今週の注目記事 「史上最悪のフーゾク店へようこそ」(「週刊ポスト」4月26日号) 「ついにミサイル発射! 狂気の金正恩『日本よ、死ね!』」(「週刊現代」4月27日号) 「『朝鮮人を殺せ!』新大久保“ヘイトスピーチ団体”って何者?」(「週刊文春」4月18日号) 「野口悠紀雄一橋名誉教授が警告する『最悪のシナリオ』の被害者」(「週刊新潮」4月18日号) 「市川海老蔵が心酔する謎の“手かざし占い師”」(「週刊文春」4月18日号) 眠い! 4日間連チャンでゴルフのメジャー「マスターズ・トーナメント」を朝4時頃から見ていたためである。アダム・スコットがアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)をプレーオフで破って、オーストラリア勢として初めて優勝した。 石川遼も、最終日だけだが、自己ベストの68をマークした。惜しかったのはタイガー・ウッズだった。2日目のロングホールの第2打がナイスショット過ぎて直接ピンに当たり池ポチャ。その上、3日目の朝に、打ち直しのやり方にルール違反があったと通告され、2打罰が加算。2日目のロングホールはトリプルボギーになってしまったのだ。 ピンに当たっていなければバーディをとれていたはずだから、心中察するにあまりある。調子はよくなってきているから、残りのメジャーで勝てるかもしれないが、ちょっぴり後味の悪い大会になってしまった。 「自重堂」という会社の広告がこのところやけに目立つ。今週も現代とポストの表紙の裏(表二)に見開きで載っている。メガネをかけた鋭い眼光のオヤジさんが腕組みをしているだけの写真である。その会社の社訓だろうか「自重を胸に進取な心で」とある。 知らない企業だから調べてみた。広島県福山市にある日本を代表する作業服メーカーだそうである。ユニフォーム・メンズカジュアル・医療用白衣・セーフティスニーカーの企画・製造・販売をしていて、従業員は284名。中企業だろうが、勢いを感じさせる広告である。 今週はこれはという記事が少ないため、すべてを同列に紹介する。 まずは文春の市川海老蔵の記事。オセロ中島のように、占い師にすがる芸能人は多い。単に占ってもらうだけならいいが、洗脳され、心だけではなくカネまで自由にされるケースが多くなってきているようだが、海老蔵の場合はどうなのか。 渋谷区宇田川町のゲイバーに海老蔵が現れたのは、3月28日深夜のことだという。 「この日は、海老蔵ら当代の名だたる歌舞伎役者が一堂に会し、ファンのために銀座を練り歩く『お練り』が行われた翌日である。海老蔵が忙しい合間を縫ってお忍びで会いに行く占い師とは、いったい何者なのか。海老蔵の知人男性が声を潜めていう。『占い師のT子でしょう。T子といっても四十三歳のゲイで、もともとは新宿二丁目の人間。海老蔵とは六~七年の付き合いです。彼は彼女にかなりの頻度で占ってもらっていて、彼女自身も『彼はあたしの言うことは何でも聞くわよ』って自慢していました」(文春) 海老蔵が被害を受けた港区西麻布での暴行事件についても、周囲に次のように吹聴していたという。 「あの件も、あたしは一年から一年半前には分かってたの。その当時、彼のオーラを見たら『港区』『赤い服を着た人』『血だらけになりながら歩いてる』っていう映像がスコーンと出てきたの。『ああ、この子は赤い男に殴られるんだわ』って思った。それも彼には事前に『気をつけなさい』って伝えていたのよ。そうしたら結局、I・R(注・話の中では実名)にやられちゃった。Rは赤い服だったでしょう」 T子は元銀行員で妻子もいると、ゲイバーの店員が語っている。こうした人間を頼って占ってもらわなければ、海老蔵は自分のこれからに自信が持てないのだろうか。そこのところが心配ではあるが。 新潮で一橋大学の野口野口悠紀雄名誉教授氏が、アベノミクスで起きるかもしれない「最悪のシナリオ」を語っている。そこを引用してみよう。 「黒田さんは、日銀による国債購入を増やすことで、2年で消費者物価上昇率を2%に引き上げようとしていますが、とても無理です。 国債の購入で、資金供給量をこれまでの2倍の約270兆円に増やすと言っているわけですが、大事なのはお金を企業が借りたいと思うか否か。いくら国債の買い上げで日銀が銀行にお金を回しても、それは企業にまで行き届かなければ、景気は良くなりません。しかし、今の日本の企業に設備投資するマインドはなく、資金需要はない。結局、銀行にお金が留まってしまい、何も変わらない。 ユーロ危機などがあり、日本に資金が流入しましたが、いわば“国債バブル”。いつ国債価格が下落するか分かりません。これまで銀行は、国債の売却益で儲けていましたが、もし金利が上昇すると、売れば損する。したがって、銀行は国債を手放さずに償還期限まで保有し続け、金利を得ようとする可能性が考えられます。つまり、企業どころか、銀行にもお金が流れなくなる。その時、日銀はどうするか。禁じ手とされる“引き受け”に手を染めるかもしれません」 引き受けというのは、市場を介さず直接日銀が政府から国債を購入することだそうだ。そうなると、政府が財政支出を抑える必要がなくなり、支出が止めどなく増えてインフレが起きる。それを予想した投資家が海外に逃げ、国債が暴落し、円安で輸入物価が高騰して2%どころではない超インフレになる危険性があるというのである。 ここへきてようやくアベノミクスへの危機感が出てきたようだ。それはそうだろう。黒田日銀総裁は就任早々、大胆な金融緩和政策を発表して株式市場は大いに沸いたが、いくら目先の参議院選へのなりふり構わない援護射撃とはいえ、すでにして持ち玉を使い切ってしまったのではないか。 橋下徹大阪市長が週刊朝日に噛みついている。4月12日号で「賞味期限切れで焦る橋下市長」とやったのがケシカランというのだ。たしかに彼の言動は以前ほど関心を集めないし、バラエティ番組への露出が増えているのだろう。 書かれたことが事実と相違するなら、抗議すればいい。それをまた、自分の出自を朝日が書いて謝ったことを持ちだし、加害者が反省もなく自分のことを誌面で批判するのは許せんというのは、まったく解せない。 この人、顔が童顔なだけでなく、頭の中も成長していないのではないか。あの件で、朝日側は報道陣の前で橋下に謝り、朝日出版の社長が辞任し、編集長が更迭された。 それでけじめがついたと、橋下は会見で語ったではないか。 一度過ちを犯した者は二度と自分を批判してはならぬというのは、ヒットラーを超えた独裁者のいい草である。この男の辞書には言論、報道の自由という言葉がないらしい。 ポストでも「橋下市長、『朝日を告訴』の“ご乱心”は安倍首相への『嫉妬心』ではないですか?」をやっているが、それほど批判されるのが嫌ならさっさと市長を退き、市井の片隅でひっそりと余生を過ごせばいいのだ。そうした覚悟もなく、ツイッターで悪口雑言をまき散らす自分勝手な男に牛耳られる大阪人が哀れに思えてくる。 哀れといえば、以下のようなことを言った大阪鶴橋(生野区)の女子中学生も哀れである。 「みなさんが憎くて仕方ないです。もう殺してあげたい。いつまでも調子に乗っとったら、南京大虐殺じゃなくて鶴橋大虐殺を実行しますよ!」 これは文春でジャーナリストの安田浩一氏がルポしている中に出ている。 私が住んでいるところから近い新大久保はコリアンタウンとして有名で、週末になれば若い女性や中年のオバサンたちで一杯になり、有名店には長い行列ができる。 そこで毎週のように行われているのが「特定アジア粉砕・新大久保排害カーニバル」と称される「嫌韓デモ」である。 日の丸と旭日旗を振り「朝鮮人売春婦を叩き出せ!」「韓国人は国に帰れ!」と大声で叫びながら、拳を突き上げて通る。聞くに堪えない韓国人を侮辱する言葉も吐かれる。「朝鮮人ハ皆殺シ」という殺人教唆のようなプラカードもあり、在日コリアンの中には、日本で暮らすのが不安だともらす人もいるという。 それを批判する人々も集まりはじめ、「レイシストは帰れ」「仲良くしようぜ」などと書かれたプラカードを掲げて無言の抗議をしているという。 それが大阪のコリアンタウンにも飛び火したのである。先の女子中学生の父親は地元では知られた民族派の活動家だという。父親は「我が国に喧嘩を仕掛けているのは韓国のほうじゃないですか。(中略)ヤツら(韓国人)は竹島を奪い取り、ときには日の丸燃やしたりするなど過激な反日活動を繰り返している」と語っている。 日本と韓国の間には不幸な歴史があった。60余年ぐらいでは消し去ることのできない深い傷を朝鮮の人たちに植え付けてしまったのである。 ノンフィクション・ライターの本田靖春さんは『時代を視る眼』(講談社)の中でこう書いている。 「朝鮮の民衆の意志と誇りを踏み潰して、のちに『土地を奪い、名を奪い、言葉を奪った』といわれた朝鮮支配は推し進められたのである。どこからどう見ても、日本は『加害者』であり、朝鮮は『被害者』であった。これは、明白な歴史的事実である」 「ネトウヨ」といわれるネット右翼の言い分は一部のもので、多くの国民は冷静で理性的である。だが、こうした声を世論と勘違いする政治家も中にはいる。いま起こっている北朝鮮の挑発行為は許されることではないが、だからといって、必要以上に過剰反応してしまうことは、もっと危険な状態に北を追い込むことになるはずである。ここは日本人が大人になって、あくまでも話し合いをする努力を続けることこそ肝要であろう。 したがって、このところの現代の北朝鮮や中国特集は「反」の色が強すぎて、私は腰が引けてしまう。だが、今週の特集の中の「あるルートを通じて、朝鮮労働党幹部へのインタビューに成功した」は、どれぐらいの幹部かは知らないが、内容は興味深いものがある。 金正恩は何を考えているのかという質問には、こう答えている。 「何を考えているのかは、日々わが国の当局が発表している通りだ。つまり、米帝(アメリカ)がわが国を敵対視する限り、わが国も米帝及びその傀儡に対する報復の度合いを上げていくということだ。2,000万朝鮮国民は一致団結して、米帝との最終戦争に臨むという決意を示している。ミサイル実験は、その覚悟を示したものだ。第2次朝鮮戦争になるかどうかは、米帝の態度次第だ」 ここまでは建前の部分だろうが、国内の食糧事情が悪化していることは素直に認めている。 「人民軍でも最近は、食料調達が苦しくなっているのは事実だ。地方では軍と住民との諍いも、しばしば起こっている」 この冬は凍死者も出ているという。 「それは凍死者も出た。地方は寒さをしのぐ術が乏しいので、仕方ないことだ。冬に地方出張へ行ったが、道端に屍体がゴロゴロ転がっていた。油を撒いて火で焼かないと、腐敗して菌が発生するのだが、油も不足しているため、そのまま放置されていた。週に1度現れる清掃員は、多くの屍体の始末で大変だった」 4度目の核実験を強行するのかと聞かれ、こう答える。 「核実験やミサイル実験にいくら費用がかかるか分かるか。100億ドルだ。それでも核実験は続ける。核兵器なくして、わが国の存続はないからだ。『人間はその日の米がなくても死なないが、兵器がなければ即死する』。将軍様(故・金正日総書記)が残されたお言葉だ」 韓国への南進もやるといっている。だが「少なくとも安倍政権が存続している間は、日本の事は相手にしない方針だ」というから、対話を進めるのは難しいようである。 同特集の中で中国側はこう見ているという記述がある。 「4月10日には、中国共産党機関紙『人民日報』が発行する中国最大の国際情報誌『環球時報』に、中国で最も有名な北朝鮮研究者の張璉瑰(ジャンリエングイ)・中国共産党中央党校教授が、次のような原稿を寄せた。 <朝鮮半島に近く戦争が起こる確率は、7割から8割くらいあるだろう。北朝鮮にとって武力統一は、昔からの既定路線だからだ。金正恩は、金日成と金正日が成し遂げられなかった祖国統一を、いまこそ果たそうとしているの>〉」 相当きな臭くなってきているようである。 注目記事には取り上げなかったが、現代は「PCなりすまし猫男事件」を8週連続で追及している。今週は新聞記者の匿名座談会で、中で若手とベテラン記者がこんな話をしている。 「若手 僕らだって捜査当局の発表を基に報道しているだけで、大した独自取材をしているわけじゃないでしょ。個人的には佐藤弁護士(博史・片山祐輔被告の弁護士=筆者注)の意見を聞くにつけ、本当はどうなのだろうかと不安になりますけど。(中略) ベテラン 自戒を込めて言うが、そうやってマスコミが警察や検察の片棒を担いできたことが問題なんだ。(中略) 若手 僕らは記者クラブに入っている以上、当局の情報を疑うことはしませんよね。日頃から捜査員と良好な人間関係を作っていて、それで情報がもらえていると思っていますから、それを疑ってしまうとその先の取材ができなくなる。それが警察のお先棒担ぎ、御用聞きと言われるなら仕方がありません。やっぱり自分でも疑問に思いますし。(中略) デスク 複雑な思惑の絡んだ事件だからこそ、今回も誤認逮捕だったら、トップの責任どころか、日本の警察・検察の存在意義が問われる大問題になる」 冤罪ではないかという見方は大きくなっているようである。検察は再逮捕を繰り返していないで、明確な証拠を開示すべきであろう。 ポストを読んで、なんとすごいフーゾク店が出てきたものだと驚いた。「地雷女」ばかりを集めたデリヘルが、大ブームになっているというのだ。「地雷女」とは、ほかのフーゾク店では置いてもらえない、個性的すぎる女性たちの意だという。 私は、週刊現代に配属されたばかりの頃、トルコ(今のソープランド)の記事ばかり作らされた。当時はこうしたトルコ情報は週刊誌の売り物だったので、ときにはデスクから「取材費」をもらって、体験取材をした。 広岡敬一さんというトルコロジスト(トルコの専門家)から情報をもらって、鼻を膨らませて突撃する。領収書はもらえないから、相方の女の子に、自分の名刺に「金2万円 たしかに頂きました」と書いてもらって経理に出せば、お咎めなしの時代だった。 その当時でもデブ専など好事家好みの店はあったが、これほど個性的な店は聞いたことがない。 店のホームページに上げられた宣伝文からしても前代未聞である。 「地雷ガールの濃厚危険球! 貴方のバットで見事打ち返して下さい。消える魔球~ビーンボールまで、迷・珍選手たちの多種多様な艶熟ボールを体当たりで体感して下さい。風俗を止めたい方~各種宴会の罰ゲームまで、遊べば夫婦円満! 彼女の有り難さ倍増! 都内随一危険球専門店」 この店の名は「デッドボール」。東京は鶯谷、新宿歌舞伎町、埼玉・西川口に拠点を構える派遣型フーゾクである。 「『デッドボール』で採用されなければ風俗という業界を諦めてもいい」と言い切る。「デブでも、ブスでも、大丈夫! ルックス問いません」「妊娠線、手術痕なんのその! 刺青・タトゥーもOK」だそうだ。 この店の殿堂入り、終身名誉地雷と讃えられている大エースが62歳のオビスポ選手だ。身長157センチ、バスト100(Dカップ)、ウエスト80、ヒップ100。彼女のキャッチコピーは「年中無休の看板娘」だそうで、還暦を超えているのに、一日も休まず激務をこなしている。 「問答無用のデッドの看板娘!! 毎日自分で言った時間に来た事がない、仕事を振っても行くまでが遅い上に、場所がわからず迷子になり逆切れ気味で電話が掛かってくる」 「毎日なぜかスーパーの袋を持ち歩いていてそこから異臭がするが中に何が入っているかは未だに謎です」 三大地雷といわれる45歳の石川選手は、40代にして総入れ歯である。 「総入れ歯、パイパン、ツチノコみたいな体型、(中略)新人イビリ、オプション品の100円で店が購入したローターをお客様に1,000円で売りつける性悪さetc」 ちなみにこの女性たちは通常価格では客がつかないため、すべて70分6,000円の激安価格となっているそうである。なかなかの繁盛だそうだが、私は行く気はないがね。こうした笑える記事も週刊誌を読む楽しみである。どなたか挑戦してみます? (文=元木昌彦) ●もとき・まさひこ 1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。「週刊ポスト」4月26日号 中吊り広告より
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年中無休の62歳が大エース!? “地雷娘”が集まる、史上最悪のフーゾク店
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