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父親が面接官に「給料はいくら払うんだ?」 中国超ゆとり世代“小皇帝”のびっくり就活

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中国の就職合同説明会の模様。大卒の就職難も社会問題となっている
 1979年から国策として導入された一人っ子政策によって、人口増加に歯止めをかけてきた中国。両親や親戚の寵愛を一人で受け、過保護に大切に育てられてきた子どもたちの中には、協調性や人間性に問題を抱えている者も少なくない。彼らが、そのワガママっぷりから、「小皇帝」と呼ばれていることは有名な話だろう。  そんな中、いま社会問題になっているのが、90后と呼ばれる1990年代以降に生まれた若者たちの就職活動だ。「重慶晩報訊」(7月19日付)では、今年、重慶市内で行われた大学生向けの就職説明会で目撃された、驚くべき小皇帝の実態についてレポートしている。 (1)両親と一緒にやってきた小皇帝/女子大生A(女性・21歳)  就職説明会の会場では、たくさんの会社がブースごとに学生たちの面接を行っている。現地のアパレル会社の人事担当者が、Aのエントリーシートを見ながら質問をする。 「興味のある部署はありますか? 長所はなんですか?」  すると突然、Aの父親が人事担当者に逆質問をしだしたのだ。 「うちの子には、どれくらいの給料を保証してくれるんだ? 職場の環境は?」  矢継ぎ早に面接官に逆質問をする父親の横にいるAは、とても気まずそうにしていたが、やがて退屈になったのか、携帯でゲームを始めたという。 就職をするのは、親と子のいったいどちらなのだろうか……。とりあえずゲームはやめろ! (2)自分が何をしたいのかがわからない/専門学校卒Bさん(女性・21歳)  Bは昨年、専門学校を卒業したのだが、残念ながら就職浪人になってしまった。この1年間、条件に合った仕事を見つけることができなかった。就職説明会のこの会場で、ふらふらさまよい歩く彼女を見かねて、IT企業の人事担当者が声をかけた。 「あなたは学校で何を専攻していたの? どんな仕事を探しているの?」  Bの答えに、人事担当者は言葉を失った。 「自分でも、何がしたいのかわからない……。専門学校では一応、経済について勉強しました。アルバイトで子ども服を販売したことがありますが、これからなんの仕事をしたらいいのかわかりません」  この就職説明会の関係者の話によると、両親と共に就職説明会に現れる就活生や、履歴書などの書類すら持ってこない就活生が急増しているという。「微博」(中国版Twitter)でも、小皇帝の就職活動に苦言を呈するユーザーが多い。 「就活に親が同行するって、めっちゃ恥ずかしいな」 「親が子どもを信用していない証拠。つまり、親が子どもにしてきた教育を親自身が否定してしまっている。子どもへの教育に自信がないから、なんでも親がやろうとしているんだ」 「研修や入社式も親子で来るんじゃないか」  深セン市に住む、就職活動中の中国人大学生はこう語る。 「同じ大学の寮に住む室友(同部屋の同級生)は毎日、親と電話していて、親の選んだ会社にしかエントリーシートを送っていませんでした。大学で専攻した学部も親が選んだと言っていましたよ。しかも、本人は企業に送る志望動機書がまったく書けないので、これも親に書いてもらっているみたいです」  小皇帝の中でも、特に都市部の小皇帝は学校の成績は優秀でもメンタルが弱く、企業に入社しても2週間もたたず辞めてしまう人が多く、中国でも社会問題となっている。広東省で下請け工場を経営する日本人社長はこう分析する。 「都市部の若者と農村部の若者では、親孝行の考え方が違うのです。都市部の若者にとっては、親が敷いたレールの通りに人生を歩むことが親孝行。農村の若者にとっては、都市部で頑張っていい会社に入り、お金を稼いで親に楽をさせるのが親孝行だと考えている。ウチでも辞めずに頑張っているのは、意外と地方出身の若いヤツが多い」  小皇帝世代が中国社会の中心となる数十年後だが、その頃、中国はどうなってしまうのだろうか? (取材・文=青山大樹)

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