに大学生を勧誘したり大学に無届けで教室を使って演奏をしたりしていて、全国の大学で問題視されています。 「私たちは、教会であること、クリスチャンであることはちゃんと言っています」 ──ヨハン教会だと、きちんと名乗っていますか? 「名乗っています。チラシにもきちんと書いています」  後で岡山大学の関係者に確認したところ、信者のこの説明は大ウソでした。 「ゴスペルコンサートがあるとか、韓国料理を作るサークルだなどと言って学内で勧誘していて、ヨハン教会だとは名乗っていません。大学側が彼らの勧誘を見かけたら、すぐ追い出すようにしています」(岡山大学の関係者)  それはそれとして、本題の勧誘です。 ──もしよかったら、これから公開講座があるので、それに来ていただければ大学のカルト問題がどういうものかわかると思います。 「代表はいま人と会いながら食事中なので、伝えておきます」 ■来てくれた!  日本脱カルト協会の公開講座では統一教会、摂理(MS教)、浄土真宗親鸞会の脱会者たちが、カルトの勧誘手口、カルト入信時代の活動、そこで得たものや失ったものなどについて、かなり具体的で率直な内容が語られました。いずれも正体を隠した勧誘によって入信した人々でした。  終了後、受付付近で知人たちに挨拶をしていたところ、2人組の女性が私に声をかけてきました。先ほどのヨハン岡山キリスト教会の女性信者と、岡山教会代表者の韓国人女性です。どうやら、私の勧誘に乗って本当に来てくれたようでした。 ──来てくださったんですね、ありがとうございます。 「いいイベントでした。最後は、宗教は必要だという結論でしたね」  公開講座では、フロアからの「宗教は必要か」という質問に対して、出演者が「自分には必要」「自分には必要ないが、必要とする人がいるのはいいと思う」と答えていました。いずれも「人による」という文脈なのですが、ヨハン教会の人たちは自分に都合のいい部分しか耳に入らなかったようです。 ──さっきヨハン岡山キリスト教会は団体名を名乗って勧誘していると言っていましたが、岡山大学の人にいま聞いたら、名乗ってないと言ってましたよ。 「そんなことないです。名乗っています」 ──ヨハン早稲田キリスト教会が、団体名を隠して勧誘していることも、私自身が直接取材で確認しています。 「東京(の早稲田教会)は人がたくさんいるので、個人がそういうことをしていても教会にはわからないです。それは個人の問題です」 ──個人であっても、ヨハンに人を誘っているわけですよね。ヨハン教会は、信者の指導もできない無責任な教会だということになりますが。 「ただ、私たちは本当のキリスト教を広めるために活動しているので、カルトとは違います」  問題は、「本当のキリスト教」であるかどうかではありません。正体を隠して相手を騙していることが問題なのです。偽装勧誘をするのが「本当のキリスト教」なのであれば、むしろキリスト教はまるごとカルトだという話になってしまうのですが。 ■すんごい抗議が来た  とにもかくにも、大学生を偽装勧誘するカルト団体の人を、こちらが勧誘することに成功しました。というわけで、私は「やや日刊カルト新聞」で「本紙記者らがヨハン教会信者の勧誘に成功!」という記事を書いて掲載しました。  記事を載せてしばらくたってから、ヨハン岡山キリスト教会の代表者が、すごい剣幕で私に電話をかけてきました。 「なぜ勧誘に成功したなんて、まるであなた方が私たちに勝利したかのような記事を書くんですか! やめてください!」 ──勧誘に成功したのは事実ですし。別に勝利したなんて書いてませんが。 「私たちは自分の意思でシンポジウムに行ったのです。あなたから誘われて、それで自分の意思で行きました」 ──いやだから、僕に誘われて来たんだから勧誘されたということでしょう。  どうもヨハン教会の人たちにとって「勧誘」とは相手の意思に反して行うものであり、勧誘に成功するというのは相手に「勝利」することのようです。日頃の彼らが、どういう姿勢で勧誘活動をしているのか、よくわかります。 「とにかく、今後こういうことのないように気をつけてください!」 ──記事にはなんの問題もないので、今後も特に何も気をつける気はありません。これからも同じように、あなた方のことを記事にしたいです。 「どうしてですか! おかしいです! 私たちはただイエスの教えを伝えているだけで………」  とにかくもう話が通じない上に、狂ったような金切り声でまくし立ててきます。面倒くさくなって、こちらから一方的に電話を切りました。  また何か機会があったら、ヨハン教会の人を勧誘しにいこうと思います。 「カルトなニッポン見聞録」過去記事はこちらから ●ふじくら・よしろう 1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。

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